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私の好きな本を7日間で振り返る。3

三日目
民俗学という学問があります。
民族の風習、説話、文化を収集し、体系立てていく学問です。
日本における民俗学の祖というべき人が、今回ご紹介する「遠野物語」の著者、
「柳田国男」氏であります。
遠野物語は遠野の地のおける説話、民話、昔話を収集したものです。
これは柳田氏の代表的な作品であります。
本著における、仮名遣い、言い回しは、今となっては古いものではあります。
しかし、いざ読んでみれば、その瑞々しさ、躍動感を強く感じることが出来るはずです。
戦前に書かれた著作であるにもかかわらず、本著の持つ生命力は特筆すべきものがあります。
読んでいる間の感覚としては、柳田氏の顔が思い浮かぶほどです。
柳田氏のことを調べると、割合気位の高い人だったと聞きます。
個人的に興味を惹かれるのは、
日本における奇人、そして哲人の頂点に立っている人物とも言える、
南方熊楠が柳田氏にいろいろと助言をしたと言います
2人の関わりは見ていて面白いです。
巨人がさらなる巨人に教えを乞うている姿には興奮すらします。
私はこの遠野物語を、前回お話しした恩師からいただきました。
当時から今に至るまで、妖怪だとか、霊だとか、怪奇現象に興味がありました。
所謂オカルト好きでした。
そんな中、先生がそれらの古典中の古典、遠野物語をくださったことは私にとって一つの転機でした。
民俗学についてはある程度調べました。それによって、
怪奇小説を書くにしても、そこには民族学に裏打ちされた、学術的な説得力が加わります。
そして、南方熊楠など、それぞれの分野の大家との運命的な出会いを果たすことが出来たのです。
今回もまた、本が大きなものをつなぎとめてくれました。
私は読書とは、一つの大きな出会いの場と捉えております。
一つの本を読むことで、掛け算的に作家、先生、作品、そして、それを愛する人々との間で、沢山の出会いが生まれます。
それらの一つ一つが影響を与え、人を作るのです。
私も読書によって大きな影響を受けました。
そして、これからも影響を受け続けるでしょう。
一つ一つの出会いに感謝しております。
本文を読まれている方に、少しでも多くの出会いがありますよう、私は願ってやみません。
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この書を外国に在る人々に呈す
(本書の導入部から)


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