【連載企画】第3回(全4回) 日本サッカー協会公認C級ライセンス取得日誌 〜小林哲〜

こんにちは!

NUMBER39所属の小林哲です。

3回目となる今回は、実際に私がC級を受講してみて感じたことをカリキュラム内容と共に詳しく書いていきたいと思います。

ボリュームたっぷりの記事になったので、是非最後までお読みください!


【講義】

座学形式でU12年代の育成に必要な知識を学ぶ。全部で15時間あり、最後の筆記試験で合否が一応判定される。


① 発育発達と一貫指導


【主な内容】
子どもの発育発達の医科学的知識を得て、どのように指導者が指導をするべきかを学ぶ。
その上で行われる「一貫指導」のコンセプトの重要性を学ぶ。
【キーワード】
・育成年代の指導の目的→「個」の育成
・長期的視野に立ったサッカー選手の育成(レンガの積み上げ)
・子どもは小さな大人ではない

【感想】
このセッションに関してはもっと詳しくやるべきではないかと個人的には思いました。ジュニア、ジュニアユース、ユースと各カテゴリーが分断されがちな現状がある中で、長期的視野に立ったサッカー選手の育成というのはもっと時間をかけて説くべきことではではないかと思います。また、発育発達の知識に関しても私自身大学のスポーツ系学部に通っていて同じようなことも学びますが、物足りなさを感じました。


② メディカル


【主な内容】
ケガ予防のための日々のコンディショニングやケガ受傷後の対応方法、現場で起こり得る身体に関わるトラブルに対する対処法を学ぶ。
【キーワード】
・FIFA11+
・体幹
・栄養、休息・睡眠
・外傷と障害、成長期スポーツ障害
・応急処置
・熱中症、突然死(AEDの重要性)、アナフィラキシーショック、脳しんとう

【感想】
これは1セッション(50分)で行うのですが、ボリュームと時間が合っていない印象を受けました。基本的には目新しい知識ではなく、学校や世間でよく言われる知識の再確認といった感じです。せっかくやるならもっと丁寧にやって欲しいなと思いました。また、講義の中ではケガ予防の一つとして「体幹の強化」が強調されていました。フィジカルの専門知識がない上で言わせて頂くと、「今更そこ強調する!?」体幹がブームになったのは10年ほど前で、今や体幹という言葉はスポーツ界以外にも定着しているにも関わらず「体幹は大事なのでやりましょう!」と言われても、、、確かに大事なのは間違いないと思うけど、、、


③ 審判


【主な内容】
単純な競技規則の確認ではなく、審判員の役割や競技規則の精神を理解し、日本が目指す「フェアでタフでスピーディーなサッカー」を実現するために現場で指導者としてどのように振る舞うかを学ぶ。
また、U12年代に導入されている一審制のメリットについても多く触れられていた。
一審制による審判員のメリット
 ・審判員自身が努力をしなければ絶対にできない
一審制による選手へのメリット
 ・セルフジャッジをせずに笛が鳴るまでプレーを続ける
 ・選手がサッカーを知り、ゲームの精神を尊重して全力でプレーする
 ・審判員、相手、ベンチ、観客をリスペクトしようとする
【キーワード】
・審判員の役割
・フェアでタフでスピーディーなサッカー←日本が目指すサッカー
・一審制

【感想】
ちょうどC級が始まった頃に指導チームがジュニアユースからユースに変わり、一審制の難しさを体感している時期だったので、JFAの一審制の意図を知れたのは良かったと思っています。メリットデメリットどちらもあると思うので、一審制の経験が浅い自分からは特に何も言えませんが、現実として公式戦で一審制を採用しているところはほとんどないと思います。私の指導チームの市の公式戦は三審制で、県の大会は準々決勝から一審制です。


④ ゴールキーパー


【主な内容】
U 12年代はGK導入期として、この年代のGK指導に対する考え方や必要なGK技術、指導方法などを簡単に示す。
・GKとは…「チームを構成する選手の一人である」「10+1ではなく1/11」
・M-T-Mの必要性 「・U12年代のGKトレーニングに対する考え方
「FPと同様のトレーニングを行う」
「チーム全員にGKの経験をさせる」
【キーワード】
・GKは1/11
・Match-Training-Matchの必要性

【感想】
FPコーチがチームを持った時のGK指導の方法についての講義であり、より詳しいGKの指導はGK-C級で学ぶことができます。強調していたのは、チームの中でGKを無理やり作る必要はないということ。GKもFPもサッカー選手である前にアスリートとしての能力を高めることが必要にだと思うので、固定しないことは大切だと思いました。


⑤ 指導者の役割Ⅰ・Ⅱ


【主な内容】
指導者が子どものために担うべき役割について理解する。
・環境整備
→リーグ戦を整備してゲーム経験を積ませる 
・「育てること」と「勝つこと」
 子どもの成長を第一に考える 「勝つこと」を大人のモチベーションにしてはいけない
・子どもたちのプレー機会の確保
→スモールサイドゲーム(少人数制)の推奨 →8人制の成果を強調、推奨
・U12女子選手の選手登録
・指導者のあり方→グッドスタンダード
・保護者のあり方→子どもが主役、子どもの自立をサポート
・フェアプレーを目指す
・暴力根絶
 【キーワード】
・Players First!!
・リーグ戦 M-T-M
・スモールサイドゲーム
・8人制
・なでしこVision
・グッドスタンダード
・ロジカルコミュニケーションスキル
・Japan’s Way「フェアで強い日本を目指す」
・リスペクト

【感想】
このような指導のあり方というのは、技術論やコーチング云々の前に考えるべきことではないかと私は思っています。サッカーを上手にさせることが育成の全てではないということを忘れてはいけないなと思いました。育成は環境作りが全てだと思うし、コーチという存在も環境の一部でしかないと思います。
また、特にU12年代は親がいい距離感でサポートしてあげることがとても重要だなと実際にジュニアのチームに関わるようになって強く思いました。小学生のうちはまだ親への依存度が高く、チーム選びなどの決断ごとは親の判断が強いです。コーチも然りですが、親も長期的視野に立って子どもをサポートしてあげる必要があるのではないかな。。なんてことも思いました。


⑥ コーチング法Ⅰ・Ⅱ

【主な内容】

□プレー分析
 ・分析の目的は自チームの“個”の分析
  →5W1Hを用いる
→「サッカーの目的」に合わせて観る
  →「サッカーの仕組み(4局面)」から整理して観察
  →「テクニック・個人戦術」から確認
□プランニング
 ・M-T-Mを用いる
 ・グッドオーガナイザーになろう!
  →学ばせたいことが自然と学べるような「仕掛け」をオーガナイズに込める
 ・プレーの確保
 ・漸進性(難易度の調整)
 ・「サッカーの本質」から離れない
 ・基本的なトレーニングの構成:W-up→TR1→TR2→Game
□トレーニング&コーチング
 ・働きかけの考え方→Guided Discovery
・自ら解決法を見出す力を身につけさせる
 ・ティーチングとコーチング
  思考する材料(ティーチング)と思考を停止させない(コーチング)のバランス
 ・具体的に褒める
 ・発問しながら解決策を導く
 ・QUICK SIMPLE To The Point

【感想】
このセッションでは学ぶことがとても多かったです。コーチ始めたての私のような存在にはこのような指針となるものがあるとわかりやすくて良いなと思いました。特にオーガナイズの重要性の部分は強調されていて、U12年代は言っても理解できなかったり、セオリーが通用しないカテゴリーなので、実際に指導していてもオーガナイズの重要性は身にしみて感じます。オーガナイズで出したい現象が出るとやはり一番子どもにも伝わっているように思います。ただ、これらはあくまでJFAが示すやり方であって、大事なのは目の前にいる子どもたちに適した形を模索、試行し続けることだと思います。形や指針があるとそれにこだわってしまいがちですが、常に目の前の状況に合わせて対応する力はつけないといけないなと思いました。


⑦ 技術・戦術論Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ

【主な内容】
・サッカーの仕組み
・攻撃の個人戦術
・守備の個人戦術
・テクニック…ボールフィーリング、ボール扱いを状況に応じて判断し、適切に判断
すること
ボールフィーリング+判断=テクニック
 サッカーを楽しむためにはテクニックが必要
 「Japan’s Way」を目指す上で、テクニックは日本の強みにしたい要素

【感想】
ここではテクニックのことを強調していたように思います。
JFAの考えるテクニックはボールフィーリングに判断を加えたことで、一人で足元のスキルをやって「テクニックがある!」と言われているものとJFAの言っているものは少し異なるようです。世間で使われている意味に近いのはボールフィーリングと言っているものだと思います。



【実技】


設定されたトレーニングをインストラクターの説明を受けながら実際に受講生自身がプレーする。
全部で10時間のセッションが設定されている。
受講生は年齢別にヤングとアダルトの2グループに分けられますが、内容はかなりハードになっているので選手に戻ったような疲労と体の負担が味わえます。


① ゲームとコーディネーション


【主なキーファクター】
・コーディネーション
・子どもたち自身でゲームを作る
・指導者は見守る


【感想】
最初のW-upでは前述のメディカルの講義の内容で触れられていた体幹やバランス感覚を刺激するためのトレーニングを行いました。そしていざトレーニングだ!と思った瞬間に「スライディングをやってみよう」と言われ、「スライディング!?!?」と面食らってしまいました。私はCBだったのでスライディングはよくやっていましたが、スライディングをやれと言われてやってみると意外とできないことにびっくりしました。また、“利きスライディング”(私の場合は左足の側面)と逆側面でのスライディングが全然できず、今までは気合で滑っていたんだなぁと意外なところでハッとさせられました。
GAMEで強調していたのは、「指導者は見守る」「自然に勝負にこだわらせることができるようにする」という点でした。指導者はオーガナイズを整え、子ども自身が気づくようにするということはC級通して言われたことでした。


② ゴールキーバー 〜全員でGKの経験〜


【主な内容】
スローイング
キャッチング
ステッピング
ローリングダウン
ボジショニング

【感想】
サブタイトルにもあるように受講者がGKを体感することがこのセッションのテーマのように思いました。特に強調していたのは基本となるキャッチングとポジショニングがとても大事ということ。ダイビングでセーブして一見ナイスセーブに見えたプレーでもその前にポジショニングを修正しておけばキャッチングで済むプレーが特にU12年代ではよくあるので、しっかり見てあげることが大事と言っていました。


③ 観る


【主なキーファクター】
・選手に“観させる”ためのオーガナイズと難易度の調整

【感想】
“観る”は全てのプレーに通じるもので、全てのプレーで意識させなければいけないことです。私もコーチングで「観ろ!!」と言ってしまうのですが、「いつ」「何を」観なければいけないのかというところまでコーチングする必要があると思っています。
“観る”を習慣化させるために、このセッションで強調されていた「選手に“観させる”ためのオーガナイズと難易度の調整」は改めて大事だなと感じました。


④ ボールフィーリング&ドリブル


【主なキーファクター】
・ドリブルの構成要素の確認
・積極的な仕掛け
・相手の変化を見てドリブルorパスの判断


【感想】
ドリブルやボールフィーリングはパスやシュートに比べて感覚的な要素が大きく、コーチングでの改善はなかなか難しいスキルだと思いました。やはりオーガナイズで自然とドリブルを仕掛けていくような状況を作ってあげることが必要だと思いました。


⑤ パス&コントロール


【主なキーファクター】
・パス&コントロールの構成要素の確認
・タイミング
・動きながらのプレー
・ファーストタッチを動かす


【感想】
このセッションは他のセッションと比べて、キーファクターをより強調して伝えていたような気がします。インストラクターの方が「タイミングよくボールを受ける」「ファーストタッチを動かす」の2点をシンクロでもかなり強調して言い続けていました。また、指導の部分ではパス&コントロールのテーマでボール回しのトレーニングをすると、立ち位置などの「オフザボールの部分に目が行ってしまいがちなのでパスやコントロールの部分、オンザボールをしっかり見てジャッジしてあげる事」というのを強く言っていました。テーマから外れない事が大事ということです。オンザボールをジャッジするというのはなかなか難しそうだなと思っていましたが、インストラクターの方はプレーに対してはっきりと言っていたので、なぜミスしてしまったのかを自分で考える事を無意識的に行っていたので、「なるほど、こういう事なのかな」と納得しました。


⑥ シュート


【主なキーファクター】
・シュートの構成要素を伝える
・ゴールの四隅を狙う
・コントロールからシュートまで速く


【感想】
小学生はまだまだ体が未熟なので、キックの飛距離や威力を求めるのは難しいですが、ボールという球体を扱う感覚を身につけることが大事だと言っていました。ボールの芯を捉えることが上手い選手は何歳であろうと上手いですし、感覚的なものの積み重ねはジュニアがすごく大事だなと思います。


⑦ 守備のテクニック 〜ON・OFFでの対応〜

【主なキーファクター】
・第一DFの対応
 ・マークの原則
  ボールとマークの同一視
  相手とゴールの中央を結んだ線上に立つ
  インターセプトかつ裏を取られない距離
 ・チャレンジの優先順位
  インターセプト>ボールを奪うチャンスを逃さない>前を向かせない>追い込む
・ドジング…抜き去ろうとする相手に併走して軸足で当たりながらファールしないで押し出す


【感想】
マークのつき方と1対1のDFの対応の話のセッションです。マークの原則を意識させるためにTR2の3vs3+3サーバーでは自分のマークを決めて、マークチェンジはできないオーガナイスでした。実際に自分がやってみての感想は「試合にこんな状況なくね??」というものでした。確かに獲得させたいスキルを考えてオーガナイズしますが、そこに目がいきすぎてサッカーから離れてしまっては本末転倒ではないでしょうか。あくまで試合のための練習というのは講義で習ったのですが…


⑧ 守備 〜ボールを奪う〜


【主なキーファクター】
・チャレンジの優先順位
・チャレンジ&カバー
・ゴールを守る


【感想】
守備のボールを奪うというところに関しては日本の弱点だと認識しているようで「先ずはボールを奪いに行くことを徹底させる。失敗を経験させることによって気づかせる」ことが大事だそうです。確かにボールを奪いに行くということがとても大事で、失敗した時に「なぜ」失敗したのかをコーチングして、「いつ」「どこで」「どうやって」ボールを奪いに行くのかを提示できる指導者でないといけないと思います。DFが抜かれると「軽い!!」とよく言いますが、この言葉は私は極力使わないようにしています。この一言でその1プレーの原因が全て片付いてしまい、どちらかというとメンタルの部分に対する言葉なので、それこそ次にボールを奪いに行きづらくなってしまうからです。指導者は言葉の一つ一つの持つ意味を考えなければいけないと思いました。


⑨ 攻撃 ポゼッション


【主なキーファクター】
・サポートの角度、距離、タイミング
・攻撃の優先順位

【感想】
C級の最後に指導実践の試験があるのですが、そこで私はこのポゼッションをテーマに指導実践することになりました。決まったその時から「ポゼッションってなんやねん、、、」と沼にはまってしまい、悶々と考える日々を過ごすうちに指導実践がやってきて、案の定無残に砕け散りました。ポゼッションはボールを保持すればOKではなく、前進のためのボール保持という考え方だというのはインストラクターも言っていたことでした。考えやサッカー観がどうとかの前に、目の前の選手たちのプレーを改善する。そのためにサッカーを知るという肝心なところを思い知らされたような気がしました。


⑩ 攻撃 ゴールを目指す(マークを外す動き)

【主なキーファクター】
・タイミングよく、マークを外す
・体の向き

【感想】
ゴール前でのマークを外す動きをテーマにしたこのセッションでしたが、言っていることは「タイミングを合わせる」と「体の向き」でした。「タイミング」に関してはパス&コントロールのセッションでも口酸っぱく言われたのでJFAは「タイミング」をすごく重視しているのかなと思いました。


以上になります。
最後までありがとうございました!
次回は連載最後の記事「C級を通して感じたこと」です!

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