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京町家の1棟貸し宿とは?

どうもオーナーの西澤です。
”京町家の1棟貸し宿” この言葉をはじめて聞くという方にもわかりやすく説明したいと思います。

京町家とは

京都の古くからあるお家のことです。もう少~し細かく言うと、京都市内で昭和 25年以前に建てられた木造住宅のことを指します。なぜ昭和25年以前なのかというと、現行の建築基準法の施行が昭和25年なので、それ以前に建てられた建物に限定し「京町家」と定義しているのです。ですので最近できた京町家っぽい新築住宅は京町家と呼ばず「京町家風」などと呼ばれています。

70年以上前の建物である京町家ですが、その当時のまま現在も住居として使われているのは稀(まれ)です。ほとんどは時代に合わせて改装され住みやすく変化しております。トイレやお風呂、台所などの水回りが進化していないと住みにくいですよね。昔の住宅にはお風呂ありませんもんね。とはいえ、昔の面影を多く残す建物を重要文化財として保護するなど、建物によって変化の度合は様々です。

京町家の特徴

江戸時代に家の間口の大きさで税金が決められていたことから、間口を狭くし奥行きを長くした「うなぎの寝床」と呼ばれるつくりになっているところが多いです。木造の建物は、釘を使わない伝統的な工法で建てられています。大工さんの職人技を目の前で見ていましたが、ノミやカンナを使ったお仕事めちゃくちゃかっこよかったですね。外観でいえば、外から中が見えない役割を果たす格子が特徴的です。通りに面した屋根の上には「鍾馗(しょうき)さん」が町家の守り神として睨みをきかせています。鍾馗さんは、家によってそれぞれ大きさや表情が違うので注目して見てみるのもおもしろいですよ。

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京町家は年々減少している

京町家は時代の変化とともに減少し、京都市資料「平成28年度 京町家まちづくり調査追跡調査」の結果によると、平成21年度に47,735軒あった京町家は平成28年度には40,146軒と7年間で5,602軒減少しており、これは1日約2軒のペースで京町家が消失していることになります。このままでは京町家はどんどん減るばかりと、行政も京町家の減少を食い止めるために京町家条例を施行したりと手を打っていますが、強制力はなく京町家を取り壊すか否かは持ち主の判断によるところが大きいというのが現状です。

1棟貸し宿とは

1軒家を宿泊施設にしたもので、1日1組だけが貸切利用できる宿泊施設です。施設内には他の宿泊者やスタッフはおらず、利用客は完全プライベートな空間を楽しむことができます。また、大手宿泊予約サイトの一休.comでは貸別荘・バケーションレンタルとも呼ばれております。ちなみに、旅館という文化がない海外では、ホテル以外の宿泊施設として、バケーションレンタルという形態はすでに一般化しています。

1棟貸し宿の特徴

1軒家であるため、客室としては広いことが特徴です。50㎡~100㎡の大きさの施設が多く、ホテルのスイートルームに匹敵する大きさで贅沢な間取りといえるでしょう。基本的な構造は普通の住居であるため、自宅のようにキッチンや洗濯機などが完備されている施設が多いのが特徴です。ホテルや旅館でグラスを洗いたいなと思ったり、Tシャツだけでも洗濯したいなと思ったりしたことはないでしょうか?そんなときに役立つ設備が揃っているというのも嬉しい点ですね。

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1棟貸し宿の不安点

ホテルのようなスタッフ常駐のフロントがないことが不安な方もいらっしゃるかもしれませんが、施設のスタッフは近くに常駐しております。ホテルでも客室からフロントは離れていることを思えば、その距離も気にならないのではないでしょうか。もちろん電話やメールで連絡することができますから、ホテルと違ってなにか大きな不便があるかといえば、私はないと思います。

京町家の1棟貸し宿について

京町家を1棟貸しの宿として活用している施設のことです。京町家の減少を食い止める手段として有効であることと、急速に増加した訪日外国人観光客の受け皿として発展していきました。京都らしい体験ができると外国人旅行者を中心に人気が出始めております。施設によってコンセプトや設備はさまざまですが、その違いがまた面白いですよ!

京町家の1棟貸し宿の現状

もちろん施設によって周辺環境やスタッフの対応などに違いはあります。現状では、施設によってクオリティやサービス内容にばらつきがあります。日本人の認知度を上げることと、受け入れ側のレベルを引き上げるという課題があるといえるでしょう。お客様に信頼していただけるように、私たち1棟貸し宿を営む業者が、サービスレベルを高い基準で揃えなければいけないと思っています。

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地域をひとつのホテルに見立てる

私がいつもお客様に説明する例ですが、
地域をひとつのホテルと仮定して考えた場合、ホテルの1部屋として1棟貸し宿が存在すると考えることができます。宿に面する道路はホテルの廊下であり、近くの飲食店はホテル内レストラン、近くのコンビニや雑貨店はホテル内売店といえるでしょう。このように地域をひとつのホテルであると考えれば、1棟貸し宿も受け入れ易いかもしれません。

私が思う地域の理想の形

地域に住む人々にとっても旅行者が来ることが歓迎すべきことであれば、地域に来る旅行者に道案内などを率先して手を差し伸べてくれるかもしれません。このような無償の奉仕が、旅行者の感動を呼ぶのではないでしょうか。地域というホテルに地域住民というスタッフは必要不可欠です。地域がひとつのホテルとして機能することができれば、旅行者にとって魅力的なエリアになるのではないでしょうか。

”京町家の1棟貸し宿”について少しでも、なるほどと理解していただければ幸いです、よろしければぜひ1度体験してみてください。どの施設が良いのかわからないという方のためにおすすめの施設も別のところでご紹介しますね。

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