沖縄で人生を変えるお寿司を頂いた話
2022年1月末、お寿司を目的に沖縄へやってきました。
寿司を沖縄で!?なんのために、と思うかもしれませんが、人格、味、空間全てが本物の寿司職人がいるらしいんです。
今年もっともしたいことのひとつでした。
これが、確信に変わりました。今文章書いてる中の気持ちは最高。
沖縄に着いて、高速道路を使い北に少し向かうと太く、ぽや〜っと虹が見えました。
この前同じメンバーで行った時も熊本で虹を見ました。
(虹運もってるな〜)
山の中の素敵なカフェにいって、美ら海水族館にも行ったんですが、全然どうでもよくなってしまったので本題に入ります。
山口からはるばる7時間、
辿り着いたのはペンションびせざき、
こちらが今日僕らがお寿司をいただけるカウンターになります。
空間は琉球漆喰という自然の素材で塗り固められており、洞窟のような空間が広がってます。
床は竹を張り巡らせた施工。
こちらが本日お世話になる職人のくまさん。
東京の寿司屋修行を積み、現在は家業である左官を行いながら、冬場に寿司を宿泊者限定でやっているそう。
カウンターにつく、と思ったのですが座ったのはまさかのキッチン側、
特別席となりました。(普通、ありえない)
いざ、開演です。
野菜と鯛が食感の調和と共に上品な南蛮漬けの味が一体感を生み出す。
この時点で大きな感動、口が嫌がる味付けが全くもってなかった。素晴らしい。
初めてのうみぶどう。茎の周りについた実がパチパチと口の中ではじける。その弾け方はまた上品で花を食べたかのようなふわっとした気持ち、味はまるでいくらのよう。小さい実ながら、海水のほどよい塩気がついたひとつひとつの実の味わいが口いっぱいに広がる。
醤油などいらない
寿司職人の登竜門、だし巻き卵。
卵一枚一枚の一体感が秀逸。
焦げ目なんてもちろんない。
ほどよい圧倒的に口ざわりのよい卵の食感から、優しい、包みこむ味わいが広がる。
ここで驚きのメニューが登場。
なんと、酢飯の握り単品。
そして驚きなのがシャリをそのまま口に放り込む。
この表情だ。
ごまがまぶされた握りが口に入ると、米ひとつひとつがしっかりと形を残した状態で、ほどける。
米を沢山噛みたくなる、噛めば噛むほどうまみがでる。
これも秀逸な一品。
まるで空気のような食べ物だった。そうめん1本1本が細い繊維のように存在し、上に乗るだし巻き卵も驚きの細さで切られており、おいしい空気を食べているかのような食感を生み出している。
大葉もタレも主張しすぎず一体感を演出。
タコといえば硬いイメージがある。このような大きさだとゴムのようでしっかり噛んで食べることが多い
このタコは違う。吸盤の赤い表皮を超えると、身がキレイにほどけて中の芯まで歯が簡単に到達する。
そして最後も軽い力で噛み切れる。
噛めば噛むほど、筋繊維があるのを感じる。
そしてさらに噛むと、海水の味と共に気持ちのよい甘みがあふれる。
まだ握りはでない、出てきたのはまさかの豆腐だ。
”ぎんじゃ豆腐”という落花生を用いた沖縄の豆腐らしい、ただこの品は豆腐の材料にクリームチーズを溶け込ませ、細いねぎととろみのある汁で豆腐が覆われている。
そして追い打ちに大根おろしが乗せられ、豆腐を噛むと、ほんわりとほどよいチーズの香りを残す。
切り身の表面が宝石のように輝くカツオの刺し身が出てきた。
ネタの質ももちろん高かったのだが圧巻だったのはこのしょうゆダレ、
コクがあり、味わい深いこのタレ、いくらでも食べてたかった。
ついに、ついに、握りが始まった。
出てきたのはカツオの腹身。
カツオがこのようなキレイなピンクで見たことがない。、
そしてシャリが想像より小さく出てきた。10gくらいだろうか
血合いの多いカツオがこれだけのとろみと甘みのある味となるのには驚いた。カツオおそるべし
人生一のマグロだったろう。
子供の頃から夢みた、おいしいおいしいトロだった、
口に入った。とろけた、シャリとネタの一体感と共に出た上品な脂。
噛んでないのになくなっていった。それが寂しいとも思えたが極上だった。
幸せを食べているようだった。
素朴な味の小肌がここまで仕上がるんだということを見せられた。
酢での締め方はもちろん絶妙、身は軽やかな脂がのっており青物であることを忘れさせる。
酢で締めた魚と酢飯のハーモニーがよりわかりやすく表現されているのではないかと思う。
これで一旦握りが終了
次に絶品中の絶品が来た。いくらとうに、加えて真っ白なエビが盛られた一品。
いくらがプチっとはじけると気持ちがいい、口を閉じるとはじけた甘い汁が広がり、そこにウニとエビのクリーミーさが包み込み、口が華やかに浮いていくような感覚になる。
これが目新しい。
魚が一切入っていない、沖縄独自の島らっきょうがメインの巻物だ。
らっきょうの味も強すぎずちょうどよいのだが、このごまとおかかのアクセントも重要、
とても食べやすい
さきほどのだし巻き卵とは違う少し固めの(だったかな?)だし巻き卵
横の黒いラインはくまさんの大好きな阪神タイガースをモデルにしている。
シャリが覆われてしっかりなくなるほど、大きく、活きのある赤貝だ。
食感がとてもやわらかいながらボリューミー。
また食べます!
鯛でありながらおそろしいほどの上品な味わいと脂ののり、熟成期間はどのように調整しているのだろうか、気になる!
思ったのは脂が身の固まっているのではなく、薄く全体に行き渡っているような感覚、かつ皮目の硬さはほとんど感じない素晴らしさ。
”皮と身の間に旨味がある”とおっしゃっていた。
そしてここから3貫プラスで握りを頂いた。
気づけば4時間が流れていた。
堪能した、
満ちた、
お腹で食べているというより、身体で食べているという感覚。
目で、鼻で、舌触り、そして味を感じて、人生の話を聞いてうなって
五感で食べているという感覚だった。
”食べている”という感覚が合わなくなるような、”受け取った”という言葉の方が合うのだろうか。
くまさんが作った空間に座り、歌舞伎を模した登場とユニークな服装からはじまり、
上に書いた一品料理や握りと共に出る、美しい器や物語。
本物の料理、時間というのはその人そのものから生まれる。
そう強く教えてもらった。
身体が身震いがして、ある時ほろっと涙が出た。
そんな食の時間があるだろうか?そんな体験が出来て幸せだ。
記憶に残った言葉は
”物語を食べる”
”所作を美しくしろ”
この二つ、
味を一級品にすることもしかりだが、その魚がこういう形で獲れて、過程を伝える。そして、それと共にある自分の体験や想いを話す。
そして動作や語りの間、空気感、僕が必要なものだろうと思った。
まずは靴を並べたり、物を散らかさないとかそんな簡単なことから始めないといけない、先が長い。
「握りは2,3日あればできるけど、巻物が一番むずかしいよ。」
そう言っていた。
左官と寿司屋を行う、クマさん。
自分の方向性が定まってきたからこそ、大きなロールモデルを見させてもらった感覚でした。
この感動体験で自分の人生のチャプター1が終わった感覚。
本物を目指して、自分しかできないことを極めるため、
走り出します。
まずは所作から。
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