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ラムゼイ・ハント・シンドローム

『ラムゼイ・ハント症候群』。ジャスティン・ビーバーが罹患して復帰に2年を要したらしい。

「帯状疱疹をこじらせ顔面麻痺が出る神経痛」。こう書くといきなり年寄りっぽくなる。

どちらも、だいたい同じ病気らしい。顔というか耳の横の神経を直にやられるのでかなり痛い。意識が飛びそうになる。

だから50歳超えたらぜひ帯状疱疹の予防を!(本題はここまで)

以下、毎度の長文。ひたすらの愚痴と多少のご参考。

最初は綿棒だった。風呂上がり、あまりやらない耳掃除をしたら左で「いつっ」となった。耳の穴の中に発疹が出てたんだと思う。外側に出なかったので見逃した。

その頃(ちゃんと覚えていない)、外飲みした帰り道、歩いていてやはり耳がキーンとなった。その時は「やっば、脳かも」と焦ったのだが、よく聞く「いきなりバットで殴られたような」という感覚とは違った。どちらかというと気圧が急に変わって耳抜きをしくじった時に似ている。

この前後、左半身の不調も続いていた。頭が痛いし、目も見えにくい。平衡感覚も少しおかしい。首の凝りもきつい。

ただ、最初に疑ったのはメンタルの減薬だった。会社の最後の2年間はブロマゼパムという静止安定剤を常用していて、それをやめつつあったので自律神経系かと思った。結局、減薬は特に影響がなかったようだ。

そうこうしているうちにテレビで「コロナの後遺症」だかなんだかで「帯状疱疹が神経に出る」というのをやっていた。このコロナとの関連はわからない。幸か不幸か、これまで陽性反応は出ていない。でも、罹っていたとしても無症状で来てしまっている可能性もある。抗体検査をすればいいのかもしれない。ワクチンは4回打っている。

とにかく、「あ、これかも」と思って11月に近所の皮膚科へ行った。視診だけで「違う」と言われた。「外側に発疹が出ていないから」だと言われた。結果的に帯状疱疹の疑いが大で、ここの誤診が後々に響いた。

原因不明のまま痛みは次第に増してきた。しかたなく12月なって耳鼻科を受診し、そこで脳のMRAを勧められた。「三叉神経に血管が当たっているかもしれない」との診立てだった。これはリスクの高い要因から潰していくという意味で合っていた。ただ脳MRA(MRIの血管まで観る)はなかなか予約が取りにくい。

結局、年が明けて脳外科に行ったが、ここでも「問題ない」と言われた。そのまま帰されそうになったので食いついた。

「問題ないかもしれないけど痛いのどうしたらいいの?」とちょっとキレ気味に聞いたら「では、ロキソニンを。あとはペインクリニックを受診して」と言われ、これで本格的にカチンと来た。

耳鼻科でプレガバリンという鎮痛薬を処方してもらっていた。神経系の痛みを止めるというものだった。その時、「ロキソニンはどちらかというと鎮炎や解熱」と説明を受けていた。

今、調べ直せば、ロキソニンも利かないわけではなさそうなのだが(実際には耳鼻科に行く前に飲んでいて利かなかったんだけど)、脳外科の診察時にお薬手帳の写しを出している。「こいつ、見てねーな」と思った。

しかたないので「プレガバリンを増量してくれ。あとは自分でペインクリニック探す」と伝えたら、なぜか増量ではなくカルバマゼピンという薬を合わせて処方された。

これが曲者で飲み始めて3日目ぐらいで体温が34℃ぐらいまで下がって、さすがに死ぬかと思った。

そこからしばらく家で悶々として(動けるわけがない)、というよりペインクリニックなんてそう簡単に見つからず、ようやく電車で1時間ほどのところに行ってみた。

そこでの診断が「ラムゼイ・ハント症候群」だった。日本では100万人(これが標準母数なのかな)に300人ぐらい発症するそうで、それほど珍しい病気でもないとのことだった。

ただ予後が悪い。発症直後にステロイド剤や抗ウィルス薬を投与してもらっていれば悪化も防げた可能性はある。人によっては入院したりするらしい。

でも、すでにそんな時期はとっくに過ぎていた。とりあえず、きるのは対処療法になるらしい。ペインクリニックの先生ははっきりおっしゃる方でとても信頼がおける(好き嫌いはあるかもしれない)。

対処療法は「星状神経ブロック」という注射を首に打つ。これを毎週、40回程度。8月までかかる。しかも利くかどうかの保証はない(見極めまでだけでも2カ月ほど要るらしい)。

「神経ブロック」という名前から「即効性はありそうだけど注射は痛そうだな」とは思っていた。実際の注射はそれほど大したことがない。1回はすぐに終わるし、打ってもらった後、少しくらっとしたり喉がつかえる程度で、それも2~3時間で治る。

ただ、即効性も無い。なので病気で痛いのは続く。なにせ痛いでおなじみの帯状疱疹ウイルスが直接、顔面神経(第七脳神経というらしい)を侵している。「三叉神経に動脈が当たる」のは外からだけど、これは直叩きしてくる。

左の耳朶の下から顎、鼻から目頭に抜ける辺りが抜群に痛い。顔と首筋、肩周りがひきつる。時々、痙攣が出る。

加えて顔面神経自体は三半規管のそばにあるらしく、平衡感覚も怪しいままになっている。退職を機にクロスバイクを買ったのだが、乗れる自信はない。車の運転も危なかろう。

延々と書いたが、こうしていると少しだけ痛みを忘れられる。

その痛みは「残る可能性が高い」と告げられている。神経ブロックで駄目だった時の対処としては「ボツリヌス菌の毒(ボツリヌストキシン)を打つ」という恐ろしげな治療法があるらしい。

もう少し調べたら通称「ボトックス」というやつだった。なんか聞き覚えがあると思ったら美容整形だった。

きれいになっちゃう。やけっぱちでTwitterにそう書いて投稿したら、にしたんクリニックの公式から「いいね」をもらった。残りの人生賭けて笑いを取りにいこうかな

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