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ワインの思い出。

22才のゆう熱いハートとキラキラの目と若さ溢れる肉体を持った男

ぼくにはワインを見ると思い出す人がいる


その人は先輩で

25才石山いっしーと呼んでいた
いっしーは先輩なのにどちらかというと
おどおどしていて頼りがいのない先輩だった……





そんないっしー先輩と初めて出会ったのは
新人歓迎会だった。
いっしー先輩はワイングラスに入ったワインを
一瞬で消すというマジックを披露すると言いだした



いっしー「いまからワインを消しまーす」「ちょっと手伝って」と近くにいた女子にハンカチを渡し、「グラスを隠してくれるかな」と打合せをはじめた……


そこにいた全員が……
このマジックの行く末を想像していた

「ちゃらりらりら~」とBGMを流しだした



いっしー先輩は本気だ
そのとき空気が張り詰め
緊張感が走った……




次の瞬間……


いや……

5秒くらいかかった

そしてハンカチ持っている女性は
笑いをこらえられず笑っていた……

みなわかっていた
飲んでいる
絶対飲んでいる
しかもゆっくり
飲んでいる

そして、ハンカチをさっと
取ったとき

みなの想像を
裏切った

はるかに……

飲んでいると思ったワイン
飲めていなかった

いっしー先輩のワイシャツが真っ赤に染まっていた……


その場にいた全員が大爆笑だった


ワイングラスの中身を一瞬で消しますと
宣言しておいて
アシスタントまでつけて
BGMまで流し
消せずに
こぼす
そんな大人を初めて見た


しかもその数分後……

いっしー先輩はろれつが回らなくなり
完全な酔っ払いになっていた


その日ぼくは
人生ではじめて……

ネクタイを頭に巻く人を見た

漫画やテレビの中だけだと思っていた


本当にいたのだ


そんな出会いをした
いっしー先輩から

今年数年ぶりに
年賀状がきた


そこには、スマホを変えましたと書いてあり
メールアドレスが書いてあった……

メール下さいと


試しにLINEをしてみよう……







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