見出し画像

演技の努力

『不言実行』

意味 目標などを口に出したり、ああだこうだと能書きを述べたりせずに、実行に移すこと。

めちゃくちゃカッコいい言葉だと思う。

小学生でサッカーを始め22歳になるまでサッカーを続けてきた。

幸せなことに当時の世代別の代表選手や、現在プロになった選手、選手権で活躍して全国的に有名になった選手、大学サッカーを牽引してる選手などなど、挙げたらキリが無いくらい素晴らしい選手たちとチームメイトとしても対戦相手としても出会ってきた。
あの久保建英選手とだって対戦できた。
東京オリンピック代表には自分が所属していたU-15東京トレセンのメンバーから何人か選ばれるだろう。
本当に幸せな経験をしてきた。

その中で『不言実行』で努力し、結果を出し、ステップアップをしていった選手をたくさん見てきた。

が、結論から言うと、自分は1人で黙々と努力をすることができない。

不言実行が出来ない人間である。

自分は『演技の努力』をし続けてきて今の村松健太に至っている。

周りにどうしたら良く思ってもらえるかを考え、行動し続けてきた結果出来上がったのが、今の自分だ。

他人に評価されることが原動力なのである。

極端な話、
健太は頑張ってるなー
健太はすごいなー
健太は上手いなー
と周りに思われるにはどうすればいいのかを考えながら生きてきたし、生きている。

自分は川口能活に憧れてGKを始め、サッカーを始めた。
GKをやりたくてサッカーを始めたのだ。
しかし特別な才能があるわけもなく、ただ楽しく小学校世代のサッカーを楽しんだ。

中学校に上がる時に選択を迫られた。

進学先の中学校の部活にするか、どこかのクラブチームに行くか。

仲の良かった上手いチームメイトたちがクラブチームに行くという流れだったから、自分も強いところでやりたいと思うようになり地域では一番強いと聞いていたFC KURUME U-15のセレクションを友達2人と受けた。

結果は不合格。当たり前である。市の選抜にすら入れないレベルの自分が受かる世界ではなかった。一緒に受けた2人は合格していたので練習参加しに行っていたのを横目に、自分は他のクラブチームのセレクション情報を漁っていた。

そんな時、受かっていた友達から合格していたGKが1人辞めたからGKの枠に空きが出たことを知らされ、一度練習に来ないかと誘われた。
それを聞いた自分はラッキーじゃん、と軽い気持ちで練習に行くことを即決した。

いざ練習参加。

自分が落ちたセレクションを突破しているだけあってみんな上手い。けど、ここでもしかしたら出来るかもしれないと思うと幸せな気分で練習を楽しんだ。
練習後コーチに呼ばれる。
何を言われるのかと思ってたら一言、

『村松君はこのチームのレベルじゃないけど入りたかったら入っていいよ』

甘ったるくて楽しい世界しか知らなかった小学6年生の村松健太君には衝撃的過ぎる言葉だった。え、こわって。

でもその時、即座に
『コイツ絶対見返してやる認めさせてやる』
そう思った。

生まれて初めての気持ちだったと思う。

そしてこの言葉のおかげで今の自分がある。

あの時を境に自分は確実に変わったと確信している。

怒りともいえるぐらいの悔しさで、入団することを即決した自分だったが、そこから努力したところでもちろんすぐには結果は出ない。

GK3人の中で3番目の生活が続いた。下手すぎる自分が嫌いだったが、なによりもチームメイトからの目が嫌だった。紅白戦で自分がチームに入ると、GK健太かよって肩を落とされることは日常だった。自分のミスで失点して負けて、一緒に出てたメンバーを走らせてしまうことも多々あった。

情けなくて申し訳なくて辛かったが、辞めたいと思ったことは一度もなく、絶対に見返すんだという気持ちがどんどん大きくなった。

最初はコーチに対しての気持ちだったが、だんだんとチームメイトに対しても思うようになっていった。

そしてその気持ちは間違いなく自分の原動力であった。

結果そこで逃げずに努力を続けたことでスタッフ陣やチームメイトにも段々と認められ、評価が上がった。

頑張れば『周りの目』が変わることを知った。

そこからは早かった。
チームでスタメンになり、U-15東京選抜にも選ばれるようになった。

頑張ることで周りからの評価が格段に上がったことは、チームでも学校でもとても感じた。
見返そうと思って、自分はやれるんだということを見せようと頑張り続ければ、必然的に成長して、周りの目が変わることを知った。

この中学時代が今の自分の土台である。

高校は都立東久留米総合校に進学した。

当初はサッカー推薦をくれて大学の指定校推薦の枠などを提示してくれた私立の高校が魅力的だった。

そんな時、自分は東京都選抜から落選したのである。

今、冷静に考えれば当落線ギリギリのラインだった自分なので当たり前なことだったと思うが、当時は冷静でなんていられない。

せっかく努力して築きあげた『東京選抜の村松健太』という評価が『選抜落ちした村松健太』にランクダウンしてしまうのだから。

とにかく悔しかった。そしてまた思った。

自分を落とした選抜のコーチを『見返してやる認めさせてやる』と。

評価されることと成長することがイコールだと気付いていた自分は、あのコーチに認められることが自分の成長になるんだと考えた。
そのコーチが会場にいる試合ではとにかく張り切った。自分を見てくれと。
しかしGKは受け身なポジション。活躍しようと思って良いシュートが飛んでくるわけではない。歯痒かった。

そして思い付いたのが、
あのコーチがいる高校に進学してあのコーチに教わればいいんじゃん! 
だ。

それが都立東久留米総合高校だったのである。

現時点で自分を評価していないGKコーチの元へ進学することに、そのコーチに認められたいと思うことへのワクワクが止まらなかった。

3学年で部員270人。
全国で3番目の多さ。
GKだけで24人。
GKだけで11対11の試合に主審を付けれる。
スタッフは監督、コーチ、トレーナー合わせて10人前後。
カテゴリーが5チームあり、その中でまたさらに1〜5軍がある。
クラスの男子20人中18人がサッカー部。

サッカーとプライベートが切っても切り離せない環境だった。
こんなにもサッカーでの評価が大切な環境はない。

週末の試合で大きなミスをしたり、カテゴリー落ちすると、なんとなく学校に居にくくなる。逆に試合に活躍した週の学校はめちゃくちゃ楽しい。
自分の周りに認められたいという気持ちに磨きがかかったと思う。

努力した。
いや、頑張っていると思われようとした。
評価をあげたかった。
俺はこんなに頑張ってるぞ、と見せようとした。
GKコーチにはお前のそれはパフォーマンスだろ、と怒鳴られ、その通り過ぎて焦ったこともあったが、とにかく頑張ってる自分を見せ続けようとした。

そしてそれはやっぱり、努力になっていた。

結果自分は3年生時にスタメンを勝ち取り、T1、インターハイ、選手権に出場した。選手権では小学生の時から憧れていた西が丘競技場でも試合に出れた。

全国には行けなかったしプロになれなかったから自分は二流以下である。

しかし自分を認めていなかったコーチのもとで沢山のことを学び、最後には信頼を勝ち取って(勝ち取り切れたかは分からない笑)試合に出れた。入学当初に立てたミッションは達成していたのである。

中学時代が今の自分の土台と言ったが、
高校時代は完全に積み上げだった。

そして大学。

んーと、文理学部サッカー部ってのは日本大学保体審サッカー部とはちがう!
けど東京都大学サッカー連盟に所属してて都リーグとかアミノバイタルカップとか天皇杯予選とか出てるから他大学から見たら部活動だよ!
週6回活動してるしね!
でも日本大学からは保体審としては認められてないからサークル扱いされてるんだよねー!

これが自分の所属チームを友達に教える時の紹介文。

言った通り日本大学文理学部サッカー部は日本大学側から競技スポーツ部として認められていない。いわゆる体育会の部活としては認められていないということだ。
でも、東京都大学サッカー連盟には所属している。他の大学の体育会サッカー部と試合をする。

やってること部活動なのにサークル扱いで可哀想!

サークルなのに部活の大会出れて羨ましい!

所詮サークルでしょ?

部活にしては弱くね?

このチームの見られ方はこんなところだろう。

今の村松健太の原動力は
そう見られている日本大学文理学部サッカー部を自分が在籍中に必ず周りに認めさせたいという気持ちである。

保体審と遜色ないくらい魅力的で強いチームだと思われたい。

認められようと努力し続ければ必ずこのチームは強くなるし認められる存在に引き上げられると信じている。

必ず認めさせる。

自分はずっと『不言実行』なアスリートやチームメイトには憧れてきた。カッコいいと思うし、あれが本当の努力だと思う。一人で黙々と努力できる人間は強い。そういう人間が本当の一流になるんだと思う。

自分は一人で黙々と努力が出来ない弱い人間である。

けどそんな自分でも純真な努力ではないが、
成長に繋がる自分流の頑張り方を確立できた。

自分はこれからも周りに認められたいという原動力で動き、行動し、成長していく。

残り1年半のサッカー人生。

自分の最後の『演技の努力』の結果がどうなるか、楽しみにしててほしい。


3年 村松健太


長々とすみませんでした!
読んでくれた方ありがとうございます!
次回は揉めた回数ランキング堂々の第一位のイケメントレーナー三崎くんがお届けします!!
今となっては大親友でいつも腰のケアをしてくれる優しい彼は素晴らしい文章を書いてくれるでしょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?