英2000ギニー&ケンタッキーダービー2024 有力馬解説・展望

5月を迎え、日本では桜花賞・皐月賞が終了。
東京競馬場における春のGⅠ戦線が始まる時期だが、欧米においてもクラシックシーズンに突入する。
5月4日には英国で本家クラシックの第一冠・2000ギニーが、アメリカでは三冠初戦のケンタッキーダービーがそれぞれ行われる。
また、同時に牝馬クラシック戦もあり、英国では1000ギニー、アメリカではケンタッキーオークスがある。

本記事では英国から2000ギニー、アメリカからケンタッキーダービーを取り上げ、有力馬解説と展望を行っていきたい。

なお、今回はちょっと短めです。
時間があんまり無かったのでゆるして。


2000ギニーステークス(The QIPCO 2000 Guineas Stakes)

2024/5/4 15:35(日本時間23:35)
格付け:GⅠ
開催地:イギリス・ニューマーケット競馬場
条件:3歳牡馬・牝馬
コース:直線・芝1600m(ローリーマイルコース)
総賞金:50万ポンド(約9600万円)

出走予定馬

①(8)アルヤナービ(Alyanaabi)/J.クローリー
②(2)シティーオブトロイ(City of Troy)/R.ムーア
③(3)ゴーストライター(Ghostwriter)/R.キングスコート
④(5)ハーテム(Haatem)/J.ドイル
⑤(11)イベリアン(Iberian)/T.マーカンド
⑥(7)イニシェリン(Insherin)/T.イーヴス
⑦(1)ナイトレイダー(Night Raider)/D.タドホープ
⑧(6)ノータブルスピーチ(Notable Speech)/W.ビュイック
⑨(4)ロサリオン(Rosalion)/S.レヴィー
⑩(9)タスクフォース(Task Force)/R.ライアン
⑪(10)テンボブトニー(Ten Bob Tony)/S.オズボーン
※5/3現在、()内はゲート番

有力馬解説・展望

イギリス・ニューマーケット競馬場のローリーマイルコースで行われる2000ギニーステークス
英国平地競馬シーズン1発目のGⅠであり、本場クラシックレースの第1戦だ。日本で言う皐月賞で、皐月賞は海外では「Japanese 2000 Guineas」などと呼ばれる。
コースは直線・芝1600m。これは牝馬限定戦となる1000ギニー(日本でいう桜花賞)でも同じである。

最大の注目を集めるのはシティーオブトロイ(City of Troy)
クールモアの所有馬であり、管理調教師はエイダン・オブライエン。鞍上は勿論、オブライエン厩舎の主戦騎手ライアン・ムーアである。 い つ も の
5/3現在、オッズ4/6(約1.6倍)の圧倒的1番人気を背負う本馬の父は米国三冠馬ジャスティファイ(Justify)、母父はガリレオ(Galileo)。
関係者がこぞって絶賛するスーパースター候補である。

オブライエン師曰く「私が手掛けた中で最高の2歳馬」、クールモア曰く、「我々にとってのフランケル(Frankel)」。
とまあ、とにかく吹きまくっている
とりあえずオブライエン師のこういうコメントは毎年の風物詩、ボジョレー・ヌーヴォーの今年の出来栄えのようなモノなので一旦置いておくにせよ、とにかくこの馬が強い馬であることに間違いはない。

この2000ギニーが3歳初戦となるシティーオブトロイだが、2歳時は3戦3勝、未だ無敗を誇示している
2歳重賞は2つ持って行っており、GⅢ・スーパーレイティブS(ニューマーケット芝1400m)とGⅠ・デューハーストS(ニューマーケット芝1400m)を優勝。
特にデューハーストSでは3馬身半差の見事な完勝で、2歳にしてレーティング125を獲得している。

3戦ではGood(良)・Good to Soft(稍重)・Soft(重)と異なる馬場状態で結果を出している上、ニューマーケット競馬場での実績を積んでおり、優れたパフォーマンスを発揮している。
上述の通り、関係者の最早予祝レベルの超強気コメントも相まって、圧倒的1番人気の支持を受けるのも納得できる──が、本質的には3歳春のクラシックのレース。
明確な不安要素もあり、果たして1.6倍というオッズが適切かということは、個人的には疑問がある。

ここが今期の初戦ということで、オブライエン厩舎の管理馬は1発叩いてから上向く傾向にあるだけに、どこまで身体を使えるかというのが気になるところではある。また、1400m戦しか経験がないため、200mの距離延長がどうかという懸念もあるが、確かにこの2000ギニー、ニューマーケット競馬場のマイル戦でシティーオブトロイに逆らうのは難しいように見えるのも事実だ。
2歳時から明らかにこの2000ギニーを見据えたローテーションを組まれており、確実に狙ってきている雰囲気はある。
2000ギニーの後、彼がザ・ダービーに進むのかロイヤルアスコットに向かうのかも含め、今回シティーオブトロイがどのようなレースをするのかによって、欧州クラシックの趨勢も大きく変わってくるのではなかろうか。

2番人気はロサリオン(Rosalion)、オッズは4/1(5.0倍)。
l'Arc(凱旋門賞)開催の2歳GⅠ・ジャンリュックラガルデール賞(パリロンシャン芝1400m)の勝ち馬である。
父は今年の3歳世代が初年度産駒となる期待の新種牡馬ブルーポイント(Blue Point)、母父はニューアプローチ(New Approach)という血統。
ジャンリュックラガルデールの2着馬アンクエスチョナブル(Unquestionable)はその次戦でGⅠ・ブリーダーズカップジュベナイルターフ(サンタアニタパーク芝1600m)を優勝しており、このロサリオンの評価も高まった。
また、2戦目のL・パットエダリーS(アスコット芝1400m)の3着馬エンシェントウィズダム(Ancient Wisdom)は後にGⅠ・フューチュリティトロフィー(ドンカスター芝1600m)を優勝している。
この馬も芝1600mの経験がないのが怖いものの、強い相手に結果を出している点は評価すべき点で、確かにシティーオブトロイの対抗としてはこの馬が筆頭か。

しかし、元々は2000ギニー前に1戦使いたいと管理するリチャード・ハノン調教師がコメントしていたにも関わらず、結局馬場状態を理由に前哨戦を使わず、直行になってしまったというところが懸念材料と見られている。
師は「1戦使ってから2000ギニーに行きたい」とコメントした際、併せて「馬場状態次第では直行にする」とも発言しているので、調整過程については問題ないのではないかとこの記事の筆者は考えているのだが、さて。

と、ここまでがオッズ10倍を切る人気となっている。
フューチュリティトロフィー勝ち馬エンシェントウィズダム(Ancient Wisdom)が出走してこなかったことで、実質的にこのレースはシティーオブトロイとロサリオン、2頭の2歳王者による二強体制になったと言えるだろう。

オッズ10/1(11.0)倍の3番人気ノーダブルスピーチ(Notable Speech)は、ゴドルフィンの所有馬である。
調教師はチャーリー・アップルビー、鞍上は勿論ウィリアム・ビュイックとなっている。 い つ も の
この馬は3歳になってからデビューし、3連勝でクラシック路線に乗ってきた。
しかしながら、その3戦は全てオールウェザーでの競走であり、初の芝のレースがここになるというのはちょっと不安すぎるか。未知の魅力があると言えばそうだが。

ゴーストライター(Ghostwriter)は昨年9月のGⅡ・ロイヤルロッジステークス(ニューマーケット芝1600m)の優勝馬で、そこからの直行となる。
間隔がかなり広く取られているのをプラスと捉えるかマイナスと見るかは微妙なところだが、ロイヤルロッジSに関してはこの時の2着馬アルマスマク(Al Musmak)がパットエダリーS(L)でもロサリオンに次ぐ2着、エンシェントウィズダムに先着していることを考えると、軽く見る必要は無いはずだ。
既にニューマーケットでマイル戦を経験しているというのも強みになるのではないかと見え、オッズ16/1(17.0倍)以上の評価ができるのでは……? と筆者は思う。

同じくオッズ16/1(17.0倍)のナイトレイダー(Night Raider)は、ダークエンジェル(Dark Angel)産駒。
デビューから2戦2勝の無敗馬であるが、こちらもオールウェザー戦しか経験がないのと、相手関係からして未知の要素が大きい馬となる。

この他、前哨戦となる4月のGⅢ・クレイヴンステークス(ニューマーケット芝1600m)の勝ち馬ハーテム(Haatem)や、デューハーストSでシティーオブトロイの2着となったアルヤナービ(Alyanaabi)などが出走する。

来週にはフランスでのGⅠ・プールデッセデプーラン(フランス2000ギニー)(パリロンシャン芝1600m)、月末にはGⅠ・アイリッシュ2000ギニー(カラ芝1600m)など各国でのクラシックレースが控える中、まずは近代競馬発祥国たるイギリスでの2000ギニーが欧州のクラシック戦線を占う。
6月のザ・ダービーを見据える上でも、是非注目したいレースと言えるだろう。

ケンタッキーダービー(The Kentucky Derby)

2024/5/4 18:57(日本時間5/5 07:57)
格付け:GⅠ
開催地:アメリカ・チャーチルダウンズ競馬場
条件:3歳
コース:左回り・ダート2000m
総賞金:500万ドル(約7億6000万円)

出走予定馬

ドーノック(Dornoch)/L.サエス
シエラレオーネ(Sierra Leone)/T.ガファリオン
ミスティックダン(Mystik Dan)/B.ヘルナンデスJr.
キャッチングフリーダム(Catching Freedom)/F.プラ
カタリティック(Catalytic)/J.オルティス
ジャストスティール(Just Steel)/K.アスムッセン
オナーマリー(Honor Marie)/B.カーティス
ジャストアタッチ(Just A Touch)/F.ジェルー
エンシーノ(Encino)/A.コンセプシオン

テーオーパスワード(T O Password)/木村和士
フォーエバーヤング(Forever Young)/坂井瑠星
トラックファントム(Track Phantom)/J.ロザリオ
ウエストサラトガ(West Saratoga)/J.カスタノン
エンドレスリー(Endlessly)/U.リスポリ
ドメスティックプロダクト(Domestic Product)/I.オルティスJr.
グランドモーザファースト(Grand Mo The First)/E.ハラミーヨ
フィアースネス(Fierceness)/J.ヴェラスケス
ストロングホールド(Stronghold)/A.フレス
レジリエンス(Resilience)/J.アルバラード
ソサエティマン(Society Man)/L.デットーリ
エピックライド(Epic Ride)/A.ベスキッツァ
《補欠》
ムガトゥ(Mugatu)/J.タラモ
※5/3現在

有力馬解説・展望

今年、第150回の節目を迎えるケンタッキーダービー。
スポーツの中で最も偉大な2分間」「ラン・フォー・ザ・ローゼス」などと言われる、アメリカのダート3歳最強馬──即ち、世界の3歳ダート最強馬を決定する戦いが、今年もケンタッキー州のチャーチルダウンズ競馬場で行われる。
世界各地の「Road to the Kentucky Derby」を勝ち上がってきた20頭の優駿が、薔薇のレイと米国最高峰の栄誉をかけて争う。

今年はフォーエバーヤングテーオーパスワード、2頭の日本馬がそれぞれ日本人騎手を背に出走するとあり、グリーンチャンネルでの中継と国内での馬券発売も決定。
日本国内での注目度も年々高まるレースだが、今年も日本馬を迎え撃つ米国調教馬たちのメンバーは非常に強力である。

筆頭はフィアースネス(Fierceness)である。
昨年11月、人気薄ながらGⅠ・ブリーダーズカップジュベナイル(サンタアニタパーク ダ1700m)を6 1/4馬身差で圧勝して2歳王者となった、世代屈指の身体能力を持つ馬だ。

3歳となってからはケンタッキーダービーに向けて余裕を持ったローテーションが組まれ、復帰戦に選ばれたのは2/3のGⅢ・ホーリーブルステークス(ガルフストリームパーク ダ1700m)。
単勝オッズ1倍台の圧倒的1番人気に支持されたフィアースネスだったが、道中3番手追走から3コーナーで押し上げるも動ききれず、ヘイディーズ(Hades)の3着に敗れた。
これにて銀行崩壊となり、ロード・トゥ・ケンタッキーダービーは混迷の時を迎えた──と思いきや、フィアースネスは叩き2戦目に選んだ最重要プレップレース、GⅠ・フロリダダービー(ガルフストリームパーク ダ1800m)で圧倒的なパフォーマンスを見せる

悠々とハナを奪ったフィアースネスは、3〜4コーナーで後続を突き放し、直線でも余裕ある手応え。
何と2着馬に13馬身半差をつけての圧勝となった。

言うまでもなくフロリダダービー史上最大着差であり、底知れない能力を見せつけたフィアースネスは、このレースを以て当然ながらケンタッキーダービー前売り1番人気に浮上。
5/3現在はオッズ5/2(3.5倍)の支持を受けている。
同日行われたGⅠ・アーカンソーダービー(オークローンパーク ダ1800m)でBCジュベナイル2着馬ムース(Muth)が優勝したことも、フィアースネスの評価を高める要因となったと言えるだろう。

今回のメンバーの中でも能力的にはこの馬が1枚抜けていると感じる反面、2歳時にはGⅠ・シャンペンステークス(アケダクト ダ1600m)で7着。
そして上述の通りホーリーブルS(GⅢ)を落としていることを考えると、かなりパフォーマンスにムラがある馬という印象で、決して完全無欠の存在ではないと思う。
フロリダダービーは本当に好きに走らせてもらった、展開が恵まれたが故の着差(にしても異常なパフォーマンスなのは言うまでもないが)だと言え、展開1つでコロッと負けてしまう危険性のある馬でもあると感じられる。

ブッ千切るか惨敗するかのどっちかになりそうで、軸にする前にちょっと考えたい馬かなとは思う。
少なくとも、前走だけ見て脳死で軸にするのは危険なのではないだろうか。

フィアースネスへの対抗馬の1番手はGⅠ・ブルーグラスステークス(キーンランド ダ1800m)の覇者、シエラレオーネ(Sierra Leone)だろう。
セールで230万ドル(約3億4500万円)で購買された超良血馬で、大外をブン回して勝つロマン溢れる追込馬。
前走のブルーグラスS(GⅠ)でも、後方2番手〜最後方の追走から直線一気で前の馬を呑み込んで優勝した。
現在は5/1(6.0倍)の2番人気に支持されている。

前々走のGⅡ・リズンスターステークス(フェアグラウンズ ダ1700m)もかなり良いメンバーが揃った中でのレースとなり、2着馬トラックファントム(Track Phantom)、3着馬キャッチングフリーダム(Catching Freedom)、5着馬オナーマリー(Honor Marie)は転戦先のGⅡ・ルイジアナダービー(フェアグラウンズ ダ1900m)でも好走。
4着馬レジリエンス(Resilience)もGⅡ・ウッドメモリアルステークス(アケダクト ダ1800m)を優勝しており、このメンバーに土をつけたシエラレオーネの評価は非常に高い。

脚質的にはどうしても展開に左右されることになるが、ケンタッキーダービーは前が速くなりやすいレースであり、前半の1/4マイル(400m)で22秒台が出ることも珍しくない。
20頭立てであるので、前走のような大外ブン回しになると厳しいだろうが、馬群を割って来れるならば先行集団をまとめて撫で切っても不思議はない。それだけの末脚は持っている。

オッズ8/1(9.0倍)のキャッチングフリーダム(Catching Freedom)は、ルイジアナダービー(GⅡ)の勝ち馬。
この馬も後方からレースを進める差し・追込馬で、ルイジアナダービーも最後方からの競馬で勝ちきった。
今年のグローバルジョッキーランキングでもジェームズ・マクドナルド、ライアン・ムーアに次ぐ3位につけているフラヴィアン・プラが前走からの継続騎乗になるというのも魅力になるのではなかろうか。
ルイジアナダービー組はケンタッキーダービーでの好走率も高く、GⅠのプレップレースに比肩するほどだ。
シエラレオーネが突っ込んでくるようなレースになれば、この馬も一緒に突っ込んでくるのではなかろうか。

オッズ13/1(14.0倍)、5番人気のジャストアタッチ(Just A Touch)はジャスティファイ(Justify)産駒で、ブルーグラスS(GⅠ)の2着馬。
未だ重賞勝ちは無いものの、ブルーグラスSでシエラレオーネが最後方から突っ込んでくる中、先行して粘ったのは確かに評価できよう。
かつては2歳時からデビューし活躍している馬でなければケンタッキーダービーは難しい、と言われていたが、近年では3歳デビューのジャスティファイが三冠を達成したことでその理論は粉砕された。
3歳世代のジャスティファイ産駒は好調で、欧州には上述したシティーオブトロイ(City of Troy)やGⅠ・マルセルブーサック賞(パリロンシャン芝1600m)勝ち馬オペラシンガー(Opera Singer)、米国にもGⅠ・BCジュベナイル(サンタアニタパーク ダ1600m)などを制してGⅠ・ケンタッキーオークス(チャーチルダウンズ ダ1800m)も2着のジャストエフワイアイ(Just F Y I)やGⅠ・BCジュベナイルフィリーズターフ(サンタアニタパーク 芝1600m)の勝ち馬ハードトゥジャスティファイ(Hard to Justify)など、地域・馬場を問わず2歳時から活躍馬が現れている。
ジャストアタッチも、他のジャスティファイ産駒の勢いに乗っていきたいところ。一気の戴冠が期待される。

ストロングホールド(Stronghold)も注目したい。
前走はGⅠ・サンタアニタダービー(サンタアニタパーク ダ1800m)で、ボブ・バファート厩舎の管理馬であり引退詐欺師ランフランコ・デットーリが騎乗したイマジネーション(Imagination)を競り落としての戴冠。
中団辺りからレースを進めるのではないか、と私は思っているのだが、並ばれてから抜かせない勝負根性というのが、ペースが速くなりタフなレースになりがちなケンタッキーダービーでは生きるのではないかと思える。
今回は過去に勝ち馬が1頭も出ていない「死の17番枠」からのスタートだが、2020年から発馬機(ゲート)が新調されており、さほど気にする必要もなかろう。
隣のフィアースネスの出方も見ながら競馬ができそうで、むしろ悪くない枠だと思う。
サンタアニタダービー組はケンタッキーダービーでも結果を出しており、今年はこの馬が唯一のサンタアニタダービーからの参戦ということで、オッズ35/1(36.0倍)という評価を覆す走りに期待をしたい。

昨年のケンタッキーダービー馬メイジ(Mage)の全弟として注目を浴びるのがドーノック(Dornoch)
前走ブルーグラスS(GⅠ)で4着と敗れたことから評価を落としているが、3走前のGⅡ・レムゼンS(アケダクト ダ1800m)ではシエラレオーネを2着に抑えての優勝。
現状シエラレオーネに唯一土をつけた馬でもあり、この他にもGⅡ・ファウンテンオブユースステークス(ガルフストリームパーク ダ1700m)も勝った重賞2勝馬だ。

前年覇者のフルブラザーということで、血統的な相性は当然に良いはずだ。
ケンタッキーダービー優勝馬の兄弟がケンタッキーダービーに参戦した例は過去にも幾つかあるが、2年連続での参戦、しかも片方が勝ち馬となると、1915年のリグレット(Regret)と1916年のサンダーラー(Thunderer)にまで遡る。この時はリグレットが優勝、サンダーラーは5着に敗れた。
昨年はメイジが優勝したが、さて今年のドーノックはどうか。兄弟馬の2年連続制覇となれば、勿論ケンタッキーダービー史上初の快挙である。

この他、ルイジアナダービー(GⅡ)2着馬オナーマリー(Honor Malie)がオッズ14/1(15.0倍)、GⅢ・サウスウエストステークス(オークローンパーク ダ1700m)で高いパフォーマンスを発揮したミスティックダン(Mystik Dan)が20/1(21.0倍)などで続く。
GⅢ・ウッドメモリアルステークス(アケダクト ダ1800m)勝ち馬レジリエンス(Resilience)やGⅢ・タンパベイダービー(タンパベイダウンズ ダ1700m)覇者ドメスティックプロダクト(Domestic Product)、GⅢ・ジェフルビーステークス(ターフウェイパーク AW1800m)優勝のエンドレスリー(Endlessly)など、人気薄の馬たちもちゃんと実績を積んで出走してきている。
アーカンソーダービー(GⅠ)2着馬ジャストスティール(Just Steel)やL.デットーリが騎乗するソサエティマン(Society Man)なども1発の可能性は充分に秘めている。

ケンタッキーダービーは荒れるレースでもあり、下位人気の馬たちも決して軽視できない

日本から参戦するフォーエバーヤング(Forever Young)は現在オッズ7/1(8.0倍)に支持されており、GⅡ・UAEダービー(メイダン ダ1900m)からの転戦組が結果を出せていないことが気になるところではあるものの、優勝を狙える有力馬だと評価されている。
テーオーパスワード(T O Password)はオッズ56/1(57.0倍)の大穴になるが、現地での調教などの評価は割と高く、鞍上に抜擢されたカナダ3年連続リーディングジョッキーの木村和士も良い感触を得ているようだ。
フォーエバーヤングの方が期待度は大きいだろうが、もしかすればテーオーパスワードの方が……というのもあり得るかもしれない。

生涯一度の夢舞台、薔薇の栄光を争う3歳馬たちの戦い。
第150回のケンタッキーダービーには、どんなドラマが待ち受けているのか──「スポーツの中で最も偉大な2分間」を、ともに楽しんでほしい。

なお、ケンタッキーダービーについてはこちらの配信においてもゆるーく話をさせて頂いた。
ここに書いてないようなことや私個人の予想についても詳しく喋ったりしたので、よろしければ。


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