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テレ東ドラマシナリオ①

こんばんは。体にお気をつけくださいね。中村冬雪です。

↑上記の記事の続きです。

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まずこの組み合わせです。

・ヒロインが浅川さん

・(予算的も考慮)

・サービスシーンもあると良い?(サウナのやつ的に)

という要素もあった上で考えてみました。

「うたかたのアンドロイド」

人物
芳賀 今日子(34)・・・貴征の娘
芳賀 貴征(回想時42)・・・故人。小説家。妻を早くに亡くしている。
高見 健二(26)・・・エイアズというアンドロイド管理会社の主任。
マリー・・・旧式アンドロイド。女性型。
ウィル・・・最新型アンドロイド。女性型。

〇回想・芳賀家・書斎
貴征は書斎の椅子に座っている。隣にマリーが立っている。
貴征「なぁマリー」
マリー「なんでしょう」
貴征「多分、もう私は長くない」
マリー「…病院に行きましょう」
貴征「いいんだ」
マリー「良くはないのではないですか」
貴征「いいんだよ。それより、聞いてくれ」

〇玄関
ウィルと高見が玄関に立ち、今日子が迎えている。

今日子「またですか?」
高見「まもなくアフターサービスが終了するのです。交換が終わっていないのはこちらだけなんですよ?」
今日子「関係ありませんよ」
高見「こちらとしても管理上旧型を放置するわけにはいきません」
今日子「私はマリーがいいんです」
高見「そういうと思って今回はこの最新型アンドロイド、ウィルも連れてきました」
ウィル「こんにちは、芳賀今日子様」
高見「旧型は内部にデータ保存をしていたので機能の追加には新たなメモリデータの挿入などが必要でしたが、こちらのウィルはクラウド上にデータを追加することができ、注文頂いてからすぐに行動可能になります」
今日子「機能の話じゃないんですよ」
高見「では…」

マリーが入ってくる。

マリー「今日子様、いかがなさいましたか」
今日子「なんでもないわ」
高見「エイアズのアンドロイド管理部門主任の高見だ」
マリー「お世話になっております」
高見「君を交換しにきた」
今日子「ちょっと、勝手なこと言わないで」
高見「それにマリー、君のメモリーには一部損傷が認められる。こちらとしても管理上そのままにするわけにはいかない」
マリー「メモリの損傷ですか」
高見「こちらとしても引き下がれません。実際にウィルの機能を見てください」
今日子「…わかりました。その代わり、マリーの方が優れているところがあったら帰ってくださいね」
高見「わかりました」

〇リビング
マリーとウィルがキッチンに立っている。高見と今日子が近くで見ている。

マリー「では、何を作りましょう」
今日子「父がよく食べていたものを」
マリー「かしこまりました」

マリーは冷蔵庫から食材を取り出し、手早く筑前煮を作る。ウィルはそれを見ている。

マリー「筑前煮でございます」
高見「ウィル。データベースから筑前煮を検索して作ってくれ」
ウィル「かしこまりました」

ウィルは素晴らしい手さばきとスピードで筑前煮を作り終える。

ウィル「出来上がりました」
高見「さぁ、食べ比べてみてください」

今日子は2つともを食べる。ウィルの作った方を食べた時、そのおいしさに驚く。

高見「どうです? 高級割烹の調理法をラーニングしていますから、負けるわけがありません」
今日子「確かにおいしい」
高見「そうでしょう? ウィルにして頂ければ新しい料理のラーニングもすぐですし、この味をいつでも作ることが出来ます」
今日子「じゃあマリーの得意なことで勝負して」
高見「得意なことですか」
今日子「そりゃあ、料理とか掃除とかは勝てないんだろうけど、マリーにもいいところはある。言葉よ」
高見「へ?」
今日子「小説家の近くにいたんだから」

〇回想・芳賀家・軒先
芳賀が座って景色を見ている。マリーが団子とお茶を持ってやってくる。

マリー「こちらどうぞ」
芳賀「ありがとう。…ここに座って」
マリー「はい」
芳賀「なぁ、マリー」
マリー「はい」
芳賀「アンドロイドに、好きって感情はあるのかな?」
マリー「好き、ですか?」
芳賀「あぁ」
マリー「わかりません」
芳賀「私は、君と一緒にいたい。マリーはどうだ?」
マリー「私も、芳賀様と一緒にいたいです」
芳賀「きっとそれがそうだ」
マリー「そうなのですか」
芳賀「そうだ」
マリー「では、好きです」
芳賀「だが、好きという言葉は使い過ぎては毒になることもある。失くしたときに、辛くなる」
マリー「そういうものなのですか」
芳賀「あぁ、だから、好きって言葉そのものは使うな。メモリーから消してしまうんだ」
マリー「わかりました」

〇書斎
今日子が招き入れて、高見とウィルとマリーが入ってくる。

高見「うわ!ここが芳賀先生の書斎ですか」
今日子「えっ、ファンなの?」
高見「全て読んでますよ。写真撮ってもいいですか?」
今日子「…どうぞ」
高見「ありがとうございます!」

ひとしきり高見は写真を撮る。

今日子「じゃあ、そこに座って」
高見「えっ、先生の椅子ですよね。いいんですか」
今日子「もちろん」
高見「うわっ、マジか」

高見は椅子に座り、興奮している。

今日子「じゃあ、ウィル。あの人に好きってことを好きってことなしで伝えられる?」
ウィル「はい?」
高見「夏目漱石かよ」
今日子「あれ、意外と詳しい」
高見「そりゃ多少古文についても勉強しますからね」
今日子「ウィル。できる?」
ウィル「はい」

ウィルは高見に近づき、かがんで目線を合わせる。

高見「ウィル…」
ウィル「高見様。私のことをどう思いますか?」
高見「えっ」
ウィル「嫌いですか?」
高見「いや…好きだよ」
ウィル「私も同じです」
高見「お、おう」
ウィル「…ずっと一緒にいてくれますか?」
高見「は、はい」
ウィル「…こちらでよろしいですか?」
高見「…あ、どうだ? さすが最新型だろ?」
今日子「マリー、あの人を父だと思って、できる?」
マリー「はい」
高見「父だと思って?」

ウィルが離れ、マリーが隣に立つ。

マリー「高見様」
高見「…え?」
マリー「つらいことはありますか?」
高見「今だよ、なかなか言うことを聞いてくれない」
マリー「言うことを聞かないのは、本質が別のところにあるか、何かに気付いてほしいからだと思いますよ」
高見「何かに気付いてほしい…」
マリー「私はここにいます。変わらすに」

マリーが目線の高さを合わせる。

マリー「辛いのは、あなたのせいじゃありません」
高見「え…」
マリー「私はここにいますので。何を言われても」

〇回想・書斎
芳賀が書斎の上の書類を怒りに任せて散らばしていく。マリーは隣に立っている。
マリー「いかがなされましたか」
芳賀「…すまない」
マリー「いえ、私はここにいます」

〇リビング
高見と今日子が向かい合って座っている。
高見「あの、先生とマリーは」
今日子「付き合っているとか、そういうのではないよ」
高見「はぁ…」
今日子「でも、表現するならそれが近い関係なのかもね」
高見「でもそれは」
今日子「ありえようがありえなかろうがいいじゃない。…実際母を亡くして自暴自棄だった父を生かしてくれたのはマリーだから」
高見「…そうなんですか」
今日子「そう、ずっと支えてくれた」

マリーはキッチンで片付けをしている。

今日子「確かに旧型かもしれないけど、寿命が来るまではマリーを残しておいてほしいの」
高見「…」

〇回想・書斎
冒頭のシーンの続き。
芳賀「聞いてくれ」
マリー「はい」
芳賀「私は偏屈かもしれない」
マリー「そうですね」
芳賀「でもそれは、助けてほしかったんだよ」
マリー「はい」
芳賀「偏屈なやつが言うことを聞かないのは、何かに気付いてほしいんだ」
マリー「はい」
芳賀「君は、近くにいてくれた」
芳賀「それでよかったんだ」
マリー「はい」
芳賀「…ありがとう」
マリー「…はい。…こちらこそ」

〇玄関
ウィルと高見が立っている。マリーと今日子は見送る。
高見「今日は帰ります」
今日子「もうこなくていいでしょ」
高見「まぁ、メンテナンスってことで通わないと話も通らないんで」
今日子「そう」
高見「じゃあ」
マリー「ありがとうございました」
高見「じゃあ、また。マリー」
マリー「はい。私は、ここにいますので」

〈了〉


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