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暗黙の前提を問う

独りボッチは嫌だ、怖い。となると、
とりあえず街に出て、人混みに紛れる。
善き消費者として、無理のない範囲で買い物をする。僅かな高揚感と満足を得る。
でも帰宅すれば、また独り。買った品物は明日になればどこかに行ってしまう。

組織に属し、与えられた役割をこなす。
他者と触れ合い、自分は独りではないことを確認し、ストレスと安心感を得る。
独りで尖っているよりは、組織のしがらみに浸っているほうが安全だ。
そして、年月を経るほどに従順になる。

手持ち無沙汰になればスマホを見ればいい。インターネットには無限の社会が開けている。楽しさも興奮も、全てが入っている。情報を発すれば、賞賛されることもあるし、非難されて深く傷つくことも可能だ。たとえ不快な思いをしても、孤独の闇に沈むよりはマシだ。

と考えると、いまの社会はうまく仕上がっている。本来、この国の人たちは無秩序で自分勝手な気質が強いはずだが、「日本人は勤勉」「周りが見てますよ」という巧みな刷り込みによって、統治者に都合がいいように誘導されている。実際は明確な統治者はおらず、互いに監視し統制を保っている。個人は社会から脱線することを過度に恐れる。

でも、結局、最後は独りだ。
尊厳ある個人として最後を迎えるべく、ちゃんと考えないと。


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