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SKY-HI ARENA TOUR 2023 ーBOSSDOMー 東京公演二日目ライブレポート

この度ご縁がありまして、SKY-HI ARENA TOUR 2023 ーBOSSDOMーにおいて「Turn Up」という楽曲の映像演出をupan incで担当しました。

direction - shoko morisaki
motion graphic & typography - nagi sato

ブルーレイも発売されまして、クレジットに掲載いただいて一区切りついたタイミングということで、東京公演二日目の内容を(個人的な備忘録も兼ねて)本編の映像演出の内容を中心にまとめておこうと思います。



OP~Limo

世を忍んで酒場を放浪し、市民に扮して民の声を聞く王様(SKY-HI)というストーリーのOPが開け、SKY-HIの姿がメイン中央LEDに映し出された……と思いきやメインステージ上部から(シルエット映像で)落下。
「痛って~~~」と言いつつ起き上がりながら「Crown Clown」がスタート。メインLEDには先ほどまでのOPと地続きの世界観のセット映像が出現。サビではカラフルなグリッチとリリックで煽ります。

続く「Mr.Psycho」では冒頭の激しい照明アオリからセット映像内のモニターにズームインし、そこにカメラ画が映し出される演出。このいわば「モニター内モニター」演出はこの後の曲でも多数登場します。

「Happy Boss Day」ではライブ画の上にダンスに合わせたライトリークや真っ赤なパーティクルエフェクトが合成される演出が大きな見せ場に。

次曲は「Limo」。レーザーと照明が音を細かく拾い、CGと一体になってグリーン系のサイバー空間を作り出していました。

明日晴れたら~SeasideBound

MC明けの「明日晴れたら」ではセピアカラーの雨が降る街が映し出され、MC前までとはうって変わってしっとりとしたテイストに。ラスサビでかかる虹にドラマを感じる構成でした。

韓国からラッパーのReddyを客演に迎えた「I Think, I Sing, I Say」の次はOZIも加わり「Name Tag」を披露。
新曲「Dream Out Loud」では工業地帯の中を走るハイウェイを背景に、インクやストロークが組み合わさった演出。サビなどベストなタイミングで生カメが見えるシーンもあり、こちらも印象的な演出でした。

「Blanket」では自転車の荷台に乗りダンサーと共に1Fスタンドを外周。続く「Seaside Bound」ではSKY-HIロゴを中心にグランジ系VJが展開しつつ、曲中でメインステージに戻りました。

Walking On Water~MISSION

「Walking On Water」からはセンターステージにここまで未登場だった四面八枚の透過LED「SK9」を使った演出がスタート。水面とリリックに加え、ステージカメラマンが映し出す生カメが多角的な視覚空間を生み出します。
そして間を置かずに「Turn Up」へと突入。今回用にエディットされた、尺にして一分強の超高速ラップナンバーに対して、どのようにCGとタイポグラフィを展開させていくか考えるのはとても楽しく良い経験になりました。生でも音源と変わりない活舌で本当にすごかったです……。

「何様」のmash upではSKY-HIロゴや額縁を出しつつビジュアルアート的なCGも取り入れ独特の世界観を構築。後半でのレーザーと一体となった演出も圧巻でした。

「JUST BREATH」ではサイバーなモニターグラフィックスとFuture系の文脈で登場しがちな(おそらくAKIRAが究極の出典)未来風バイクがCGで登場。ステージ上にカメラマンがあがって撮るタイプのカメラ画にもリアルタイムでエフェクトがかかり、生だというのが信じられないほどの仕上がりでした。

「フリージア」では冒頭でリキッド系CGが垂れる演出と共にSK9が飛ばされ、パフォーマンスは再びメインステージが主体に。メインLEDは2コーラス目から夜景CGに切り替わり、SK9がカメラ画にスイッチする場面も。
「I AM」では夜の街を鳥が飛び回り、サビではSKY-HIの旗でBOSSDOMの世界観を改めて提示。

続いての「Sky's The Limit」では冒頭から壁を破壊。本人の立ち位置とリンクした雷、エネルギーなどのエフェクト演出がありつつ、後半ではメインLEDをうまく使ってビルから飛び降りてそのまま宇宙に飛び出していくような展開に。(文章だと伝わらないのですが、本当にそのままです)。最後にブラックホールへ行きつくあたりも近年のマーベル映画を彷彿とさせる感じがあり最高でした。

「MISSION」は赤照明にカメラ画+タイポグラフィとノイズで魅せるタイトな構成。生カメにエフェクトでさりげなくかかっているエコー的な要素が効いているなと思いました。

Dramatic~THE DEBUT

生カメ+SKY-HIロゴVJの「dramatic」、港湾のコンテナCGをフレームに見立てた「Snatchaway」、照明系CGで展開する「Double Down」とメンバー紹介を経て、「愛ブルーム」からいよいよ公演はラストスパートに。ビビッドなインクとグラフィティ系VJで演出するハッピーなムードが、ただかっこいいだけには留まらないSKY-HIのエンターテインメントの厚みを感じさせます。
「Fly Without Wings」ではソニックも登場し、ソニックカラーの手書き系カートゥーン風エフェクトがカメラ画の上を踊り、SKY-HIとソニックがともに立つステージを彩ります。
「カミツレベルベット」はカミツレの花を用いたフレームCGで展開し、これで本編ラスト──と思いきや、なんとまだまだ終わらない模様。
改めてのメンバー紹介後に「以上をもってSKY-HI ArenaTour 2023 BOSSDOMは終わりま──せん!」との一声とともに披露されたのは「D.U.N.K」。
メインLEDはステージ上のワンカメラの画がビビッドカラーのVJと共に映し出され、ダンサー達と一体となったパフォーマンスを繰り広げます。SKY-HIが手掛けるスーパーショーの風格は終盤でも一切衰えることはなく、銀テープ特効も繰り出されてボルテージは最高潮に。
「To The First」では音とシンクしたパーティクル、ライン系のVJでソリッドな演出。
最後の「The Debut」ではOPで登場したBOSSDOM世界観のセット映像が晴れやかな光に包まれて登場。モニター内モニター演出で伸び伸びと歌うSKY-HIの姿を届けて本公演のラストとなりました。

個人的な感想

社会的に背負うものがある「社長」としての説得力と、お茶目さやユーモラスあふれる部分、そしてラッパーとしてのハングリー精神、矜持のそれぞれがあまりにも自然に「SKY-HI」として共存している姿にひたすら感服していました。
社会人五年目になり、責任を取る立場の方々へのリスペクトがやまない日々を過ごしながら、tofubeatsや礼賛のCLRが書くリリックに喰らったり励まされたりなどしているマインドの流れの状態でSKY-HIを目の当たりにできたことはとてもラッキーだったなと思います。

お金いっぱいでも稼いでたい
稼いだら 人に使いたいな

The Debut - SKY-HI

本公演で自身の持つ様々な面を表現してきたSKY-HIでしたが、「The Debut」でステージを駆け回りながら歌うその姿は、誰よりも音楽を楽しんでいる少年のようでグッとくるものがありました。

「愛し合おう。分け合おう。与え合おう」

バックにエンドロールが映し出される中でSKY-HIが語った、衒いやひねりのない素直な言葉は、コロナ禍をサヴァイヴしてきた表現者、経営者、あるいはひとりの人間としての等身大のメッセージに感じました。

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