小西洋之議員による菅野志桜里弁護士への一連のツイート(2022/10/18-19投稿)は誤った認識を前提にした誹謗中傷であるということ

追記箇所

2022/10/22 追記
タイトルの「2022/10/19投稿」を「2022/10/18-19投稿」に変更
「はじめに」項に小西議員のツイートとそのスクリーンショットを1つ追記
「当該ツイートから読み取れる小西議員の前提認識」項に上記ツイートに関する記述を追記
「ツイートの問題箇所」「ツイートの問題箇所(再掲)」項に上記ツイートに関する記述を追記
それに伴い記事内の番号振りを変更
「菅野氏による反対・意見封じとも受け取れる議事録部分」項に上記ツイートに関する記述を追記

はじめに

以下小西洋之議員による菅野志桜里弁護士に対するツイートです。(1つ目のツイートを追記)

念のためスクショも

2022年10月18日午後9:24投稿(追記)
2022年10月19日午後0:53投稿
2022年10月19日午後1:18投稿
2022年10月19日午後4:31投稿 

以上の投稿は誤った認識を前提にした誹謗中傷ツイートです。

私は「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」の全7回の公開されていた動画または議事録を全て見ています。
その検討会の内容・その中での菅野氏の言動は、小西議員の認識とは大きく異なっています。

しかしツイッター上には検討会の内容を確認した上でこの一連のツイートに反応している人が見当たらなかったので、小西議員の認識の誤りを事実ベースで示すべきだと考え、このnoteを書くことにしました。

当該ツイートから読み取れる小西議員の前提認識

小西議員のツイートには

『参加する消費者庁の検討会では「直ちに解散命令をすべき」とする他の弁護士の意見に反対したと聞いている。』(追記)
『消費者庁報告書には本日に私が岸田総理に撤回させた「民法の不法行為等は解散命令に使用不可」という違法な政府解釈に対する批判は一言もない。 それに異を唱えた他の弁護士の意見を封じたのが菅野氏と聞いている。』
『私が本日予算委で行った「法と正義にのっとった法解釈」の追及は、菅野氏が消費者庁の検討会でも行うべきものだった。 しかし、そのように主張する他の弁護士の意見に反対し、政府の違法解釈について言及ゼロの報告書(=事実上、解散命令が不可能)を出している。』

小西議員によるツイート(2022年10月19日)より一部抜粋

とありますが、小西議員の認識は以下のようになります。

菅野氏は「直ちに解散命令をすべき」とする他委員(弁護士)の意見に反対した。(追記)
政府・宗務課による解散命令請求に関する法解釈の恣意的な曲解を、消費者庁の検討会では批判・追及されていない。
そしてそれを主張する弁護士もいたが菅野氏の反対により意見が封殺された。結果提出された報告書には政府の法解釈について言及ゼロであり、事実上解散命令が不可能とするものだった。

これは完全に誤りです。
検討会の趣旨・内容・議論の流れ・発言内容・報告書の中身、それら全てに対しての認識が間違っています。

ツイートの問題箇所

次項から詳しく解説していきますが、小西議員のツイート内の誹謗中傷以外の問題点は以下の通りです。

政府は民法の不法行為などでは解散命令の請求は出来ないと一貫して野党やマスコミに主張してきた。
菅野氏も当然にそのことを知っていたはずだ。
にもかかわらず、参加する消費者庁の検討会では「直ちに解散命令をすべき」とする他の弁護士の意見に反対した(①)と聞いている。(②)
法律家の良心があるのか?

小西議員による1つ目のツイート
(数字)は筆者追記
(2022/10/22追記)

①むしろ菅野氏はそれを提言している。
②議事録を確認していない
(追記)

菅野氏を弾劾しなければならない。
消費者庁報告書には本日に私が岸田総理に撤回させた「民法の不法行為等は解散命令に使用不可」という違法な政府解釈に対する批判は一言もない。(③)
それに異を唱えた他の弁護士の意見を封じたのが菅野氏(④)と聞いている。(⑤
このような人物をマスコミは使うべきではない。

小西議員による2つ目のツイート
(数字)は筆者追記

③政府・宗務課の法解釈を明確に批判している。
④そもそも③の事実が存在しないので完全な噓。
⑤議事録を確認していない。

私が本日予算委で行った「法と正義にのっとった法解釈」の追及は、菅野氏が消費者庁の検討会でも行うべきものだった。(⑥)
しかし、そのように主張する他の弁護士の意見に反対し(⑦)、政府の違法解釈について言及ゼロ(⑧)の報告書(=事実上、解散命令が不可能)を出している。(⑨)
法律家としてあるまじき行為だ。

小西議員による4つ目のツイート
(数字)は筆者追記 

⑥法解釈の部分を「追及」というのは検討会の趣旨とは異なる。そして「追及」はしていないが強い言葉で「批判」している。
⑦「追及」すべきとする弁護士は存在しない。
⑧言及している。政府・宗務課の解釈について明確に批判している。
⑨「事実上解散命令が不可能」とする報告書は存在しない。

菅野氏による反対・意見封じとも受け取れる議事録部分

・「直ちに解散命令をすべき」とする他の弁護士の意見に反対(追記)
・解散命令請求における法解釈に関して、他の弁護士に発言に菅野氏が反対
・政府の対応への言及を報告書に載せないようにした

とも受けとれる発言は以下の部分だと思われます。

○菅野委員 私も同じ意見です。並列で走らせるのか、ステップ・バイ・ステップなのか というところは大事なところで、そこはむしろあまり玉虫色にしないほうがいいのではな いかというのが私の意見です。 その上で、もし解散命令請求の必要性にまでこの検討会で踏み込むのならば、疑いを超 える前提となる事実の分析まである程度このペーパーでやっておかないと、せっかくここ までやってきても、そこで最後、説得力を失うようなことにならないかということを心配 しています。

第7回議事録15Pより抜粋

小西議員のツイートは議事録を読んでの発言ではなく、人から聞いた話を前提としているため断言はできないですが、おそらくこの部分を指しているのだと思います。
ここだけ切り取ると確かに菅野氏は解散命令請求に関して消極的とも受け取れます。
しかしこの発言が出るまでの流れ・前後の文脈を確認するとそれは明らかに誤認とわかるので、時系列順に整理していこうと思います。

前述の菅野氏の発言に至るまでの経緯(第6回検討会まで)

まずこの検討会は消費者庁による「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」であって「統一教会対策検討会」ではありません。
霊感商法等の悪質商法を防止するためにどう法を運用するか・法改正が必要か・新法を作るべきかなどの議論が第1回から第6回の検討会で行われました。
その中で個別事案として統一教会による悪質な集金収奪行為をどう規制すべきかという議論が検討会の中心ではありましたが、それは統一教会を規制するためではなく、あくまでも統一教会「のような」悪質行為をどう規制するかという議論が中心でした。
また統一教会への解散命令請求について、統一教会は要件に該当するという議論もありましたし、消費者庁が利害関係人として解散命令請求を行えるのではないかという議論も行われました。

また第6回検討会では報告書とりまとめのためのフリーディスカッションが行われており、河上正二座長提出の「霊感商法・霊視商法の被害への対応について(メモ)」という資料を基に議論が行われました。
その資料の中には政府・宗務課による解散命令請求に関する法解釈の恣意的な曲解を批判する箇所がありました。

宗教団体の解散命令、業務停止命令等については、宗教法人法( 81 条 79 条)・公益財団法人法・会社法などに手がかりとなる規定はあるが、これまで発動された例は、わずかしかない(オウム真理教、妙覚寺事件等)。とりわけ宗教法人法の活用に対して文科省は消極的態度を示しており、その姿勢には、猛省を促したい。調査権・資料請求権などを前提とした通知・改善命令・業務停止命令・解散命令などが整備されるべきであり、[立証の困難がネックになっているなど]場合によっては、新たな制度の法整備が望ましいのかもしれない。【文科省】

第6回 検討会河上座長提出資料(霊感商法・霊視商法の被害への対応について)2Pより抜粋

さらに議事録の中で菅野氏は検討会から解散命令請求・質問権の行使を検討会から提言すべきとし、それに紀藤弁護士は「賛成」した上でさらに消費者庁が利害関係人として統一教会に解散命令請求ができるのではないか、と発言しています。

○菅野委員 分かりました。
では、まず「旧統一教会への対応等」というところで意見を言います。
私は、もちろん防ぐとか救うということを法改正で対応するのは、2以下の議論で大事だと思うのですけれども、今後の予防、救済の大前提として、現在の問題を乗り越えることが必要不可欠だと思うので、根っこを断つという意味からも旧統一教会への対応についてこの検討会でしっかり提言すべきだと思っています。
その点で、旧統一教会に関しては、解散命令が難しいとか、解散命令請求が難しいということなのか、ちょっと判然としないのですけれども、様々な発信がなされているので、ここで一定の法的な評価を出すべきなのではないかと思っています。
具体的に言うと、旧統一教会に関しては裁判例ですね、弁護団の皆さんが積み上げてくださった伝道、教化、献金要求行為などに組織的な違法が認められたもの、こういうものが積み上がっているわけですし、そのほか明らかになっている数々の問題を直視すれば、宗教法人法第78条の2第1項1号に基づいて、「法令に違反して著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした疑いがあると認めるとき」という要件に該当すると考えるのが自然だと思います。なので、同条に基づいて、所管庁において質問・報告徴収権
を行使して、解散命令請求の判断に向けた調査を速やかに開始すべきだと提言することが必要だと思っています。

この点に関しては以上です。
○河上座長 どうもありがとうございました。
紀藤委員、どうぞ。
○紀藤委員 私も菅野委員に全くの賛成です。その上で一言付け加えると、私は消費者庁も利害関係人として申立てができるという考え方に立っています。
今日、消費者庁の資料が出ていたと思うのですけれども、映していただければと思います。資料2の「宗教法人等に関する指摘事項」です。これを見ていただければお分かりと思うのですが、所轄庁は消費者庁ではないということなので、宗務課が所轄庁になるのでしょうけれども、消費者庁は所轄庁でなくても利害関係人申立てができるのではないかと私は考えています。
その点は検討すべきだと思っている理由は、宗務課には情報収集窓口がありません。つまり、宗務課が申立てをしようとすれば、所轄庁は一般的には情報収集権限を持っていなければ、所轄として申立てが難しいということになると思うのですね。そうすると、宗務課が何かをやろうとするという、宗教法人法という、本来その法律を純粋に読んだときに、宗務課は確認する手だてがないのです。そして、確認する手だてがないところが申立権限者になっているということは、逆に言うと利害関係人を広く見ないといけないのではないかというのが宗教法人法の立てつけではないかと思います。つまり、利害関係人申立てができることを前提に考えると、宗務課に対して消費者庁のほうでも強く働きかけていく必要性があるのではないかと思います。申し立てるときには共同申立てになろうかとも考えられます。
それから、定員とか予算を見ていただければお分かりになると思うのですけれども、たった8名で18万以上の宗教法人と宗教団体を簡単に言うと統計調査をしているだけなのです。私ども全国霊感商法対策弁護士連絡会でも何度も話し合ってきましたけれども、やはり8人では体制が不備なのですね。
その不備な立てつけがどうして生まれたのかということも原因論としてあると思うのですけれども、この5番目、消費者庁と文化庁宗務課とのこれまでのやり取り、交流があったかということに、必要に応じと書いてあるのですけれども、例えば、遡って考えると、2009年の霊感商法が社会問題化したときに果たして交流できていたのかどうかです。消費者庁は2009年9月にできるわけですけれども、その年はちょうど霊感商法の問題が大きくクローズアップされて、犯罪化されて店舗が摘発された時期に当たります。そういったときにきちっとした情報交換がなされていたかどうかについては私はやや疑念があって、そこは国会で議論してもらってもいいのかもしれませんけれども、具体的な問題としてあるのではないかと思います。
いずれにせよ、付け加えたかったのは、宗教法人法の解釈としても利害関係人申立てを検討していただきたいと思っています。
以上です。

第6回議事録12P~13Pより抜粋

この第6回検討会の後、河上座長・宮下修一座長代理に加え発言の多かった紀藤氏・菅野氏の4名で検討会のとりまとめ案を作成し、その後作られた報告書案をブラッシュアップしていったのが第7回検討会です。

この第7回検討会内で問題の菅野氏の発言がありました。

前述の菅野氏の発言に至るまでの経緯(第7回検討会)とその後の報告書内容

報告書案の文言などについて議論がされる中、解散命令請求と質問権の行使を提言する文言について紀藤弁護士が発言する部分があります。
要約すると
①質問権の行使を検討会で具体的に議論されたことはないので、少し唐突に感じるがこの書きぶりには感謝する。
②解散命令請求と質問権の行使は必ずしも連動するものではないので、この2つをより並列なものとして並べる文言にしてほしい。
という発言です。

1.総論
① 旧統一教会については、社会的に看過できない深刻な問題が指摘されているところ、解散命令請求も視野に入れ、宗教法人法(昭和 26 年法律第 126 号)第 78 条の2に基づく報告徴収及び質問の権限を行使する必要がある。

第7回検討会【資料1】報告書(案)3Pより抜粋

○紀藤委員 その上で①です。①は、「質問の権限を行使する必要がある」というのは、この書きぶりは本当に感謝するし、①にこれが入っていること自体、すばらしいことだと思っているのですけれども、実はこの会議で質問権の行使を具体的に皆さんでやり方も含めて検討したことは一度もないのです。議論したこともないのです。だから、私から見るとちょっと唐突な感じがしています。
もちろん質問権の必要性がある場合、視野も何も、質問権は解散命令請求の根拠で質問するわけですから、条文上そうなっているので、視野に入れるのは当然なのですが、そのこと自体はいいことですが、できれば並列で並べていただきたいのです。「指摘されているところ、解散命令請求を検討し、必要であれば宗教法人法第78条の2に基づく報告徴収及び質問の権限を行使すべきである」とか、あるいは「必要がある」でもいいのですけれども、そういう書きぶりでないと、質問権を行使しない解散命令は過去2回行われていて、過去に質問権の行使の前例が一度もないということもありますし、果たして質問権を行使することで、統一教会が本当のことを言ってくるのかと言われると、恐らく言ってこないと思いますので、私は法律構成上も迂遠な感じがしていて、材料の入手という観点はあるかもしれないけれども、絶対にやってはいけないという趣旨はないので、「必要がある」という後半はいいのですけれども、前段に端的に解散命令を請求するというのも入れておいていただきたいと思うのです。
個人的には、解散命令請求をする必要がある、同時に、必要であれば質問の権限を行使するべきである、そういう書きぶりがいいのですけれども、消費者庁の書きぶりなので、「解散命令請求を検討し、また、必要であれば」と。この書きぶりについて説明する文章は消費者庁に送ったのですけれども、そういう書きぶりがいいかなと思っています。

第7回議事録9P~10Pより抜粋


この後、何人かの委員により発言があった後、菅野氏による発言があります。
「統一教会に関しては質問権の行使ののち解散命令請求をすべきではないか、だから解散命令請求を視野の先として質問権の行使の提言というニュアンスでいいのではないか」という意見です。

○菅野委員 ありがとうございます。
特定商取引法については後で紀藤先生にももうちょっと詳しく伺いたいことがあるのですけれども、今は2の「旧統一教会への対応等」というところで意見交換をしたいと思っています。
その上で、私自身は、今まで弁護団が積み上げてきた事例とか、また今回を期に様々な信者告白とか2世告白とか、この研究会で出てきたいろいろな内部資料を見ると、解散命令請求に値する事案だと思っているのですね。ただ、その前段として、その検討に当たっては質問、報告徴収というこれまで怠ってきた調査権をちゃんと行使して、調査資料を集めて、そして、役員、代表から聞き取りもして、分析もして、その上で自信を持って解散命令請求をすることがいろいろな方の納得をいただくという点でも王道ではないかなと思っています。
もちろん、質問権をすっ飛ばしてこれまで解散命令請求をされてきたのですけれども、これは犯罪捜査で警察も検察も入って、かなり深く広く、わっと証拠などが集まった上での解散命令請求だったという点で、今回とフェーズが違うのかなと思っています。
やるべきなのだけれども、プロセスをしっかり踏むということを考えた上でも、質問権の行使、報告徴収権の行使というところにストレートに力点を置きつつ、もちろん視野の先に解散命令請求があるという当たり前のことを当たり前に書いていくことが適切ではないかというのが私自身の意見であります。

第7回議事録11Pより抜粋

この後、何人かの委員により発言があった後、紀藤氏による発言があります。

紀藤氏は「解散命令請求と質問権の行使をより並列に見せる文言の方がいいのではないか」
菅野氏は「解散命令請求を視野の先として質問権の行使の提言という文言でいいのではないか」
と、やや意見が食い違いますが、対立・反対というような構図ではないです。

○紀藤委員 ちょっと共有させてください。
私の案ですけれども、どういうことかというと、先ほど言った条文構造なのです。つまり、今、議論があったと思うのですけれども、条文構造で、私の案は「検討し、また」ということで並列で並べるという案なのです。
もともと「視野に入れ」ということに関しては、質問権を行使する以上は、先ほど言ったように疑いがあるということがもう前提なのです。つまり、質問権を行使するということは、わざわざ「視野に入れ」という言葉は要らないぐらいなのです。当然の前提だからです。だから、この「視野に入れ」ということと「解散命令請求」は並列に並んでいるかどうかが文言上分かりにくいのです。
だから、私としては、ここの解散命令請求を検討し、同請求も視野に入れて、宗教法人法第78条2第1項に基づく報告徴収及び質問の権限を行使する必要があるというのは、本当はもう少し具体的に区別したいのです。解散命令請求を検討すること、また、同請求も視野に入れて権限を行使することも検討することとか、具体的に書きたいのだけれども、具体的に書くと、逆に言うと「必要がある」というところがそがれてしまうので、ぎりぎりの案として、並列で並んでいるようにも見えるし、並列に並んでいるようにも見えないような感じ。
菅野さんがさっき言われた話も非常によく分かるのです。質問権を過去に行使されていないから、きちっと手続上やるべきだという御意見も十分分かるのですけれども、1か月後、果たして質問権を行使するような状況になっているのかということ自体も今の段階では不透明なので、報告書としては並列に読めるように残したらいいのではないかと思って、私としてはもっと強く書きたいのだけれども、どっちにも読めるという案がいいかなと思って、もともとはいろいろあるわけですけれども、昨日、消費者庁にはこういう案でどうかと流していて、その理由も今言った説明をつけていて、「解散命令請求も視野に入れ、宗教法人法第78条2第1項に基づく報告徴収及び質問の権限を行使する」というのは、条文構造上、当然の前提であるから、この書きぶりからは解散命令請求自体の必要性が曖昧になるので、両者が並列に並んでいる意味を文言上明確にする趣旨として加筆したという形で、一応昨日は意見を述べているところです。
以上です。

第7回議事録13P~14Pより抜粋

その後文言に関する議論が進んだのちに問題の菅野氏による発言があります。つまりこの発言は「解散命令請求を出すよう提言すべきだが、その前に質問権を行使するか否かなど細かく踏み込んだ議論をこの検討会で重ねたわけではないので、質問権を飛ばして解散命令請求というニュアンスは強く出さなくてもいいのではないか」という内容になります。

○田浦委員 ありがとうございます。
「視野に入れ」も「検討しつつ」もあまり変わらないような気がします。「視野に入れ」というのは比較的身近にある言葉なので、分かりやすいかなと思います。
解散命令にいきなり行くというのは、勇み足のような感じがしまして、その前段階で質問権とか報告徴収権があるのであれば、そういったところで調べて、それから次のステップに行くような印象があるのですね。ですので、段階を踏んで行うということが分かるように書いていただくのもいいのではないかなと思いました。ありがとうございます。
○河上座長 どうもありがとうございました。
菅野委員、どうぞ。
○菅野委員 私も同じ意見です。並列で走らせるのか、ステップ・バイ・ステップなのかというところは大事なところで、そこはむしろあまり玉虫色にしないほうがいいのではないかというのが私の意見です。
その上で、もし解散命令請求の必要性にまでこの検討会で踏み込むのならば、疑いを超える前提となる事実の分析まである程度このペーパーでやっておかないと、せっかくここまでやってきても、そこで最後、説得力を失うようなことにならないかということを心配しています。

第7回議事録15Pより抜粋

その後報告書は原案通りの文言で提出されました。
さらに「消極的な対応には問題があり、運用の改善を図る必要があるとの指摘があった。」とありますが、「消極的な」という文言が足されており、より強い文化庁宗務課への批判的報告書となっています。

1.総論
① 旧統一教会については、社会的に看過できない深刻な問題が指摘されているところ、解散命令請求も視野に入れ、宗教法人法(昭和26 年法律第 126 号)第 78 条の2に基づく報告徴収及び質問の権限を行使する必要がある。

「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」報告書4Pより抜粋

2.旧統一教会への対応等
宗教法人法第 81 条に基づく解散命令については、団体としての存
続は許容されるとはいえ、法人格を剥奪するという重い対応であり、信教の自由を保障する観点から、裁判例2にみられる同条の趣旨や要件についての考え方も踏まえ、慎重に判断する必要がある。
また、宗教法人法第 78 条の2に規定する報告及び質問に関する権限は、解散命令の事由等に該当する疑いがあると認められるときに、宗教法人法の規定に従って行使すべきものとされ、これまで行使した例はない。しかし、これらの消極的な対応には問題があり、運用の改善を図る必要があるとの指摘があった。
旧統一教会については、旧統一教会を被告とする民事裁判において、旧統一教会自身の組織的な不法行為に基づき損害賠償を認める裁判例が複数積み重なっており、その他これまでに明らかになっている問題を踏まえると、宗教法人法における「法令に違反して、著しく公共の福祉を害すると明らかに認められる行為をした」又は「宗教団体の目的を著しく逸脱した行為をした」宗教法人に該当する疑いがあるので、所轄庁において、解散命令請求も視野に入れ、宗教法人法第 78 条の2第1項に基づく報告徴収及び質問の権限を行使する必要がある。

「霊感商法等の悪質商法への対策検討会」報告書4P~5Pより抜粋

これが検討会の内容・菅野氏の発言・その後提出された報告書の中身です。

・紀藤氏との若干の意見の食い違い
・切り取ることで菅野氏がブレーキを掛けてるとも受け取れるニュアンスの発言
・報告書の一部文言に紀藤氏の提言が採用されず

これらを悪意ある解釈・切り取りをしたものが小西議員のツイートの前提にある認識なのだと推察します。
小西議員は「と聞いている」とツイートしているので、宗務課以上の恣意的解釈をする人の話を鵜呑みにしてしまったのだと推察します。

これらを踏まえて改めて小西議員のツイートを見ていきます。

ツイートの問題箇所(再掲)

政府は民法の不法行為などでは解散命令の請求は出来ないと一貫して野党やマスコミに主張してきた。
菅野氏も当然にそのことを知っていたはずだ。
にもかかわらず、参加する消費者庁の検討会では「直ちに解散命令をすべき」とする他の弁護士の意見に反対した(①)と聞いている。(②)
法律家の良心があるのか?

小西議員による1つ目のツイート
(数字)は筆者追記
(2022/10/22追記)

①むしろ菅野氏はそれを提言している。
②議事録を確認していない
(追記)

菅野氏を弾劾しなければならない。
消費者庁報告書には本日に私が岸田総理に撤回させた「民法の不法行為等は解散命令に使用不可」という違法な政府解釈に対する批判は一言もない。(③)
それに異を唱えた他の弁護士の意見を封じたのが菅野氏(④)と聞いている。(⑤
このような人物をマスコミは使うべきではない。

小西議員による2つ目のツイート
(数字)は筆者追記

③政府・宗務課の法解釈を明確に批判している。
④そもそも③の事実が存在しないので完全な噓。
⑤議事録を確認していない。

私が本日予算委で行った「法と正義にのっとった法解釈」の追及は、菅野氏が消費者庁の検討会でも行うべきものだった。(⑥)
しかし、そのように主張する他の弁護士の意見に反対し(⑦)、政府の違法解釈について言及ゼロ(⑧)の報告書(=事実上、解散命令が不可能)を出している。(⑨)
法律家としてあるまじき行為だ。

小西議員による4つ目のツイート
(数字)は筆者追記 

⑥法解釈の部分を「追及」というのは検討会の趣旨とは異なる。そして「追及」はしていないが強い言葉で「批判」している。
⑦「追及」すべきとする弁護士は存在しない。
⑧言及している。政府・宗務課の解釈について明確に批判している。
⑨「事実上解散命令が不可能」とする報告書は存在しない。

結論

以上のことから小西議員は検討会の趣旨・内容・議論の流れ・発言内容・報告書の中身、それら全てに対して誤った認識を持っており、議事録・検討会から提出された報告書を確認せず、誤った認識を前提に「菅野氏を弾劾しなければならない。」「法律家としての良心を売った」「法律家としての基本的な能力を欠く」「このような人物をマスコミは使うべきではない。」「法律家としてあるまじき行為だ。」と国会議員の立場でありながら誹謗中傷を行っています。

小西議員による一連のツイートは「国会議員による悪質な誹謗中傷デマツイート」と言わざるを得ません。

小西議員には菅野氏への謝罪と発言の撤回をしていただきたいです。

ですが「と聞いている」とあるように、議事録外での出来事を耳にしツイートした可能性は否定できないので、そうであれば小西議員には釈明していただきたいです。

おわりに

統一教会問題は「宗教問題」である前に「人権問題」だと思います。
組織的に人権侵害行為を繰り返し行っている団体の問題です。
小西議員には「人権問題」というものを改めて考えていただきたいです。
「私が岸田総理に撤回させた」と手柄を誇り、事実確認を怠り誹謗中傷をする姿は、「人権問題」に取り組む議員の姿としてふさわしくないと思います。
統一教会問題を政争の具にしているからこそ「人権問題」であることを忘れ、このようなツイートをしてしまったとしか思えません。今一度真摯に統一教会問題に、「人権問題」に取り組んでいただきたいと思います。


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