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モーターピンに830ローラーをつける場合のブッシュの製作方法

ご無沙汰しております、最近バタバタしていて書く時間があまりないNRマジックでありますw

今回は、カツフラレースにおいてよく使われている830ローラーをモーターピンに取り付ける場合に、どのようにして製作するのかを出していこうと思います。

まず、10年以上前から色々なホームページなどで紹介され、現在も非常に使用率の高いモーターの部品であるコミュテーターを使用したブッシュを紹介します。

図1

上の画像がモーターのコミュテーターになります。
赤矢印の部分を切り取り、830ローラーに押し込むことでモーターピンに圧入が可能になりローラーとして機能するものです。

図2

それを装着した830ローラーはこのような形になります。
井桁マシンを紹介しているホームページ、ブログなどにも紹介されている昔からあるポピュラーな方法であると思います。

しかし、この方法には車体の速度に関わる重大な欠陥があるのです(汗

図3

上の図のように、加工する前のコミュテーターの内径はモーターピンよりも大きいため、無加工の状態ではモーターピンに圧入することはできません。

図4

上の図のように、830ローラーにコミュテーターを圧入させることにより、コミュテーターを変形させ、内径を小さくすることでモーターピンに圧入が可能になるということになります。

つまり、コミュテーターを意図的に変形させないとローラーが固定できないということになるのです(汗

ちなみにこのブッシュと呼ばれるこの部品は、圧入が固くなれば830ローラーの内側を圧迫し、ローラーの回転の妨げになります。
19mmアルミベアリングローラーの回転を軽くするのにベアリングがはまる部分を削ってはめあいをゆるくした人ならその理屈はわかると思います。

「ならコミュテーターの外周を削ればいいじゃん」
と思う人がいるかもしれません。
ただ先ほども言った通り、コミュテーター自身は圧入しないことにはモーターピンに固定することができません。
これを全部合わせると、コミュテーターを使ったブッシュ製作は

「ローラーの回転の妨げにならない圧力にしつつ、モーターピンに固定できるくらいの変形量に外形を加工して圧入する」

ということになります。
これを読んでパッと「いや、簡単でしょ」って思う人はほとんどいないと思います。
事実自分はこの加工がきれいにできることなく、コミュテーターを使用してブッシュを作るのを挫折しました。

さらにこの方法で加工する場合

図5

コミュテーターのこちらの細い部分をリューターなどにチャックして削ることになります、そうするとこの部品は樹脂なので固定する力で変形して思いっきりブレます。そのままヤスリを当てて削れば当然変形したブッシュが出来上がります。

さらに樹脂の変形を使って内径を小さくするという行為は、樹脂の状態によって形状が変化するため精度のいいブッシュになるはずがありません。

そのためコミュテーターを使用したブッシュで830ローラーをモーターピンに固定した場合
「高確率でモーターピンとローラーの角度が一致しない」
ということになります。

そうなった場合セッティングが恐ろしく難しくなります。
8mmしかないローラーだけを目視で角度が何度ついてるかなんて正確にわかる人はほとんどいません。

そのため、精度がいいブッシュを作るためにはこのコミュテーターを使用するのはいい選択とはいえないのです。

図6

そのため、自分はもっぱら上の画像のように紫ピニオンを使用したブッシュの製作で830ローラーをモーターピンに固定しています。

紫ピニオンであれば、元々ピニオンなのでモーターピンには最初から圧入が可能で、加工もピンに圧入した状態でリューターを回すことが可能なので非常に精度よく削ることがやりやすいため、自分は必ず紫ピニオンを使用するようにしています。

では実際にどのように紫ピニオンを加工しているのか見てみましょう!

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