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国民年金の行く末を案じる

 驚くニュースが飛び込んできた。国民年金の納付期間を5年間延長するという案を、厚生労働省が検証することになったらしい。

 国民年金は、日本国内に居住する20歳から60歳未満のすべての人(会社員、自営業者、学生、無職者、外国人など)が国に対して毎月の保険料を納め、老齢となれば老齢基礎年金を、障害を負えば障害基礎年金を、死亡すれば遺族が遺族基礎年金を受給できるという社会保障制度の一つ。

 自動車保険が交通事故に対して保険給付を行うように、国民年金では老齢、障害、死亡を"生活上の事故"と位置付けて保険給付を行っている。

 毎月支払うことになる国民年金保険料は、令和6年度は1万6980円。老齢基礎年金を例にすると、令和6年度の満額の老齢基礎年金額は81万6000円であるため、月あたりに貰える年金額は6万8000円となる。この金額に対する評価はさておき、現行では20歳からの40年間支払うことになる国民年金保険料を、さらに5年間払わないといけない時代が到来するのかもしれない。

 日本国内に居住する20歳から60歳未満のすべての人が保険料を納めると書いたが、厳密には正しくなく、保険料免除制度や保険料納付猶予制度がある。とはいえ、多くの人が決して安くない保険料を毎月納めていることに変わりはない。もし5年間納付期間が延長されるのであれば、私たちは約100万円(1万6980円×60=101万8800円)の負担を強いられることになるのだ。

 精神保健福祉士として、あるいは社会福祉士としてではなく、一人の市民の意見として言わせてもらえば、「ふざけるな」「我々を愚弄しているのか」と思う。日本という国でなければ猛反発を呼び、次の選挙で内閣は倒されたかもしれない。暴動が起きたっておかしくない。少子高齢化が進んでいくことはもう何十年も前から分かっていて、今さら少子高齢化を理由にさらなる負担を押し付けてくるのはいかがなものか。

 日本社会はもっと怒ってもいい。

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