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球界再編〜僕がプロ野球に絶望した日〜|酔いどれのプロ野球昔ばなし #3

それを知ったのは、もう間もなく梅雨に入ろうかという日のニュース速報だった。「近鉄とオリックスが合併」唐突のようにも見えるが、僕には「ああ、やっぱり来るべきものは来たのか」と、その前からなんとなくこういうことがあるのではないか、という心構えができていた。そう、予兆はいくらでもあったのだ。あの頃の不景気極まりなかったプロ野球においては。

その予兆とは。オリックスにも近鉄にもハッキリしたものがあった。まずはオリックスだが、この頃にドラフトで「契約金0円枠」というのをやっている。契約金は支払わないが、その代わり契約金がなくてもプロに行きたいという強い思いを持った選手に門戸を開くという綺麗事で始まったシステムだが、とどのつまり自由枠でかかりすぎた経費を削減するためだけの、みみっちい制度だった。もちろん、集まってくるのは現在でいう育成枠並みの実力しかない選手たち。それを支配下で待遇するから選手層はボロボロ。この頃のオリックスは、目も当てられないほどの大敗をよく喫していた。

一方で近鉄。あのミラクル優勝から3年あまりの月日が経ってみると、大阪ドームには閑古鳥が鳴く日々となっていた。なんせ大阪を本拠地としていると、阪神との兼ね合いがある。少しでもチームが低空飛行だとすぐに不人気になる。そんな中このシーズン、不吉を表すトピックがあった。「近鉄ネーミングライツ騒動」である。これは近鉄が親会社名の「近鉄」を外し、ネーミングライツで募った名前にするというもので、こういうことからも困窮が忍ばれるが、他球団の大反対に遭い頓挫している。

この日から2004年の野球といえば、グラウンドを離れ、ひたすらいけ好かない各球団の経営陣が何をどうしたとか、あれをこうしたなどの動向を追う日々。ハッキリ言って野球どころではない。もちろん僕としても野球ファンのほとんどにしても合併には反対だ。11球団ではアンバランスだ。きっと何かが起きる。それもとびきりの悪いやつが。

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