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プロ野球のアナリストの実態|元球団アナリストが語るプロ野球の実態 #1

はじめに

はじめまして。河村佳太(@pon_kawamura)です。

2016〜20年までの5年間、横浜DeNAベイスターズでアナリストをしていました。現在は野球界を離れていますが、この度ご縁があり、筆者がこれまで経験してきたプロ野球界のアナリストの実態や野球界におけるデータ分析について文章を書くことになりました。今後数回に分けて記事を書いていく予定です。よろしくお願いいたします。

第1回の今回は、「プロ野球のアナリストの実態」と題して、筆者が所属していたDeNAの話を中心に、プロ野球界においてアナリストがどんな役割を担っているのかについて書いていきたいと思います。

アナリストの役割

アナリストの役割を一言でいうならば、「数字・データをもとにした分析によって、チームの戦力向上を支援すること」です。

チームの戦力向上という点では大きく3つの役割があります。

⒈ 編成
⒉ 育成
⒊ 戦術

今回は初回ということで、各役割について簡単に説明します。

⒈ 編成

編成は、以下の要素があり、その全ての意思決定の参考となる分析を行います。

・現有戦力の分析

・ドラフト

・FA

・トレード

・外国人

・戦力外

・コンバート

もう少し具体的に説明しますと、シーズン前に現有戦力を過去の成績などから算出してどのくらいの順位が狙えそうかの想定をしたり、ポジション別の強み・弱みを分析することで補強ポイントを探ったりします。そして、そうした情報をもとにトレードやFAの検討を行います。

外国人に関しては海外(主にMLBとAAA)の成績をNPB成績に換算したりトラックマンデータを用いてNPBでの予測パフォーマンスを算出して補強の意思決定の参考にしたりしています。

また、コンバートの検討でも分析が使われることがあります。先発投手の数が足りている段階で誰をリリーフに回すべきかという判断などです。

⒉ 育成

育成はその名の通り、主にファームにいる若手選手の育成に関わります。
投手の投球を細かく分析できるトラックマンラプソード、打者のスイングを解析できるブラストモーションを用いて、試合の結果だけでなくその過程を評価したり、練習での振り返りを支援します。

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