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今期巨人のターニングポイントとなった阪神との3連戦

ターニングポイントとなった3連戦の総括

9月3日からの阪神戦は、今年の巨人にとってターニングポイントとなった。この1週間は、8月31日から9月5日までヤクルト・阪神との首位攻防の6連戦。初戦は打撃戦を制して、2戦目はエース・菅野智之の力投もあり、現在首位を走るヤクルトに2勝1分といい滑り出しを見せた巨人軍は、このまま独走体制に入ると思われた。

3連覇に向けてこの勢いがある状況で、9月3日から9月5日の阪神との3連戦で1勝もできなかったことは大誤算であり、その後のチーム状況に大きな影響を与えたことは間違いない。その結果、9月は月間成績で6勝14敗5分と今シーズンだけで見ても大きく負け越した。この3連戦の結果と内容を引きずったことで、チーム状態が蘇ることはなかった。

巨人軍はこの3連戦で、今シーズンの悪いところがまとめて露呈されたとも言える。この時期は一時的に首位を走っていたが、その優位性は維持できなかった。この甲子園での3連戦に関しては、初戦と3戦目は勝てる展開だっただけに非常にもったいなかった。

先発の戸郷の替え時を誤った初戦

初戦の先発は戸郷翔征だった。今年の戸郷は勝ち星はついてきているが、昨シーズンと比較すると急に崩れることが多く不安定なピッチングが見られていた。この試合も中盤、巨人が3点リードした後の6回に崩れ始めたが、なんとかこの回を抑えた。この阪神とのカードで勝ち越しを狙うなら、この回で変えるべきだった。だが戸郷を7回まで引っ張ったあげく案の定打ち込まれてしまい、逆転を許した。限界を迎えていた戸郷を伸ばすだけ伸ばしておいて、危うくなったら投手を4人注ぎ込むという非合理的な継投。逆転負けを喫して、阪神を勢いづけてしまった。この試合の継投は、今シーズンでも最悪の展開だったのではないだろうか。

この継投策に関しても、昨シーズンから懸念材料は多くあり、投手陣の疲労が芋づる式に出てきてもおかしくない状況だったため、後半戦はブルペン陣の疲労が顕著に見られた。

具体的な試合を見ると、今シーズンは延長戦がないことから、交流戦では、9回までに球団史上最多の9投手を投入する試合があった。また、この阪神との試合でも1イニングに4投手を注ぎ込むという、無計画な投手起用が目立った。

さらに、後半戦から馬力やイニングイーターでもない先発投手が、中4日・中5日で起用をされていることや、限界が来始めている時ですらイニングを引っ張りすぎている試合も目立っていた。こうした現状を見ると、運用体制以前に首脳陣の改革が必要なのかもしれない。

昨シーズンと同様に、今年も開幕当初から状況が読めないコロナ禍だ。とはいえ、シーズンはトータルで見ても100試合以上はある。中継ぎや抑えとして登板する投手は登板試合数だけが見られがちだが、試合展開によっては毎日のようにブルペンに入ることも。これは異常な状況だった。

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