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お股ニキの変化球の見方|お股ニキ式野球勉強法 #4

こんにちは。3度の飯よりもピッチングを見たり考えるのが好きなお股ニキです。今回はそんな私が一番好きと言っても過言ではない変化球の見方について説明させていただきます。

第1回・第2回の内容とも重なる部分や繋がる部分があると思いますので、合わせて見ていただけると幸いです。

👉 野球(投手)の見方の原点|お股ニキ式野球勉強法 #1
👉 投手を見る上で重要な7つのポイント|お股ニキ式野球勉強法 #2

■変化球を見るときに注目するポイント

球種や変化球は主観や感覚が入り交じるため、野球でも最も揉めやすい部分です。見ている側はもちろん、実際にバッターボックスでボールを見た打者でさえ、同じボールを見て何の球種だったかわからなかったということすらまま起こります。例えば、投手はカットボールと思って投げたけど、打者はスライダーだと感じることもよくありますよね。野球中継でも実況や解説の方が「今のボールはスライダーでしたかね?」と言ってスローモーションのリプレイを見直すと挟んでいて「フォークですね!」などと言い直すことが多々あるのを思い起こします。私がとにかく言いたいことは「ストレートと変化球を、球種名で区切るのはやめよう」「細分化することには何も意味はない」ということです。

ダルビッシュ投手のスラッターはメジャー平均のスライダーより曲がっていますし、高橋遥人投手や山崎康晃投手の「2シーム」はスプリットのように落ちていて、空振り率の高さなどからしても実質スプリットと言えます。

周りがどう感じたにせよ、そのボールは実際、そういう回転軸と回転数・速度で投じられてそのように変化している現実があるわけです。ですから、回転軸や変化量、スピードに徹底してこだわって着目していけば、ボールの変化や軌道をより正しく認識できるのではないかと思うのです。データと映像を突き合わせて確認することの重要性を度々説かせていただいているのは、こういう所に理由があります。

ストレートもシュート回転しながら、重力での落下に反しながら、バックスピンがかかって伸びていくボールであることはかなり浸透してきました。その縦変化量やリリースポイント、速度が一般的な縦30cm台くらいのボールを、人は最も「ストレート」と認識しているのだと思います。それが、パワプロで言うカーソルを全く動かさないで打てるボールです。そこから上下左右、斜めに変化するのが投手のボールだとイメージしていただくとわかりやすいかと思います。

■今どの投手の変化球が素晴らしいか(どの投手を見たら勉強になるか)

■大谷翔平投手(エンゼルス)

二刀流としてホームラン王争いをするだけでなく、投手としても後半戦絶好調の投手・大谷翔平。今季は得意のメジャーナンバーワンスプリットと横スライダーに加えて、縦のカットボール、いわゆる私が「スラット」というようなボールを投げており、大変参考になります。実際、効果的なこれら3つの球種を投げ分けられているからこそ、このようにベーブ・ルース以来の二刀流での二桁勝利が現実のものとなっているのです。

スプリットはジャイロ回転で完全自由落下のボール、原点より少し右側にシュートしながら落ちるボール。140キロ前後のジャイロボールを意図して投げることができたらかなり効果的です。先日のアスレチックス戦では千賀投手(ソフトバンク)のスプリームのような、よりシュート成分を増やしたボールも投げていたようです。

そして、大谷投手がスプリットとともに元から得意としている横にブーメランのように曲がるスライダー。これは、80マイル台前半でスラッターよりスピードが遅く、ジャイロ成分が少なくサイドスピンが強めで横に曲がっていくボールでこれまた強力です。

そして、今季7月くらいから投球割合が増えているのがカットボール。一般的にイメージされる横滑りするカットボールではなく、スプリットと似た軌道で少しスライドしながら原点の左側に落下する140キロ台前半のこれまたジャイロ成分が強いボールとなっております。スプリットの左右反転バージョンとも近いイメージのボールです。横スライダーとスプリットと同じような縦変化量で横変化量がちょうど間くらいですので、正確に言うとスライダーとスプリットの間かもしれませんね。カットボールとスライダーの間だ!などと勝手に領域を狭めないことが大切だと思います。

横スライダーとスラッター、スプリットが同じような落差で異なるスピード、横変化量で投げ分けられているのが今季の大谷投手です。100マイルのストレートだけでなく、これらの3種類の変化球が全て強力です。ストレートの質はまだまだ上げられると思います。カーブは120キロ以下のスローカーブのような事が多いですが、基本はトップスピンのボールは球速が速い傾向があり、横スライダーと差別化を図る意味でもまだまだ強化できそうです。

■コービン・バーンズ投手(ブルワーズ)

もう一人、変化球や球種を理解する助けとなりそうなのがブルワーズのコービン・バーンズ投手です。昨年から覚醒し、今季は史上初の開幕から無四球&58奪三振を記録。サイヤング賞の候補にも上がる支配的な投球を披露しています。

150キロ台中盤から後半の速球を投げるバーンズ投手ですが、4シームの質は平凡。それ故、4シームを殆ど投げなくなり、代わりに150キロ代前半のカットボールをメインにして覚醒しました。往年のヤンキースの名クローザー、マリアーノ・リベラのような横滑りのものとライジング気味のものをおそらく投げ分けています。そして、大谷やダルビッシュのスラットのような87マイルくらいのスライダーはメジャーでもトップクラスの空振り率を誇り、まさに私がスラットと定義するボールに近いです。

更に80マイル台前半のパワーカーブもあり、スライド側でも3,4種類の変化です。

そして、2シームと沈む高速チェンジアップも合わせて持っています。これらを制球良く投げ分けてくることで、打者は対処不能な支配的な投球になっていると考えられます。ストレートの割合は減らし、効果的な変化量と速度の変化球を複数合わせて持ち割合を増やしていくという、私の提唱する理論通りのお手本のような投球となっております。

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