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新外国人選手の沼へようこそ

はじめに

NPBの歴史において、外国人選手の存在は切っても切り離せません。NPB外国人選手第一号の堀尾文人さんに始まり、阪神バースの神懸かりな活躍に娯楽として楽しんだ近鉄ローズや西武カブレラのホームラン争い、そして王貞治の年間ホームラン記録を更新したヤクルトバレンティンなど、メジャーで大成せずとも球史に名を遺すプレイヤーも数多く存在しました。

そんな中で、今回は外国人選手の1つである「新外国人選手」について皆さまにご紹介します。

・新外国人選手を見るときに注目するポイント
・新外国人選手を調べるときに使うサイト、サイトの見方
・2021年オフの傾向とおすすめの新外国人選手(10選)
・終わりに

新外国人選手を見るときに注目するポイント

私は、2013年の楽天アンドリュー・ジョーンズ獲得から新外国人選手についても調べるようになりました。その中で自分が軸としているポイントを紹介できればと思います。

※プロスカウトが全員当たりの外国人選手を引けないことは皆さまもご承知のとおりで、私が紹介する点については「成功するための法則」というよりかは「新外国人候補として値するかの線引き」としてお考えください。

【野手】
①Exit Velocity(打球速度)+Launch Angle(打球角度)+バレル率
打球速度については、過去3年の新外国人と比較してもおおむね88マイルに落ち着きますので、1つの目安として使っています。また、打球角度は10°~15°の目安で、バレル率は10%を超えてくる選手を見ています。成功と呼べる選手はサンタナ、スモーク(帰国しましたが)、オースティン、ブラッシュで、彼らに共通するのは「打球角度10°以上、バレル率10%以上、ゾーン管理に定評がある」です。ディクソン、クロンは角度とバレル率で水準をクリアしていましたが、ゾーン管理に問題がありました。来年以降もこうした見方で捉えていこうかと思います。

【投手】
①右で148キロ(92マイル)、左なら145キロ(90マイル)(先発)

これまでに確認してる中で来日する外国人選手の母数帯として、これくらいのスピードが必要かなと見ています。

②右で153キロ(95マイル)、左なら148キロ(92マイル)(リリーフ)
上記理由と同じです。5年以上前なら右投手だと150キロ(93マイル)をボーダーにしてましたが、球速向上の波もありボーダーを上げています。進化が早い。下記のとおり、Fangraphsでも投手の平均球速が2008年の91.7マイルから93.7マイルと2マイル近く上昇しております。

A look at the major league average velocity is telling. PITCHf/x entered the lexicon in 2008, and in that season the average major league fastball was 91.7 mph, according to FanGraphs. Last season it was 93.7, per FanGraphs, the highest on record.

③マネーピッチの有無(リリーフ)
3Aにおいても、個人的に注目していたタイロン・ゲレーロ、コーナー・サゼック、コディ・キャロルの3人は全員159キロ(99マイル)の4シームを持っていましたが、全員マネーピッチに課題がありました。そうした観点から、あるに越した事はありません。ピッチセレクトとしてはスライダー系統、カーブ系統、スプリット系統の3つに分類されますが、個人的には出し入れの観点からスライダー系統のリリーフを推します。

④適度なフレーム
大きすぎると投球の再現性やフィールディング、クイックに複数の問題が混在しているので、極力避けたいところです。バーヘイゲン(日本ハム)みたいに投球スペック全振りなら気にしないですが、それもかなりレアケースです。

⑤デセプション(打者を欺く力)
なぜか左投手に多いです。代表例としては利き手をリリース直前まで隠すサム・セルマンやジャレン・ビークス、強烈なインステップを繰り出す元楽天コンリー、アングルの低いホビー・ミルナーなどがおり、これが出来る投手は球質そのものに課題があっても割と無視しています。

外国人選手を調べるときに使うサイト、サイトの見方

①Baseball Reference(ベースボール・レファレンス)難易度:低
一言で言えば入門用にピッタリのサイトです。他のサイトに比べて階層が浅いこともあり、視認性で言えば一番だと思います。また2002年から2021年までの投手野手スタッツを確認できるため、歴史学習用としても使えます。

欠点としてはボール球スイング率などのデータの深堀りが出来ないため、大体は後述のファングラフスに取って代わられる存在のような気がします。

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