グリム童話「小人の靴屋」って結局おじいさんの店のサービスレベルが悪かっただけじゃない?
2年ぐらい前。
娘が幼稚園のお遊戯会でグリム童話の「小人の靴屋」の芝居をやっていたことがあった。
私自身、親に子供のときに読んでもらったような記憶もあるし、おそらく絵本のなかでは有名な部類だとは思うが、内容については忘れていた。
子供たちの劇を見て「あー確かに、そんな話だったな」と思い出したのだけれど、
舞台はまずしい老人夫婦の靴屋
まずしいので靴の素材が足りず、1足分の材料しか残っていない
最後にその1足分の皮だけ用意して、明日完成させようと眠りについた
朝起きたら、なんと靴が完成している!!
しかも出来がすごくいい
店に通りかかった人がえらく靴を気に入り、いつもより高い値段で買ってくれた
その売上で2足分の靴の材料が買え、また靴の準備をして寝ると・・・
朝起きたらまた品質のいい靴ができている!!
そんなこんなで店は大繁盛
実はその靴を作ってくれていたのは小人でした
というのが、ざっくりなストーリー。最後は小人に服や靴を作ったりして、小人が満足しながら去っていく。そして小人は戻ってこない。
もしかしたらもっと細かく見ていくと本当はストーリーが違うのかもしれないし、ちょっとずつ違うバージョンがあったりするのかもしれないけど。
そんなこんなな劇のストーリーを見ながら(子供たちかわいいなーと思いながらも)すんごく気になってしまったのは、ビジネス的になんでこの靴屋はうまくいってなかったんだろう、ということ。
正直、この話で小人が現れる前と、現れた後で何が変わったのかと言うと、靴の品質だけである。おそらく店にくる客の人数も変わっていなければ、靴の需要も変わっていない。いつもより高い値段で買ってくれたということは、値段を下げたわけでもない。
ただ靴は売れた。違いはおじいさんが作ったか、小人が作ったかだけだ。
マーケティングの4Pで考えると、
Product: おじいさん作から小人作に
Price: 変わってないはず
Place: 変わってない
Promotion: ???
という感じだ。
残った1つのPromotion戦略によって、おじいさんの靴屋にポジティブな影響が今回あり得るかというと、ないと思う。
というのも「これ、起きたら知らない間にできてた靴なんですよ!!!!」と靴の背景にあるストーリーを顧客に語っても、普通に怖いし。。
他の要因として、知らない間に靴ができていたという奇跡に感動して、おじいさんおばあさんがいつもより熱心な接客をしたという可能性もあるが、まあそれはそれでいつもの接客が顧客の満足するものではなかったということでもある。
つまり、どこからどう考えても元々おじいさんとおばあさんの店のサービスの問題(靴の品質や接客を含む)があって靴が売れていなかっただけで、そのサービスレベルを担保してくれる小人という存在がいなくなったら、またビジネスとしてはうまくいかなくなる気がするんだけど、どうなんだろう。
ということを考えながらお遊戯会を見ていたのは、僕だけだったんだろうか・・・。
急に思い出したので書いてみました。