2019.06.01 6周年
ことり食堂は6歳になりました。
家でお母さんが作ってくれるような一品だけの決まったメニュー。
旬の野菜もたくさん、バランスよく。
かつての会社員時代、接待や終電まで続く残業に疲れ切った自分が食べたかったものを作ろう。
そして、「ほんのひとつ」何かある場所にしよう。
風邪で咳をしている方がいたら、のど飴をおまけ。
お誕生日には、プチデザートでお祝い。
「このメニューは、あの人の大好物だから大盛りにしよう」と、
そんな風に、ただごはんを食べるだけではなくて、
ささやかだけど嬉しくなることがある場所にしたい。
6年目は試練の年でした。
体が言うことをきかなくて、お店もたくさんお休みしました。
「いよいよ、もう限界かも」と思ったとき、お店で起こった色んな出来事が助けてくれました。
遠い席の方に、お茶をコップに注いで渡してくれる方がいたり、
赤ちゃん連れでベビーカーで来た方がいたら、座りやすいテーブル席を譲ってくれたり、
ぐずった赤ちゃんに「元気でいいね」と微笑ましく見守ってくれる安心感に、キッチンにいる私自身が支えられました。
そんな風にお店の中で、思いやりや「ありがとう」が循環する光景は、6年前には想像出来ませんでした。
赤ちゃんの頃から来てくれているお子さんが、
私が作ったごはんを食べて「のんちゃん、おいしい!」という言葉をくれたのも続けていたからこそ。
私は毎日「皆さんが健康でありますように」とご飯を出してきたけれど、
私自身が皆さんから、日々色んな贈り物をもらっていると感じた一年でした。
ことり食堂に来てくれる方が皆を少しずつ思いやって、
一緒にいられる優しい場所に育ったことを誇りに思います。
共に育ててくれた皆さん、本当にありがとうございます。
あの大きな扉を開けて、ことり食堂へ来てくれた全ての人達とのご縁に心から感謝しています。
今日と明日、たくさんの方に直接、ありがとうを伝えられますように。
2019.5.31 ことり食堂店主・中里希
(photo: 阿部萌子 )
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