フォローしませんか?
シェア
こうの のぞみ
2021年9月8日 22:08
丞相。人は彼の地位をまず口にする。いや、私はそのような大層な男ではない。私はただの、商家の倅だ。丞相は、ふうとため息をつきながら、夜の都大路を走る馬車の中で、腕組みをする。彼の名は秀弓。かつては公商として苗字をも国に認められた徐家の三男で、徐紫芳と名乗っていた。名が変わったのは、10年以上前になる。秀弓は、富裕な商家の三男であったから、自由気ままに暮らすことはできたが、家督を