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こうの のぞみ
2021年8月7日 22:13
和秦女王は焦っていた。亡夫の忘形見とも言うべき水月王子が、謀反の罪を犯したと言うのだ。幸いにも内部より密告が行われ、軍を動かす前だったのだが、丞相より私室でその話を聞いた時、まさかと口をついて出た。紙燭の火が、じじっと音を立てて、一瞬燻る。水月王子は忘形見と言っても、女王の実子ではない。水月王子は、亡夫が愛妾の間に設けた第一王子で、女王には亡夫との間に第二王子である陽雲王子がいる。
2021年8月7日 21:12
遠い過去より、国がいくつも滅び、数多の命が今まで散ってきたけれど、しぶとく残るこの命の系譜に、意味を見出すのは間違いなのだろうか。人の一生は儚いものだけれど、連綿と繋がる命の物語に耳をすませば、聞こえてくるものが、あるかもしれないーーと。そう思っていたある晩、夢を見た。一つの国の終末の時を、私はただ映画でも見るように、その夢を見ていた。時々、この夢を思い出しては8年ほど前から今現在