新しく始めたいこと

今、正直とても時間がある。新しいことを始めるのにちょうどいい。自分も一応10年お笑い芸人をやっているので、たまにテレビ番組のオーディションに行くことがあった。そこでは、変わった趣味や、人より語れるような好きな事、一芸的な特技はありませんかなど、聞かれてきた。

だから自分もせっかくだからこの機会に、いつかテレビに出れるような何か新しい趣味や、変わった特技の練習を始めようと考えていた。

ん、いやいやちょっと待った。本当にそんなこと必要なのだろうか?そんなことをやってテレビに出る芸人になりたかったのか?そんな本当に好きでもないことを勉強して語ることがはたして正解なのだろうか?

自分が新しく始めたいことなんて、新しいお笑い以外ないだろう。誰も見たことない新しいお笑い。新しい漫才。新しいコント。漫才やコントでもない新しいお笑い。新しい発明。それをやってこそ自分がなりたかったお笑い芸人ではないのか。

以前の話なのだが、特技などを活かしたネタで営業に行ったりして芸人としての生活費をしっかりと稼いでいた同期と飲んだとき、そいつが「10年もお笑いやってて新しいことやろうとするの恥ずかしいよ。ある程度の技術は身に付いてるんだから分かりやすいことをして、目の前のお客さんを確実に笑わせたほうがいいよ」と言ってきた。

確かに10年もやっていたら、ある程度のパターンさえ押さえておけば、そこそこの笑いはとれるはずだ。そして目の前のお客さんを笑わすこと自体はとても素晴らしいことだ。自分だってお客さんを笑わせたい。当たり前だ。でも定番の型のようなお笑いだけやっていても笑いは進化していかない。新しい笑いは最初は誰も見たことないから笑うタイミングを逃しやすく、万人にウケづらいのだ。しかし、何だかよくわからないけどおもしろい笑いは、いつかスタンダードな笑いになる可能性を秘めている。

もちろん今までの形式や伝統に沿った優れたお笑い芸人の人も必要だ。しかしお笑い芸人のうちの誰かが、新しいお笑いを追求していかなければ、お笑い界は長い目で見たときどんどん廃れていってしまうだろう。

自分はまだ新しいお笑いに辿り着いていないけれど、そこに挑戦していきたいし、簡単なお笑いやるくらないならまだまだ泥水だってすすりたい。今は毎日、激安のカップラーメンに、3玉100円のうどんを替玉して食べる生活を送っている。こんな地獄のような生活だけど、共に新しいお笑いを追求するお笑い芸人が増えていってくれればと思っている。

「NOROSHI」という大学生お笑いの大会のMCをしたときも、とても挑戦的なお笑いをやっている子たちが沢山いて、みんな芸人になってくれたらなあと感じていた。ほとんどが就職するみたいで仕方ないけど悲しかった。

こんな文章を最後まで読んでくれた未来のお笑い第八世代、第九世代のみなさんは、よろしく頼むよ。

ちなみに僕は、2020年4月8日の今日から、粘土工作をはじめようと思っています。

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