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Juice=Juiceの新しい形をレビューしたい! 『微炭酸/ポツリと/Good bye & Good luck!』

Juice=Juiceが新曲『微炭酸/ポツリと/Good bye & Good luck!』をリリース!  新体制と卒業を考えながらレビュー

ハロー!プロジェクトに在籍するJuice=Juiceが2月13日(水)に新曲『微炭酸/ポツリと/Good bye & Good luck!』をリリース。
今作は、稲場愛香がJuice=Juiceに加入して初のシングルであり、同時に梁川奈々美の卒業シングルであるため、この二人がフィーチャーされた新曲となっている。
パフォーマンス力が売りのJuice=Juiceに、稲場愛香と梁川奈々美がどうのようにフィーチャーされているのか?
新体制と卒業を踏まえながら新曲レビューをお届けしよう。


Juice=Juice / 『微炭酸』

作詞:山崎あおい
作曲:KOUGA
編曲:KOUGA
MV Director:杉山弘樹
歌割:宮本佳林・稲場愛香メイン
ポジション:宮本佳林・稲場愛香のWセンター

稲場愛香がJuice=Juiceで本格始動!

『微炭酸』は、ずっと好きだった男友達に思いを告げられないまま、相手には彼女ができてしまったという失恋ストーリーになっている。
好きという気持ちを伝えられずにうだうだ過ごしてしまったこと、彼女ができたと言われ気が抜けてしまった様子、もう今更何をどうやっても状況は戻せない、という状況を炭酸が抜けた微炭酸に例えている楽曲だ。

同曲のセンターを務めるのは、宮本佳林・稲場愛香の二人。歌割り・ダンス・MVカット割り、MVのストーリーのすべてでメインになっている。
稲場愛香が新メンバーに加入してから、初のシングルになるので、彼女をフィーチャーするための楽曲と言っていいだろう。そこに、Juice=Juiceのセンターである宮本佳林が隣でWセンターを務めることで、新しいJuice=Juiceの形を見せている。


ダンスに定評のある稲場愛香をフィーチャーしただけあって、二人のダンスにも注目したい。メインではないが、植村あかりと段原瑠々のコンビも印象に残りやすい組み合わせだ。
そして、ラストで「今更届いたってダメ」のソロパートを歌う段原瑠々の歌唱力と存在感も見逃せないポイントだろう。

ここからは筆者の主観であるが、メンバーだけで楽曲を考えると、新メンバーの稲場愛香とセンターの宮本佳林をWセンターで起用してみたいという狙いを読み取ることができる。しかし、実は『微炭酸』の世界観を忠実に表現するなら、この二人が一番適任だと思う。

ラジオ番組で宮崎由加が「『微炭酸』は今までのJuice=Juiceにはなかった切ない失恋ソング。Juice=Juiceは強い女性の歌を歌うことが多いが、こんなに弱くて切ない女の子の歌はめずらしい」という旨を話していた。

そう考えると、どこかあどけなさや少女感を持ち、かわいそうな女の子を表現するには、稲場愛香と宮本佳林の二人が一番マッチするのではないだろうか。これが金澤朋子と植村あかりのコンビだと大人過ぎてしまうし、金澤朋子と高木紗友希のコンビだと今度は歌声が強くなってしまい、失恋に苦しむ弱い女子を忠実に表現できないのではないかと思う。

逆にいえば、それだけJuice=Juiceのボーカルやキャラクターは個性が際立っていて、適材適所で使えるということだろうか。
改めてJuice=Juiceのパフォーマンスの層の厚さを感じさせる楽曲だ。


Juice=Juice / 『ポツリと』

作詞:中島卓偉
作曲:中島卓偉
編曲:浜田ピエール裕介
MV Director:小嶋貴之
歌割:金澤朋子・高木紗友希メイン
ポジション:宮崎由加センター多め

Juice=Juiceの高歌唱力に、高スキルのダンスが加わるとこうなる

『ポツリと』も、『微炭酸』と同じく失恋ソングだ。違うのはこちらは、相手に振られたという事実はなく、うまく交際関係までたどり着かない状況に対して、秘めたる想いを持ち続けている女性が主人公になっていることだろうか。

ハロプロらしい崩しの要素を入れた遊びもなく、全体的にシックかつスタイリッシュなMVに仕上がっている。歌割りは、金澤朋子と高木紗友希の二人がメインボーカルを担当。二人ユニゾンのリレーパートもあるなど、Juice=Juiceの歌の部分を存分に楽しめる楽曲だ。

ポジションは固定センターはいないが、メインボーカルの金澤朋子と高木紗友希が前にくることが多い。その他、間奏では稲場愛香と宮本佳林のJAZZダンスの振付パート、ラストサビではリーダーの宮崎由加がセンターに出てくるなど、ポジションの見せ場のバリエーションは多くなっている。

サビで一気に壮大になる音楽とJuice=Juiceのボーカルの厚さが印象に残る楽曲だ。

ここからは筆者の主観になるが、まずは『微炭酸』との比較に注目したい。
『ポツリと』は、思いがうまく伝わらない恋愛でも、主導権は女性側にある。「なんで私の気持ちに気づかないの?」「なんで私は好きって言葉が言えないの?」「初めてジェラシーだとわかった」など、状況としてはまだ自分と戦っている立場であり、敗北してないのだ。

『微炭酸』では、失恋で心を痛めている切ない女の子を稲場愛香と宮本佳林が歌い上げているが、『ポツリと』では、現在進行形で恋と戦っている女性が描かれていることもあり、金澤朋子と高木紗友希の芯の強いボーカルが一番マッチするのではないだろうか。

次にダンスについて触れたい。
『ポツリと』では、間奏部分で稲場愛香と宮本佳林のダンスシーンがある。JAZZの振付なので、表情や体の動きからでる表現力やダンスの基礎力が必要になるため、やっていることはレベルが高いと言っていいだろう。

宮本佳林は持ち前の感性と人には見せない影の努力でしっかりと踊りきっているが、せっかくなので今回は稲場愛香について見ていきたい。

稲場愛香の過去の経歴やダンスを見ていると、彼女はHIPHIP系のダンスを得意としていると思うのだが、今回のJAZZダンスを見ると、実は習っていたんじゃないかと思うくらい説得力のあるダンスをしている。
決して得意分野ではないが、アーティスト・アイドルとして踊る際に必要な"見栄え"や"印象に残る動き"を意識した体の使い方をして、ハイクオリティに踊っているのだ。

筆者はこの姿にグッときてしまうのである。
現在のハロプロメンバーには、ダンスを昔からやっていて、オールドスクール系やHIPHIP系を得意としているメンバーもいる。しかし、アイドルである以上踊るのは振付であり、自分が得意としているジャンルが振付に入っている可能性は決して高くはない。

そういうメンバーが、自分の得意なダンスを抑えて振付をしっかり踊り、あわよくば得意のテイストをオリジナル要素として振付に入れ込む。そんな姿にアイドルとしてのプロ意識を感じてしまう。

しかも、この楽曲においては、稲場愛香と対で踊っているのがハロプロエッグと研修生で、ハロプロ流のダンスを叩き込まれた宮本佳林なので、二人の対比が非常に面白い。

歌とダンス。それぞれ対比をしながら楽しめる楽曲だ。


Juice=Juice 『Good bye & Good luck!』

作詞:三浦徳子
作曲:KOUGA
編曲:炭竃智弘
MV Director:今村繁
歌割:梁川奈々美メイン
ポジション:梁川奈々美センター

Juice=Juice初のメンバー卒業ソング メンバーのメッセージにグッとくる

『Good bye & Good luck!』は、3月11日にJuice=Juiceを卒業する梁川奈々美のために作られた楽曲だ。リスナー目線でいえば、転職する人や不安を胸に新生活を迎える人の背中を押してくれる応援ソングにも受け取ることができる。

フィーチャーされているだけあって、歌割りも一番多く、ポジションもセンターを担当し、MVも卒業する梁川奈々美を、Juice=Juiceのメンバーが送り出す内容になっているので、まさに主役と言っていいだろう。
Juice=Juiceのみんなで梁川奈々美の送別会をするシチュエーションになっている中で、後半に出てくるメンバーのメッセージが、彼女に向けてのエールになっていることに注目したい。

それぞれ内容が

宮崎由加「応援してるよ」
金澤朋子「新しい道でも頑張れ! ふぁいと!」
高木紗友希「強くなれ 今よりずっと」
宮本佳林「感謝の気持ちを大切に」
植村あかり「頑張れ!! 応援してるよ」
段原瑠々「努力は必ず報われる! 頑張れー!!!」
稲場愛香「きっと大丈夫。自分を信じて」

そして、ラストはメンバー全員の集合写真に梁川奈々美のメッセージが添えられている。

梁川奈々美「今までありがとうございました! ずっと大好きです」

短い言葉であるが、梁川奈々美の新しい門出を応援するメンバーと、残るメンバーに向けて感謝の言葉を残す梁川奈々美の想いが込められており、この楽曲はMVと一緒に楽しんでもらいたい楽曲だ。

ここからは、筆者の主観であるが、梁川奈々美といえば、2017年にカントリー・ガールズとJuice=Juiceを兼任になったメンバーであり、Juice=Juiceとしては最近入ったメンバーであるので、ファンとしては彼女の歌い、踊り、喋り倒す姿をもっと見たかったという方も多いだろう。

元々、ハロプロ研修生の時から歌唱オーディションの最終選考メンバーに残ったりなど、歌唱力への期待値は高かったが、彼女の歌唱力がグーンと伸びたのはJuice=Juiceに入ってからだと思う。
カントリー・ガールズの役になりきる歌唱とJuice=Juiceの高い歌唱力集団に仲間入りしたという環境が、彼女を急成長させた。その集大成が、この『Good bye & Good luck!』のソロパートにすべて集約されていると筆者は思うのだ。

デビュー当時から、育ちの良さを感じさせる言葉遣いとももち(嗣永桃子)から教わった前へ前へ精神で強烈な個性を放っていた梁川奈々美。学業と芸能の両立もしっかりやりたいという姿も垣間見えたので、おそらく、頭が良くて器用な子なんだなと印象を抱いていた人も多いのではないだろうか。

これは筆者の推測であるが、梁川奈々美は、本当は不器用な人間で、決して人には見せないが、理想の自分を作るために並々ならぬ努力をしてきたタイプだったように思う。
そんな彼女が考え抜いて決めた卒業。そして、その想いを乗せた卒業ソング。響き渡るソロパート。全てを包むようにこれらを前に押し出すJuice=Juiceメンバーの歌や姿に人間ドラマを感じる楽曲だとしみじみ考えさせられた。


今作の『微炭酸/ポツリと/Good bye & Good luck!』は、世界的写真家のレスリー・キーがジャケット写真を撮っている。メンバーの話によると、普段やらないようなポーズをしたショットもあり、実際に撮影現場ではレスリー・キーによるポージング指導もあったという。
初めての経験に勉強になったと話しているだけに、彼女たちの売りであるパフォーマンス力に反映されるかもしれない。
楽曲と一緒に、アートワークにも注目してほしい楽曲だ。


《Web & SNS》
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Juice=Juice公式ブログ:http://ameblo.jp/juicejuice-official/

Juice=Juice公式Instagram:https://www.instagram.com/juice_juice_official/

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