2023~2024年、ゲームファン的には円安がおさまっていてほしい、という話
2022年秋。猛烈な勢いで円安が進みました。一時は1ドル150円くらいまで行きました。困ったものです。
Nintendo Switchが発売された2017年3月、1ドルは114円くらいでした。だからNintendo Switchの米国の価格は299.99ドル、日本の価格は29980円でした。PlayStation5が発売された2021年7月。1ドルは110円くらいでした。だかPlayStation5(の発売当初の価格)は米国で499ドル、日本で49980円でした。(※・すべて税別価格です)
ゲーム機は、どの国で買っても、だいたい同じ値段だよね、という価格設定にしなければなりません。そういうルールになっています。ダンピング(不当廉売)にあたるからです。国によって税率が違うので、実際に店頭で払う金額に差が出る(娯楽品に贅沢税がかかるような国では高くなる)ことはありますが、本体価格は同じくらいにする必要があるのです。
だから、極度の円安は、日本のユーザーにとって「いいこと」ではありません。
これから発売されるゲーム機が、アメリカで300ドルだったとしましょう。そのときの為替レートが1ドル150円だったとすると、日本での販売価格は45000円前後になるのです。そうしなければダンピングになってしまうからです。
日本でも30000円前後で売るよ! いまは戦争とかがあって、一時的に円安に振れているだけだから、これはダンピングじゃないよ! と抗弁することは可能かもしれませんし、その主張が認められる可能性もあるでしょうが、その場合は、転売ヤーが国際的に暗躍することになります。
為替レートが1ドル150円のとき、アメリカで300ドルで売られている商品が、日本では30000円(200ドル)で売られているなら、「日本で買って、アメリカで売る」だけで100ドルの利益が出ます。1台当たり15000円の利益が出るのですから、転売ヤーは大喜びです。
こういう事態を避けるためにも、ダンピング云々という話を抜きにしても、ゲーム機は全世界で同じくらいの価格にする必要があるわけです。
というわけで、為替相場が円安になると、「ゲーム機の価格がめちゃ高くなる」もしくは「ゲーム機が転売ヤー買い占められ、入手しづらくなる」のいずれかが起きてしまうので、ゲームユーザーにとって、いいことはありません。
2022年9月に、北米地区以外のほぼ全世界で、プレイステーション5の本体価格が値上がりしました。日本では5500円の値上げだったと記憶しています。急激にドルが高くなると、こういう事態が起きてしまうのです。
あのとき、品薄なのにどうして値上げするんだよ! という怒りの声も聞こえてきましたが、値上げしないと、転売ヤーが暗躍する余地が増えてしまい、さらに品薄が加速するんですよ。それを避けるには値上げするしかなかったわけです。
ゲーム機がなるべく安価に買えて、かつ品薄が起きないようにするためにも、為替はあるていどの円高で安定してくれたほうがいいんですよ。1ドル110~120円くらいに戻ってくれないかな、と心から願っております。
もっとも、現実は、こんなにシンプルな話ではないんですけどね。
円安は悪いことばかりではないからです。たとえば、日本のソフトメーカーは円安になると儲かります。ゲーム産業というのは輸出産業です。輸出額は、だいたい年に1兆円くらい(注・ソフト以外も含めた数値)。円が20%安くなるだけで、日本のゲーム産業は、およそ2000億円ほど多くのお金の円が得られる計算になります。
とはいえ、いまは日本の販売元が売り出したゲームは、海外の製作会社が作ったものだ――といったこともある。そちらには製作費を現地価格で支払わなければならない(もちろん契約次第ですが)ので、円安になると、たくさん円を支払わなければなりません。円安だからといって、その差額がシンプルに儲けになるわけではないのですね。
いまは、ひとつのソフトを作るにあたり、世界各国の人が参加しているので、いろいろと複雑なことが起きるわけです。実際には、そもそもどこの通貨でお金を持ってるか? みたいなことも考えなればなりませんし、まるでシンプルな話ではありません。
ただ、いずれにしても、円安になるとゲーム機の価格は上がるし、これが長く続けばパッケージソフトの価格も上がっていく(こちらも全世界で同じ価格にする必要がある)ので、ゲームユーザーとしては、歓迎できる話ではない、という話です。一般論として、為替レートは安定しているほうがいいのです。
だから2023~2024年には、円安がさおまっていてほしいな、と強く願っています。
2021年に発売されたPlayStation5は、ここから6年くらいは後継機が発売されることはないでしょうが、2017年に発売されたNintendo Switchは、2023~2024年あたりで後継機をリリースされると予想されるからです。
任天堂のゲーム機は、これまでのデータを見ると、だいたい250~300ドルの価格設定になると推測できるんですよ。つねにそのくらいの価格におさまるゲーム機を設計し、世の送り出してくるのです。今後も1ドル150円の為替レートが続くのであれば、そのゲーム機、日本の販売価格が37500~45000円になっちゃうわけです。高すぎますよね。
ほんと、せめて1ドル120円くらいまで落ちてくれないかな、と心から思います。これなら30000円前後に抑えられます。
やはり、ゲーム機は「子どもに買い与えられる値段」であることが大事ですからね。2023~年2024年には、円安傾向がおさまっていることを、心から祈っています。
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