野安の電子遊戯工房 ~Nintendo Labo Campのこぼれ話~


 昨日アップした文章、たくさんの方に読んでいただいたようです。千客万来。ありがたいことです。

 なので本日も、Nintendo labo Campで目撃したシーンなどを、ちょっとだけ書いておこうかなと思います。

 この親子体験会、1年生から6年生まで、幅広い年齢層の子供たちが参加していたわけですが、そこでは、ちょっと興味深い光景が出現していたので、それをご紹介しましょう。




 Joy-conの振動で走るリモコンカーには、机の上に貼った白線をなぞるように、自動走行するというモードが用意されております。Joy-ConのIRカメラ(赤外線カメラ)が白線を認識することで実現した機能です。この機能を体験するコーナーも、Nintendo labo Campには用意されていました。


「さあ。思い思いに線を貼ってみよう」


 といったスタッフの声に促され、子供たちは、さっそくテープで線を貼っていったのですが、そうやって貼った線の上を、ちゃんと走れないリモコンカーも出てきたんですね。とりわけ低学年の子供たちのリモコンカーは、途中で止まってしまうことが多かったです。

 これは、白線を急カーブさせてしまったために起きた現象。IRカメラで認識できる範囲(角度?)の外に、白線が向かってしまい、どうやらリモコンカーが白線を認識しなくなったようです。

 なるほど。これってシンプルな課題に見えて、低学年の子供にとっては、じつは難しい課題なのかもしれないなぁ——と、その光景を見ていたわたしは思ったわけです。




 ところが。

 その感想が、なんとも浅はかだったことに、しばらくすると気付かされることになりました。

 リモコンカーが止まってしまった子供たちは、いったんは落胆したもののが、しばらくすると、面白い行動をとりはじめたんです。周囲にいる、自分よりも年上の子供のリモコンカーを見回すようになったんですね。

 高学年の子供たちは、「白線を認識して走る」という説明を受け、その仕組みを理解しているので、「IRカメラが見ている範囲」を想像し、そんなに無茶な急カーブのコースを作っていませんでした。なので、リモコンカーをすいすいと走らせることに成功していたのです。

 すると、低学年の子供は、ここで行動を起こしたんです。

 周囲にいるお兄ちゃん・お姉ちゃんたちの、止まることなく走るリモコンカーをしばらく見てたかと思うと、さっき自分が貼った白線をはがし始めたんですね。そして今度は「急カーブにならないようなコース」に修正したんですよ。


 ああ、これは凄い瞬間を見たぞ。


 ——と、わたし、ただただ感心してしまいました。だって、その子、エラーの原因を自分で見つけ出したわけですよ。誰に教わるわけでもなく、「成功している年上の子」の行動を参考にして、自分で自分のミスに気付いて修正したんですよ。これって、ちょっと凄くないですか?

 Nintendo labo は、低学年の子供に、こんな行動を起こさせる商品なのか——と、わたし、ちょっと感動すらしてしまったほどです。




 でね。

 この光景が出現した理由のひとつは、任天堂のスタッフが、けして「答えを教えなかった」からなのかもしれないなぁ、ということは、ぜひ強調しておきたいと思うのです。

 そんな急カーブだと、リモコンカーが走らないよ。

 ——と、積極的には教えてあげないんですよね。最初に「あまり急に曲げちゃうとダメだよ」とは伝えたものの、どのくらい曲げたら認識しなくなるかは教えていないし、いざ白線を貼り始めたら、あまり口を出さないんです。後は、子供たちが自発的にトライ&エラーを体験できるよう、できるかぎり見守るんですね。

 だから、子供たちは、みんな自力で遊び始めたし、そして中には、周囲を観察することで、うまくいかない要因を発見・修正する子供も出てきたわけですね。

 この「けして、答を教えない」という姿勢が貫かれていたところが、このイベントの最大の凄さであり、子供たちを夢中にさせた要因のひとつだったのかもしれません。

 



 というわけで。

 Nintendo laboを購入される方は、ぜひとも親子で一緒に遊んでほしいなぁ、と思うのです。

 できることなら、親子で段ボールを2セット買うといいですよね。段ボールだけの別売りもあるようなので、さほど高価にはならないんじゃないでしょうか。まだ値段が発表されてないので断言はできませんが。

 でもって、ちゃんと親の分も買って、だけど子供に「こうすればいい」と教えずに、ただ黙々と作ってしまうといいんじゃないかなぁと。ひたすら「うまくいっている姿」を見せつけるわけです。こういう接し方をするのが、子供とNintendo laboを遊ぶときの、もっとも正しい方法のような気がします。

 子供の年齢にもよるでしょうし、また性格にもよるでしょうが、子供たちは、周囲に「上手くいっている人がいる」と、その真似をすることで、どんどん自発的に遊び始めるんじゃないか、と思うんですよね。

 なにしろ、そんな光景を、わたし、2月のNintendo labo Campで目撃しましたからね。あの光景が、それぞれの家庭でも再現されると、なんか素敵だなぁ、と思うのです。


(2018/03/16)

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