「ポケモンGO」に関して語りたいこと・その1 ~じつは歩きスマホとは無縁のゲーム~
いやはや、「ポケモンGO」が凄いことになっております。
ファミコン時代からゲームに関する文章を書いてきた者としては、なんとも興味深い現象が世の中に起きていて、このゲームがもたらした素晴らしさについて、いろいろと語りたいと思っているのですが、その前に、世の中に広がっている不安について書いておくことにします。
というのも、「歩きスマホが危険」といったニュースが話題になっているからです。
結論から言いますと、こんなものは気にしなくていいです。いずれ問題視されなくなります。これは、ここが自転車が存在しない世界だったとして、そんな世界に自転車という乗り物が誕生し、何百万もの人が自転車に乗り始めた、みたいなことなんですよ。
みんな初心者だから、誰もがフラフラと運転するわけです。そんな初心者だらけの自転車が街中に溢れたので、「こんな危険なことするなよ!」と怒っている人がいるのですね。さらには「こんなものに乗ってる人は軽蔑する」と叫ぶ人まで出てきた始末です。でも、しばらくすれば、みんな自転車の乗り方に慣れてきますから、危険度は大幅に下がります。なんのトラブルも起きなくなると思いますよ。
リリース直後から、一日に一度、どこかの街をフラフラを歩いて「ポケモンGO」を遊ぶ人の様子を眺めてきましたが、初日より2日目、2日目より3日目と、確実に「歩きスマホ」をする人は減っています。どんどん自転車の乗り方に慣れてきたようです。いざ「ポケモンGO」を遊んでみるとわかるのですが、このゲーム、慣れてくると「歩きスマホをしても意味がない」ことに気付くんですよね。
●「ポケモンGO」の遊び方
世の中には、まだ「ポケモンGO」を体験していない人のほうが多数派でしょうから、まずは、このゲームの仕組みを説明しておきます。
ゲームを基本画面は、地図アプリと同じです。スマホで地図アプリを開くと、自分がいる周辺の地図が表示されますよね? 「ポケモンGO」も、まったく同じです。唯一の違いは、表示された地図の上に、自分(が操作するキャラクター)が立っていること。自分が歩くことによって、そのキャラクターも地図上を移動していくわけです。
ここで大事になるのが「ポケストップ」と呼ばれるポイントです。
「ポケモンGO」の特徴は、スマホに表示された地図のいたるところに、ポケストップと呼ばれる目印が立っていることです。ひらたく言うと「ポケモンが出現しやすい場所」ですね。公園の噴水だったり、駅前の銅像だったり、派手な店の看板だったりと、現実世界でも目印になるようなものがポケストップとして設定されておりまして、そこにあなた自身が接近すると、地図上にポケモンが出現しやすい、という仕組みなのです。詳しくはネットなど調べてくださいませ。
地図上にポケモンが出現したら、それをタップすると、バトル画面がスタートします。実写の風景の中にポケモンがいて、そこにボールを投げる――という、テレビなどでよく紹介されているのは、こちらのシーンです。ここでポケモンをゲットすると、ふたたび画面は地図に戻ります。そして、またポケモンが出現するのを待つ――という流れで、「ポケモンGO」というゲームは進んでいきます。
●テレビの映像は「やらせ」である
――と、ゲームの流れを紹介すると、ちょっと不思議なことに気付きませんか?
テレビのニュースなどで、街にいる「ポケモンGO」のユーザーが、スマホ画面をいろんなところに向けながら「ポケモンがいないですねー」と語っているシーン、見たことないですか? ときにはスタジオの中を、スマホをあちこちに向けながらスタッフが歩いてくる――なんという演出をしていた番組もありました。
はっきり言いますよ。これは「やらせ」です。
いざ街に出てみればわかります。「ポケモンGO」を遊んでいる人の99%は、そんな行動をとりません。地図上に出てきたポケモンをタップしないかぎり「実写の風景の中にポケモンがいる」というシーンにならないのですから、ポケモンを探すために、スマホの画面越しに風景のあちこちを見る、という行動はとらないんですよ。
ほんと、ああいった「実際のゲームでは行わないような、危険な歩き方」を、どんどんテレビで流してしまうのは、これから「ポケモンGO」を始める人に「ああ、そうやって遊ぶのか」と誤解させ、つまりは危険を誘発してしまう可能性があるので、よくないと思うなぁ。
さらに言いますと、地図上にポケモンが出現したときは、スマホが振動します(そう設定することができます)。なので「ポケモンGO」に慣れてくると、ふだんはスマホを見ないで歩き、ブブブッ、と振動してから、ゆっくりとスマホを取り出し、バトルを始めるようになるんです。いったん出現したポケモンは、何十メートルも移動しないかぎりいなくならないので、急ぐ必要はありません。
リリースされた直後は、みんなゲームの仕組みを把握していないので、歩きスマホをする人も多く見かけましたが、いまは違ってきています。「ポケモンGO」に慣れてきた人は、スマホを見て歩いたりしない。その逆に、普通に街を歩いていて、すっ、と道の端などに移動し、スマホを取り出した人がいたら、その人こそが「ポケモンGO」のユーザーです。
●ちゃんと遊び方を教えてあげよう
だから、いま必要なのは、初心者に対する「遊び方の啓蒙」なんだと思います。
(1)ポケモンが出ると、振動で教えてくれるのだから、ずっと画面を見ている必要はない。
(2)振動しても、すぐ画面は見る必要はない。道の端などに移動し、周囲の邪魔にならないようにしてからでOK
(3)それからゆっくりとバトルすればいい。ポケモンは逃げないのだから、慌てなくていい
これらのことを、とくに子供たちが「ポケモンGO」を始めるとき、最初に言い含めておくといいと思います。あるいは親自身が「振動した→道の端に移動→それからバトル」という手順を踏んでいる姿を、お手本として見せてあげるといいかもしれません。
ほんと、自転車と同じですよ。子供が自転車に載るようになったとき、なにはともあれ、最初に交通マナーを教えるじゃないですか。そうやって、どうすれば危険じゃないのかをみんなが把握していったから、世の中に自転車がたくさんあることは問題視されず、それは当たり前の光景になっています。
「ポケモンGO」も、いずれそうなるんだと思います。みんなが「ポケモンGO」を遊んでいる光景は、いずれ問題視されることなく、それが当たり前のものになると思います。
(この項続く)
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