僕の好きな体験型演劇

NOVAK

ども。NOVAKです。

今日は、僕が好きな体験型演劇に関して話したいと思います。

このお話は
・体験型演劇って何?
・僕が体験してきた体験型演劇
・特に僕が好きな体験型演劇
の3部構成にてお話していきます。ちょいと長いですがおつきあいくださいませ。

体験型演劇って何?

僕の考える体験型演劇とは、

基本的にストーリーは演劇として進行するが、舞台はステージにとどまらず、その世界においてプレイヤーの能動的な行動によって、単にステージを鑑賞するより深い体験を得ることができる。

だと考えています。

そして、能動的な行動とは何か。これが「分岐」と考えられがちではありますが、もっとも能動的な行動の大きなものは「視点」だと思ってます。客席とステージという関係を壊すことで、物語世界の中のどこを切る取るのか、という選択権を参加者が得ることができる。カメラの権利を参加者が持っている。そこが体験型演劇の基本的な構造なのかな、と。

もちろん、演劇そのものにも、ステージのどこを注視するか、という面白さが観客には与えられています。ただ、それはやはり限定的で、いわば2次元平面上の操作であり、それを三次元に落とし込んだのが体験型演劇の「基本的な」魅力です。

もちろんそれよりも体験として大きな役割を参加者に与えているものもありますが、それはまた次のお話。

僕が体験してきた体験型演劇

体験型演劇は、あまり数は多くはないです。それだけに、ひとつひとつ深く話すことはあっても、網羅的にどんなものがあるか、を書かれることがあまりないので、それをすることに意味はあるかと思いました。

ここでは、今まで体験した体験型演劇のいくつかを簡単にご紹介します。

・舞台
・参加者の役割
・役者との絡み 3段階 (個人的に役者が話しかけてくる度合い)
・視点移動要素
などを中心にお話していきます。

正直、面白さの中心はやはり演劇なので脚本や演出にあるのですが、その部分ちゃんと説明すると一作品ごとに大量に文章必要なのでそこは簡潔になりますがご容赦を。

なお、このカテゴリーにいれようか悩んでいれなかったものに、WAR→Pさんがあります。WAR→Pさんは主体はやはりゲームであり、フラグを用いた個人ごとのストーリーの上で全体ストーリーがあるので、視点の違いでメインストーリーを多角的に見せる、体験型演劇とはちょっと別にしました。また、推理や謎を進行のメインとした演劇は別としてます。

ノーキディング/円盤ライダー

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・舞台:ホテル(で刑事の研修)
・参加者:新米刑事
・役者との絡み:★☆☆
・誰についているか、でホテル内を移動
今は円盤ライダーRPGとして謎解き専門のイベントもやるようになった円盤ライダーさんですが、実はもともと「役者がいるところが舞台だ」をモットーにした演劇ユニットさんです。

この公演はきっちり謎解きと演劇に線を引く手前の公演で、微妙に謎解きがあります。そしてホテル内の移動もあり、最後は犯人を推理して多数決で分岐する、というシステムは、なんだか体験型演劇を模索したいろいろごった煮感がありました。

前後の全員で見る劇部分も面白くて、なるほど、軸足謎解きじゃなくて演劇、というのは面白いものだな、と思ったきっかけとなった作品です。

サファリングザナイト/舞台芸術集団地下空港

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・舞台:記念式典事前ツアー(として、巨大スタジオ貸し切り)
・参加者:記念式典事前説明のツアー参加者
・役者との絡み:★★★
・公演参加前にガイドとして誰についていくかを選択
これは知人が出演することから知ったのですが、要素を聞くだけでめっちゃ面白そうでした。舞台のすみだパークスタジオがめっちゃ広い!ここを貸し切って多数の参加者ガイドの案内でうろうろします。コースが各ルートで交差しており、芝居がそこかしこで見られます。

2つの思想の違う組織のガイドたちが10名ほどおり、それぞれの個性、思想、立場に基づいてガイドが行われるので、各登場人物のそういったバックグラウンドの違いが垣間見えるのがとても面白かったです。ガイドさんがずっとついてくれるのでこちらとの会話を自然に行ってくれるのも好印象でした。

また、この公演だけのための専用アプリがあり、途中QRコードを見つけるとそのアプリで読み込んだりする仕掛けはおまけですが、ラストは、AIとのかかわり方を選択させるための投票装置として起動します。そこの選択でも結末は変わります。

個人的には、前半のうろうろで垣間見えるいろんなキャラたちの設定や雰囲気が面白かっただけに、そこをあまり使い切らずにメインの話の選択を迫られる流れがちょっと違和感を感じました。

ただ、このスタジオで夜歩くのはとても雰囲気があったので、だれかまたここ使ってイベントやりませんか?って思ってますw

スパイスアップ・ナイトパレード/JUNCTION

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・舞台:ナイトクラブでのパーティ
・参加者:パーティに来た客
・役者との絡み ☆☆☆
・途中途中でJUNCTIONポイントが出て、どちらのルートに進むか分岐

CFでも話題になった分岐型演劇。まさに、分岐、を主体とした公演でした。パーティ会場となったクラブは上の階から下が見えたりと、まさに体験型演劇として、自分が見てる芝居と離れたところで物語が進んでる、という形を感じさせてくれたりとても雰囲気もありました。

伏線をルートにちりばめておいて、ラストの演劇につなげる脚本はなかなか良かったのですが、もう少しその要素がたくさんあったほうが楽しいな、とも思いました。

リモートビギンズ/劇団物語研究所

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・舞台:教室(としてヒミツキチラボ)
・参加者:生徒
・役者との絡み ★☆☆
・一部席の人が外へ移動。また教室の席なのであちこちで芝居

物語研究所旗揚げ公演。あのヒミツキチラボに教室作り、そこで芝居が行われます。いい意味でも悪い意味でも、なんというか、芝居が近い!w 金八先生のクラスにほんとにいたらこんな感じなのかな、って。一部席の人はパシリ?のために外に出たりするのですが、基本的には席にいます。

また、課題を書いた結果が読み上げられたりと、オリジナルな参加要素もあり。

リアル一軒家、のぞき放題/ガレキのタイコ

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・舞台:一軒家
・参加者:透明な観客(いないものとして扱われている)
・役者との絡み ☆☆☆
・観劇OKスペースに線が引かれており、その中なら自由に移動

これは体験型演劇にいれていいのか悩みましたw が、視点の自由度という点ではいれざるを得ないだろうと。一方、体験型演劇から、参加者の「立場」を奪うとこんなに居心地が悪いのか、というのがある意味体験的でした。カップル2人に客僕だけ1人、みたいな状況がうまれるとめっちゃ気まずいです。

また、物語としては1時間をうまいことループさせて、いつ入っていつ出てもいいように作られており、これは面白いな、と思いました。その分オチ的なものは薄い(というかない)のですが、良い挑戦だと思いました。

SMOKIN' LOVERS~紫煙~/惑星☆クリプトン

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・舞台:bar
・参加者:barの客
・役者との絡み ☆☆☆
・最初に好きな席を選び、そこで固定して観劇

(12/15追記)観劇中にインタラクティブな要素はありません。ただ、オムニバス形式でbarとタバコにまつわる物語をフェードアウトと転換をはさみながら観劇します。転換があるので物語の中にいるのか外にいるのかわからないような不思議な感覚。

席によってはカウンターに座ってる芝居の時はずっと背中を見続けることすらあるのですが、それがまた想像を掻き立てられます。見えるということは、同時に、見えないことがある、ということ。それがカメラを選択する、ということなのだと思います。演技が近く、すごくしっかりした芝居が繰り広げられるのでドキドキしました。

トキがかける川越/リアルシネマ

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・舞台:川越の街(途中、タイムスリップした体で)
・参加者:タイムスリップした登場人物
・役者との絡み ★★★
・指定されたポイントに向かいつつ、ルート分岐とエンディングも分岐

(12/15追記)街を歩きながらポイントポイントで役者と絡みがある、リアルシネマの第2弾。第1弾は渋谷でありました。ほんと、物語の中で街を歩くと、街が違って見えます。第1弾の爆弾の話だと、誰かにみられてるんじゃないかとか、警察がふっと気になったりとかw 第2弾はタイムスリップをからめた恋物語なのですが、このタイムスリップという設定と川越の街とのマッチングが本当に素晴らしかった。

途中、古いお屋敷の二階にあがって登場人物に出会う、というシーンがあったのですが、本当にタイムスリップしたかのような不思議な感覚が得られました。そして、トゥルーエンド時の演出はそれはそれは心動かされるものでした。すばらしい、時を越えた恋物語でした。これは是非また続編を期待しています。


特に僕が好きな体験型演劇

最後に、僕が初めて「体験型演劇」を意識したとある公演をご紹介します。ただし、その公演は、ミステリーイベントでした。推理イベントは、はずしたんちゃうんかい。ただ、体験型演劇と呼べるのはそのミステリーの推理が終わった、エンディング部分になります。

密室迷宮倶楽部(のエンディング芝居)/E-Pin

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・舞台:ホテル
・参加者:推理マニアの人々
・役者との絡み ★★☆
・誰についていくかをその場その場で選択

密室迷宮倶楽部(MMK)はもう3回行われており、ミステリーの推理提出後のエンディングは毎回これ、というのが伝統になっています。犯人がおおよそわかったところで、犯人が姿を消す。だいたい爆弾がしかけられているwそれを追いかけるためにキャラクターについていく。そして舞台は分岐していく……。

E-Pin企画代表の城島さんがこの部分を「タマラ型演劇」とおっしゃるのですが、「タマラ」とは、過去に行われた有名な体験型演劇のことです。

参照>タマラ

伝統があるだけあって、システムそのものは、分岐型の基本的な形になっています。
しかしこのMMKエンディングはどこが面白いのか。

それは、

自分が事前に体験したものがラストシーンに活かされている感覚がある

だと思っています。
これは逆を返せば

自分が体験していないものは「なにそれ?w」となる

になります。でも、ここが面白いのです。

たとえば、犯人を捕らえるためにあるルートの人たちには銃や網などがこっそり預けられています。これを各自「今だ!」というシーンで取り出して犯人を捕らえる。とある役者はなぜか唐突にビリヤードのキューを持って登場して敵を倒したり(でも芝居を見ていた人はその人のビリヤード愛wを知っている)、銃で撃たれたキャラのおなかには少年ジャンプがあって助かったり(特定ルートの芝居の人はそこを見ている)。

そういった、自分の選び取った物語で、様々な伏線がはられていて、それが最後に活かされる。この感覚が得られるのは、システム的には近くてもなかなかほかの体験型演劇では得られないのです。

純粋にこれができるのは佐野バビ市さんのコメディとしての脚本が優れている、というのもあるのですが、体験したからには、それが活かされてほしい、という観客の欲求にこたえるのはとても重要なポイントなのではないかな、と思いました。

あともうひとつ大事なポイント。これは、観客との絡み、だと思います。自然な声のトーンで個人的に話しかけるモードと、芝居を全体に見せるときのモード。これを距離感を変えてうまく使い分けることが必要なのでは、と感じています。これが出来ているかどうかの差は役者、演出の差として大きいと思います。それに個人的なトーンで話されることで、個人の体験としてその物語に入ったような「錯覚」が得られます。それはとても大事。


もっともっと体験型演劇には可能性があるな、と思っています。そもそもルート分岐だけでなく、途中で何かを拾っていたら、見ていたら楽しめる要素、伏線。それを収束させる仕掛け。夢は広がると思います。ストーリーや結末自体に分岐はなくとも、ちょっとした視点の自由度、分岐があり、そのちりばめた要素を活かして収束させれば、物語世界は立体的に楽しめる。僕は体験型演劇にその可能性を感じています。

また、もちろん謎解きや推理との相性も悪くない、とは思います。淡路島ミステリーゲームさんの、「黎明に揺蕩う女王の森」とかは近いものがありますね。いろんな人から僕の好みだと思う、って言われましたが、確かに好みでしたw どこかもっとやってみませんか!
(余談ですが、自分が関わったシカケヤEXや、アイロス3の演出はこのMMKエンディングを意識していました。)

体験型演劇に興味を持っていただける方が増えて、その結果それにトライしていただける劇団、団体が増えることを今後とも期待しています。

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