公衆浴場法における「風紀」とは?

鹿児島市の公衆浴場(ヘルスセンター)が、男性客同士の不適切な行為=いわゆるハッテン行為に伴い閉店に追い込まれたという件について、Yahoo!ニュースに記事が2本載っていました。

1本目は地元放送局による詳細な記事(地元放送局記事のURLを共有します)


2本目は、元特捜部主任検事による解説記事。

銭湯の根拠法は「公衆浴場法」という法律なのですが、

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第三条 営業者は、公衆浴場について、換気、採光、照明、保温及び清潔その他入浴者の衛生及び風紀に必要な措置を講じなければならない。

2 前項の措置の基準については、都道府県が条例で、これを定める。

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という条文があり、2本の記事とも、条文中の「風紀」をめぐり、法律や条例の改正に関してフォーカスを当てている感じです。

1本目の記事は↓な感じ
・鹿児島県&鹿児島市の担当者は、「公衆浴場法が改正されない限り、条例等での対応は難しい」(=国レベルでの動きがなければ、自治体として動くのは難しい)という見解
・鹿児島大学 教授(行政法が専門)の見解は「国語的な意味も時代によって変化する。異性間だけでなく同性間のそうした行為も風紀を乱す行為として範疇に入ると考える」「地域の実情がある。それに応じて内容を条例で定める。今の地方自治法の法体系で求められている対応だと思う」

2本目の記事では、元検事が
「1948年に制定された公衆浴場法は、男湯で男性客同士が性的行為に及ぶとか、ネットで出会いの場にされる事態を想定しておらず、時代の流れに追いついていない面もあるので、法改正に向けた検討が必要でしょう」
と指摘。

ゲイ&バイセクシュアル男性人口の多さ、そしてハッテン銭湯の多さからいうと、私が住む東京も他人事ではない気がするのですが。

国レベルの対応(=公衆浴場法改正)が必要なのか、それとも条例改正などによる自治体レベルのみの対応で事足りるのか、どちらなんだろうな…とつい考えてしまいました(自分の中で結論は、まだ出ていないです)。

そして、もうひとつ。

「婚姻や各種権利・法的保護の平等化は進めてほしい。でも、銭湯におけるハッテン行為=性的行為はゲイの文化(?)なので、目こぼしをしてほしい/見逃してほしい」という論理は、そりゃもう通用しないよな…と思った次第です。

同等の権利を求める以上、同等の「風紀を守る」ことだって求められる。法的平等というのは、つまりそういうことなんだろうな、と。

また、色々な立場の人が不快な思いをせずに共存するためのプラットフォームが、いわゆる「公共性」であるとしたら。「風紀」について考えるということは、「公共性」について考えることに他ならないのかもしれません。

#ハッテン銭湯
#公衆浴場法
#風紀
#公共性

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