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芳香族化合物の化学(14)「ピリジン」

有機化学の中でも芳香族化合物は構造,反応に特徴があります。
ここでは大学レベルの「芳香族化合物の化学」について解説していきます。

今回のテーマは「ピリジン」です。

【ピリジンの構造】

ピリジンは窒素もsp2混成軌道を有するため,ベンゼンと同じく芳香族性を有し,共鳴構造を描くことができる。ただし,全ての共鳴構造は孤立電子対あるいは負電荷が窒素上に残っているため,電子分布は窒素上に局在化している。そのため,窒素上にプロトン化ができるため,ピリジンは弱塩基性を示す。

また,ピリジンはベンゼンよりも電子不足なので,反応性などに違いが見られる。

【ピリジンの合成法】

非環状のカルボニル化合物を出発物質に3工程で合成することも可能(Hantzschピリジン合成法)。

【ピリジンの反応】

芳香族求電子置換反応

ピリジンはベンゼンよりも電子不足なため,きわめて厳しい条件下でのみ求電子置換反応が進行する。求電子置換反応は3位で進行する。

Chichibaban反応

ピリジンはその電子不足性から,ベンゼンと異なり求核置換反応が進行する。2, 4位への求核攻撃が有利で,付加脱離型の機構で反応する。求核剤にGrignard試薬などの有機金属試薬を用いることもできる。

【ベンゾピリジンの反応】

芳香族求電子置換反応

ベンゼン環とピリジンが縮環したベンゾピリジン(キノリン,イソキノリン)はベンゼン環上で芳香族求電子置換反応が進行する。これはピリジンがベンゼンよりも電子不足なため,反応性が低下するためである。

Chichibabin反応

一方,求核剤との反応は電子不足なピリジン側で反応する。

【参考図書】
ボルハルトショアー現代有機化学(下)


「芳香族化合物の化学」をまとめたpdf(power pointスライド)も作成しております。
ご希望の方がおられましたらコメントをよろしくお願いします。

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