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芳香族化合物の化学(5)「芳香族求電子置換反応」
有機化学の中でも芳香族化合物は構造,反応に特徴があります。
ここでは大学レベルの「芳香族化合物の化学」について解説していきます。
今回のテーマは「芳香族求電子置換反応」です。
【ベンゼンの求電子剤の反応】
ベンゼンは共鳴安定化により,芳香族安定性を失う付加反応を起こさない。代わりに芳香族求電子置換反応を起こす。
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反応機構
求電子剤(E+)への求電子攻撃をした後,脱プロトンが進行する。
![](https://assets.st-note.com/img/1653116581459-G34YY3d7bk.png?width=1200)
エネルギープロット
2つの遷移状態とカチオン中間体を経緯して反応が進行する。この内,一段階目の求電子攻撃が律速段階である。
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【ベンゼンの官能基化】
ハロゲン化
ベンゼンのハロゲン化は,Lewis酸などの触媒により,ハロゲン分子を活性化させることで進行する。
![](https://assets.st-note.com/img/1653116856974-FGNJSpTYfs.png?width=1200)
ニトロ化
硝酸と硫酸を混ぜた混酸をベンゼンに作用させることでニトロ化が進行する。ここで用いる硫酸は硝酸を活性化させることでニトロニウムイオンを発生させている。
硫酸は硝酸よりも強い酸であるため,硝酸を脱プロトン化させることができるため,ニトロニウムイオンが発生できる。
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スルホン化
通常の濃硫酸ではベンゼンに対してスルホン化が進行しない。しかし,市販の発煙硫酸には濃硫酸に8%の三酸化硫黄が含まれており,これによりスルホン化が進行する。また,スルホン化はニトロ化などと異なり可逆反応である。
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【Friedel-Crafts反応】
Fridel-Craftsアルキル化
Lewis酸存在下でベンゼンとアルキルハライドを反応させることで,ベンゼン環にアルキル化が進行する。
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Friedel-Craftsアルキル化の制約として多重アルキル化が進行することが挙げられる。
これは置換基効果(第6回で解説予定)による影響で,二段階目はオルトあるいはパラ位で進行し,立体障害によってはパラ位選択的に引き起こる。
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Fridel-Craftsアルキル化はカルボカチオン中間体を経由することから,転移反応を考慮する必要がある。
一般にカルボカチオンは第三級>第二級>第一級の順に安定であるため,より安定なカルボカチオン中間体を経由する反応も引き起こる。
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Friedel-Craftsアシル化
ハロゲン化アシルをLewis酸存在下で処理することでアシリウムイオンが生じる。
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生じたアシリウムイオンによりFriedel-Craftsアシル化が進行する。
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Friedel-Craftsアルキル化では触媒量で進行するのに対し,アシル化生成物はLewis酸と錯形成するため量論量のLewis酸が必要になる。
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【参考図書】
ボルハルトショアー現代有機化学(下)
「芳香族化合物の化学」をまとめたpdf(power pointスライド)も作成しております。
ご希望の方がおられましたらコメントをよろしくお願いします。
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