【通販業界の闇】ロータシア製薬は詐欺?白?黒?グレー?

ロータシア製薬のマヌカジンセンが話題になっており、

一部の消費者から「ロータシア製薬は詐欺だ」と反感を買っている。

また掲示板によると青汁王子の関連会社などの噂などが溢れかえっているがこちらについては、定かではない。

では、ロータシア製薬の販売の仕方は、実際法的に、詐欺に当たるのだろうか?営業停止になる可能性はあるのだろうか?

景品表示法など法的な観点から徹底解説します。

マクドナルド、Amazon、LINEモバイルも景表法違反で詐欺疑惑!?

ロータシア製薬の話の前に、あなたが普段利用してる身近な大企業も景表法違反で罰則を命じられている。

マクドナルド

マクドナルド

日本マクドナルドは2017年、「東京ローストビーフバーガー」「東京ローストビーフマフィン」を発売した際、テレビCMや店内ポスターで、ローストビーフのかたまり(ブロック肉)をスライスする映像や写真を紹介していました。しかし、実際にこれらのハンバーガー商品で使われていたのは、ほとんどが成型肉でした。つまり、肉を細かく切断した後、軟化剤で柔らかく加工、ならびに加熱し、結着させ、形状を整えた「人工的な加工肉」です。

マクドナルドは、ローストビーフのスライスを映したCMやポスターの中で「この映像(写真)はイメージで、商品には成型肉を使用しています」などの正確な表示をしておらず、これが景品表示法の禁じる優良誤認表示に当たるとして、消費者庁は2018年に再発防止を要求する措置命令を出しました。しかし、それに誠実に従わなかった日本マクドナルドには2019年、ペナルティとして2000万円余りの課徴金の納付が命じられています。

Amazon

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Amazonジャパンは2017年、同社がメーカーから仕入れてサイト内で販売していたクリアホルダー・ブレーキフルード・甘酒の3商品について、実際の販売価格よりも相当に高い「参考価格」を表示し、割引率を不当に大きく見せかけていたことが発覚しました。それを受けて、消費者庁から、このような有利誤認表示の再発防止を求める措置命令が出されました。

Amazonジャパンは、この処分を不服として東京地方裁判所に、措置命令の取消しを求める訴えを提起しました。Amazon販売サイトのシステム上、参考価格はメーカーが任意に入力できる仕様になっていたからです。同社はインターネット上での販売の場を提供しているにすぎず、そのような不当な二重価格を定める立場にないと反論しました。しかし、2019年11月、Amazonジャパンを敗訴とする判決が出ています。

LINEモバイル

LINEモバイル


スマートフォンなどの通信や通話を格安で可能にするSIMサービスを提供するLINEモバイルは、2017年から19年初頭にかけて、「エントリーパッケージ」の事前購入者を対象に、正式申込みのときの登録事務手数料(3,000円)が不要になると宣伝していました。

エントリーパッケージとは、家電量販店やAmazonなどで、実勢価格500円前後で販売されている紙製のパッケージです。その封を解いたときに記載されている「エントリーコード」をLINEモバイルの公式サイトに入力すると、登録事務手数料が無料となる特典が付きます。

しかし、このエントリーパッケージは、「データSIM(SMSなし)」プランだけ例外的に使用できず、申込時に登録事務手数料3,000円を支払う必要があることが、サイトのどこにも説明されていませんでした。

消費者庁から、こうした優良誤認表示を是正するよう消費者庁から措置命令を受け、LINEモバイルは公式サイト上でお詫びの文書を掲載しています。

以上のように、誰もが知っているような大企業に対しても、景品表示法違反で消費者庁から処分がくだることがあるのです。

【法的に検証】ロータシア製薬の販売方法は詐欺罪なのか?

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さて本題に移りますが、実際にロータシア製薬は詐欺罪なのか?法的な観点で事業者目線、消費者目線と2つの切り口でみていきましょう。

景品表示法観点

まず、景品表示法5条2号は「商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの…(中略)…よりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であって、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの」を、有利誤認表示として禁止しています。商品やサービスを宣伝し、その内容や条件などを説明するとき、業者の側に、嘘や紛らわしい表現があってはならない、実際の商品やサービスの内容よりも著しく良いかのように見せかけてはいけない、とする規制です。

事業者目線の意見
ロータシア製薬のサイト上の説明では、「通常価格 4,020円」を打ち消して、「無料+送料300円(税込)」と大きく書いてあり、お試しができることを説明しています。さらに『解約保証』と題して、「コース2回目お支払い後は、3回目以降から解約が可能ですので、2回目以降も、ずっと50%OFFの1袋1,980円でご提供しております」と、補足説明がされています。
これらの説明と、実際のロータシア製薬の対応に間違いはありません。確かに、最初のマヌカジンセンの試供品は、送料相当額の300円のみで届けられました。代金も1袋1,980円(通常の50%割引)で販売されていて、そして、現に3回目以降での解約にも応じているからです。

消費者目線の意見
しかし最初のお試しの1袋が提供された後、一度に20袋も送られてきて、39,600円が請求されるとはどこにも書かれていません。しかも、1袋は約1週間分であり、20袋は約4カ月分で、4カ月ごとに請求があるというのです。他の一般的な健康食品の通信販売に慣れている購入者ならば、1袋が「1カ月分」であり、2回目は「1,980円」が請求されるものと思い込むでしょう。
仮に、1袋が1週間分だと購入者が認識できていたとしても、1カ月分なら4袋相当であり、2回目には「7,920円」の請求があると考えるはずです。それなのに、20袋もいっぺんに送られてきたら、ほとんどの購入者は寝耳に水で驚くに違いありません。商品の数量も、景品表示法にいう「取引条件」に含まれますので、業者はあらかじめ、最短利用期間内での提供数量ならびに総額を、正確に購入者へ伝えておかなければなりません。

民法第95条(錯誤無効)観点

次に、契約の当事者が勘違いや誤解(錯誤)によって、契約を結ぶ意思表示をしたとき、その契約は最初から無かったもの(無効)として扱われます。

事業者目線の意見
今回の場合、ロータシア製薬から無料で1袋の試供品を提供されたことは確かであり、そこに錯誤はありません。

消費者目線の意見
しかし、その後に20袋が送られてきて、その代金を請求されるとは、ほとんどの購入者が認識できない状態でした。よって、ロータシア製薬側から有効な反論が出てこない限り、錯誤によって契約は無効であり、20袋分の代金を支払う義務はないと考えられます。クレジット決済をしていたとしても、カード会社に対してその取消しを求める主張をすべきです。

なお、民法95条の但し書きには、錯誤に「重大な過失」があった場合には、無効を主張できないと定められています。しかし、2回目で20袋がいっぺんに送られてくることはサイト上に明確には書かれておらず、一般的な注意を払っても気づかない状況でしたので、購入者側に重大な過失はないというべきです。
ただし、マヌカジンセン1袋1,980円という代金に間違いはありませんし、2回目の購入以降に解約できることは明記してあります。よって、その部分には購入者の錯誤がなく、2回目、少なくとも1袋1,980円は買い取る義務があると、ロータシア製薬側が主張する可能性はあります。

消費者契約法違反観点

消費者契約法59条は、いわゆるネガティブオプション(送りつけ商法)を規制しています。
売買契約の買い手になっていない人へ、業者が一方的に商品を送りつけたり、あるいは売買契約の対象となっていない商品を、業者が一方的に買い手へ送りつけたりした場合、その商品が送られてきてから14日(または業者へ商品を引き取るよう求めてから7日)経って以降、業者はその商品の返還を請求できないと定められています。つまり、送りつけられた側はその商品を自由に処分できるのです。

事業者目線の意見
もっとも、ロータシア製薬側は、マヌカジンセンの送りつけ商法を実行するつもりなどなかったのでしょう。

消費者目線の意見
しかし、2回目にマヌカジンセン20袋が届くことを認識していない購入者にとっては、売買契約の対象外の商品であり、消費者契約法59条が適用されて、14日後にはマヌカジンセンを自由に処分できます。

ただし、先ほどの錯誤無効の論点と同じように、マヌカジンセン1袋1,980円という代金に間違いはありませんし、2回目の購入以降に解約できることはサイトに明記してあります。つまり、少なくとも1袋1,980円は買い取る義務があり、その部分については消費者契約法59条を適用できないと、ロータシア製薬側が主張する可能性もあります。

詐欺罪(刑法246条)の観点


ロータシア製薬に詐欺罪が成立するのではないかと指摘する声もありますので、その点も検討いたします。
刑法では、他人を騙して財物を交付させれば、最高で懲役10年が科される可能性があると定められている重罪です。
ただし、ロータシア製薬に詐欺罪が成立するといえるためには、次の4つの要素の因果関係が一連の流れで行われていると立証できなければなりません。


(1)他人(顧客)をだます「欺罔行為」

(2)欺罔によって、顧客が「錯誤」におちいる

(3)錯誤によって、顧客が「財物を交付」する(お金を支払う)

(4)交付された財物(お金)を受け取る


事業者目線の意見
そもそも、ロータシア製薬側において、2回目にマヌカジンセン20袋が届くことをサイトに明記しなかった不作為が、最初から顧客から騙すつもりだったのかどうかは判然としていません。
むしろ、ロータシア製薬は試供品も合わせて、計21袋を交付している側です。それに対して、もし20袋の代金39,600円を支払った顧客がいるとすれば、20袋が手元に届いていることは正確に認識しているはずで、その点に錯誤もありません。
20袋分の代金の支払いを拒んでいる顧客に対しても、ロータシア製薬に最初の欺罔行為がない限りは、詐欺未遂も成立していないと考えられます。

消費者目線の意見
ただし、ロータシア製薬が最初から顧客を騙すつもりだったことを客観的に示す、有力で動かぬ証拠が新たに出てくれば、詐欺罪で立件される可能性があります。あるいは、マヌカジンセン1袋の原価が1,980円よりも遥かに安く、他の健康食品業者と比べても価値のない商品を売っていた有力な証拠が新たに見つかれば、やはり詐欺罪での立件可能性が出てきます。

いずれにしても、警察による捜査の進展次第ですので、本件で詐欺罪が成立するかは微妙なところです。

ロータシア製薬はまだまし?上には上がいた。通販業界の闇

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特に健康食品をめぐる通販業界の実態は、闇が深く、マヌカジンセンだけを矢面に立てて責め立てても問題は解決しません。

アデルガサールは虚偽のオンパレード

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たとえば、アデルガサール(ヒューマンヘルスラボ株式会社)という、ダイエット効果で知られる通販商品があります。もちろん薬品ではなく、あくまでも健康食品(栄養補助食品)ですので、薬機法との兼ね合いで、飲んだときの効果や効能を伝えることはできません。

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ただ、サイト上などでは、外国人女性の極端に太っている写真と痩せている写真を並べて、あたかもダイエット効果があるかのように見せています。

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また、芸能人らが愛用しているかのような宣伝文句もありますが、氏名の伏せ字や顔写真の黒い目線などを入れていることから、掲載許可が取れているのか、そもそもアデルガサールで痩せた事実はあるのか、相当に疑わしいところです。

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アデルガサールについて「特許を取得した」との宣伝文句もありますが、その特許番号は、まったく別の業界の会社が取得済みであり、そこにも虚偽か大きな間違いがあります。

スリミータイムは未成年も解約できない?


また、スリミータイムもよく知られる健康食品(栄養補助食品)です。こちらも効果は個人差があり、愛用者からの「痩せた」という報告のうち、どれほどがスリミータイムのおかげで痩せたといえるのか、その因果関係は未知数です。また、定期購入を未成年でも解約できないというトラブルやクレームも報告されています。

ロイヤルハニーアップは、実質解約不可!スクリーンショット 2019-12-28 16.38.33

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初回から6回目までのご請求を滞りなくお支払いただいたお客様のみご利用可能となります。
【NP後払いをご利用のお客様の場合】
1)6回分のお支払いが完了されていない場合、全額返金保証の対象外となります。未納分のお振り込み用紙がないようご注意ください。
2)払込受領書(6回分)は返金申込書に添付が必要となりますので必ず保管をお願いします。(コピー可能)※レシート不可

「180日間全額返金保証」とうたっていますが、6回目までの請求を支払った顧客のみが対象となると書いていて、実質解約は困難というか、ほぼ不可能です。

このようにロータシア製薬だけでなく、世の中にはさらに悪質な業者がまだまだいるのです。

「グレー」で曲がり通ってる法律の抜け道の抜本的な改善が必要

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以上のように、消費者法の諸法令に違反ないし抵触しているおそれがありながらも、消費者庁からの扱いが異なる現状があり、とても嘆かわしいことです。

かたや厳しく措置命令や課徴金納付命令を出されて、社会的にも厳しい目で見られる大企業があります。

その一方で、消費者庁が「お目こぼし」をしているのをいいことに、お客からのクレームをないがしろにし、違法と合法のグレーゾーンを突っ走り、利益をあげ続ける悪質な通販業者もあるのです。

そもそも、景品表示法の「優良誤認表示」「有利誤認表示」などの規制の網は広すぎて、違法と合法の境界線があいまいになっています。

消費者庁は、より明確なガイドラインを設けて、悪質な通販業者に警告を発し、消費者がより安心して買い物ができるよう努めていただきたいものです。

【追伸】

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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私自身、1人でも多くの消費者を救うために、悪質な業者を取り締まるきっかけをつくるための記事を書くモチベーションに繋がります。

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