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神田愛山芸歴50周年の会 感想

講談師神田愛山先生が去年の古希の会に続き、今年は芸歴50周年を迎え、お祝いも重なる大変におめでたい会が続いています。

特に今年は愛山先生のお祝いの講談会が目白押し
名古屋に住んでいるため、なかなか聴きに行けないのですが
2/25にらくごカフェでありました芸歴50年記念会と今回イイノホールで行われた「神田愛山芸歴50周年の会〜AIZAN50〜」に行くことが出来ました。


らくごカフェ「愛山芸歴50年記念会」
らくごカフェの会にて愛山先生が
「イイノホールは夢の会場。
それをホームグラウンドにしてしまう伯山はとんでもない奴だ。」
と感嘆していらしたのですが
そのイイノホールで50周年記念の会を開催するのというのは
伯山さんは芸の親孝行ならぬ芸の叔父孝行者。

ゲストには瀧川鯉昇師匠と宝井琴調先生。
お二人とも共に芸歴50年の講談会、落語会の歴史を積み上げていった方々。
この顔ぶれが揃った姿を観れるだけでも大変に貴重な会だと思います。

演目は

「越の海」若之丞
「三方一両損」伯山
「時そば」鯉昇
「愛宕の春駒」琴調
「蜀山人」愛山
〜仲入り〜
『鼎談』愛山・琴調・鯉昇
「真田の入城」愛山

若之丞さんの高座は初めて聴きます。
元気で名前の通り若々しい芸でした。
現在20歳、丁度50年前に講談の道に進んだ愛山先生の当時と同じ年ということでこれもまた巡り合わせだなぁと感じる選出ですね。

伯山さん
縁起のいい演目ということで「三方一両損」
江戸っ子が沢山出てくるのでサッパリと気持ちがよく、会の始めの景気付にとても良い演目です。

鯉昇師匠は大須演芸場での松鯉先生との二人会でいつも聴かせていただいていて大好きです。
高座に上がって話し始めるまで、細かく銭を数えなおしている姿と話をしない時にこそ笑いを取れるのはこの方をおいて他にいないと思います。
初めて鯉昇師匠の聴いた演目も「蕎麦処ベートーヴェン」でした。ココナッツのくだりが最高です。

琴調先生
初めて薬研堀の講談会で聴いてから何度か聴かせていただく機会があり
人柄も合わせてとても大きくてお優しい方だと感じます。
「愛宕の春駒」は馬の様子の愛嬌が素晴らしく
階段を駆け上がる様が我々の気持ちも共に登り調子になるようで本当にいいお話でした。

愛山先生「蜀山人」
若い頃はお酒の失敗で苦労されていた愛山先生。
まくらでは長く川柳、狂歌のお話をじっくりと
蜀山人もお酒にまつわる話でなんだか先生と蜀山人が重なり合うように聞き手には感じてきます。
若い頃の失敗って、言えない事も多いですが掘り返しても怒らず今また笑いのネタにされている姿が立派だと思います。

中入り後には愛山、琴調、鯉昇による鼎談
若い頃の本牧亭などでつばなれしないお客さん相手に苦しい時代を過ごしてきた話。
50年一つの芸を続けるということの重みを感じました。
私はまだまだ演芸を聞き出して長くないのですが、このような素晴らしい方々の芸に間に合えたことが本当に嬉しく思います。
主催でもあり、今の若者と古典芸能を結ぶ伯山氏は本当に感謝してもしきれないですね。

鼎談は盛り上がり過ぎて時間を告げる太鼓の音に急かされて名残惜しく切り上げられました。
パイプ椅子をしまう雑用係でお弟子さんと共に伯山先生も椅子を片付けていたのをみて
私は伯山先生が松之丞時代の二ツ目からしか知らないので前座時代の松之丞を垣間見れた気がして貴重なシーンを見れたなぁ、とちょっと感動でした。

トリは愛山先生「真田の入城」
真田幸村が大阪城に入るまでのお話
初めて聴く演目でしたが、これが愛山先生の語りだよなぁ!と胸が熱くなりました。
言葉にするのが難しいのですが
広いイイノホールでも動じる事なく普段通りの愛山先生のあの声で、あの抑揚で語られる姿は本当にかっこいいです。
変わる事なく続けてきた渋い講談の魅力が詰まっていて大好きです。
初めて愛山先生の高座を聞いた時の
「剣道の師範のような凛々しい芸をされる方だなぁ。」
という印象がまた改めて思い起こされました。

講談の美しく胸を打つ話をこれからも聞いていきたいと思いました。

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