一寸文學 其ノ十二

白黒夜景 宗一は、だらしなく店のソファーに横になり自分の膝の上でただただ呼吸のみをしている綾乃に優しく説いた。本当の「苦しみ」とは解放される類のものでは無いのです。忘却と新しい記憶の上蓋でただ閉じ込められているだけなのですから、いずれどこからともなく滲み出て来る、言わば「来る滲み」と言うものなのです。この店でホステスとして働く綾乃に会った最初の時から宗一は綾乃のその滲みに気付いていた。また同じように綾乃も宗一のそれを感じていたのであった。「僕にはあなたの苦しみが必要なのです。塔子さん」宗一は綾乃の本名を口にした。

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