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セミノンフィクション小説「悪行の履歴書」(17)

第1章 忌まわしい泡の思い出 第17回 一歩踏み出す

身寄りのないあたしは高卒後は就職するのでもなく、当てもなく旭川から札幌に出た。旭川という街はあたしにとって単に生まれた場所に過ぎなかったからだ。

旭川から札幌に出ると札幌で就職した先輩のアパートを転々とした。
間もなくしてその先輩たちはあたしをウザがるようになったので、自分で部屋を借りるために家賃稼ぎにガソリンスタンドでバイトし始めた。だけど、そこの年上の女にホストクラブに誘われたのが運の尽き、だった。
初回は3千円で飲み放題、かっこいい男たちが何の取り柄もないあたしをチヤホヤしてくれる。そのうちの一人に枕をかけられて売掛が溜まる一方、ガソリンスタンドの給料じゃ全く話にならない。

やがてシャブも覚えた。シャブは抜けるのも難しいが金銭感覚も無くす。普通のサラ金、それも大手はもちろん中堅どころからも借りられなくなった時、あたしは決心した。

闇金からカネを借りるのはさすがに怖いと思ったあたしは、ホストから紹介されたすすきのの高級ソープで働くことにした。幸いシャブを「あぶり」でやってたのであたしには注射痕が無い・・・しかしそれは奇跡というものだろう。

お客が払う総額8万円、そこから入浴料3万円を除いたサービス料の5万円が一人当たりの実入り、札幌では超がつく最高級の部類に属する店だった。
・・・今でいう菜々緒のような外見だったあたし。Mっ気があって金もある40、50代のオッサンに好評、そんな外見なのに言葉づかいも丁寧だったせいか、すぐにその店トップになった。
源氏名は古手川。スリムでセクシー、そしてターゲットの世代的にいかにも中年受けしそうな源氏名だったと思う。

でもシャブと貯まっていた売掛で金は一向に貯まらない。
やがてあたしは事件を起こした。

(続く)

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