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『天使の囁きとおむつの匂い』: 短編小説

ミイちゃんは2歳。まだ上手に喋れないけれど、神様の声は聞こえる。
今日も彼女は、高層マンションの12階で、世界を見下ろしている。

「ミイちゃん、今日も世界は狂ってるねぇ」神様が囁く。
「ぶー」ミイちゃんは応える。それが「その通りです」という意味だと神様は知っている。

ママがスマホを見ながらミイちゃんにミルクを与えている。
「ほら見て」神様が言う。「ママは君より画面の中の人間の方が大切みたいだよ」
ミイちゃんは首を傾げる。確かに、ママの目はずっと下を向いている。

パパが帰ってきた。疲れた顔で冷蔵庫からビールを取り出す。
「あのね」神様が続ける。「パパは魂を会社に売っちゃったんだ。だからあんなに虚ろな目をしてるんだよ」
ミイちゃんは「がー」と言って同意する。

テレビがついている。政治家が何か熱心に語っている。
「嘘つきコンテストだね」神様がクスリと笑う。「あの人、鼻が伸びそうだよ」
ミイちゃんは「ぷぷー」と笑う。大人の嘘なんて簡単に見抜けるのに。

窓の外では、車が渋滞している。クラクションの音が聞こえてくる。
「みんな急いでどこに行くんだろうね」神様が首を傾げる。「結局、家に帰るだけなのにね」
ミイちゃんは「ばー」と言って手を振る。さようなら、忙しい人たち。

ママが突然叫ぶ。「いいね」の数が足りないらしい。
「なんでママは見知らぬ人の承認が欲しいんだろう」神様が不思議そうに言う。
ミイちゃんは肩をすくめる。大人って難しい。

そうこうしているうちに、ミイちゃんのおむつが重くなる。
「おっと」神様が言う。「君の中から宇宙が生まれたみたいだね」
ミイちゃんは得意げに笑う。そう、これが彼女にできる最大の創造なのだ。

ママがミイちゃんのおむつを替える。
「ママは君のウンチを始末するのに必死だけど」神様が囁く。「大人たちが作り出す目に見えない汚物のことは忘れているみたいだね」
ミイちゃんは真剣な顔でうなずく。

夜になり、ミイちゃんはベッドに寝かされる。
「おやすみ、小さな哲学者さん」神様が優しく言う。「明日もまた、狂った世界を見ることになるだろうけど、君の純粋な心だけは忘れないでね」

ミイちゃんは「うー」とつぶやき、目を閉じる。
明日はどんな大人の愚かさが見られるかな。楽しみだ。

そして、天使のような寝顔で、ミイちゃんは眠りについた。彼女の夢の中では、きっと大人たちよりもっと賢明な世界が広がっているに違いない。

#AI短編小説

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