税理士ドットコムにおける技術課題への取り組み

この記事は、弁護士ドットコム Advent Calendar 2019 - Qiitaの8日目の記事です。

僕が所属する税理士ドットコムにおいて、技術的課題への取り組みとして行っている「カイゼンスプリント」についてご紹介します。

弁護士ドットコムの技術課題への取り組み

税理士ドットコムにかぎらず、弁護士ドットコム株式会社では、各事業部でそれぞれに技術課題に取り組んでいます。例えば弁護士ドットコムではTechFocusDayといって毎週金曜日に技術的な課題の解消を、CloudSignでは1/5ラボとして技術的課題に関わらず各々が為になることに挑戦しています。このように、弁護士ドットコム株式会社は組織として課題に対して向き合っています。

税理士ドットコムの背景

税理士ドットコムの開発チームは、他の事業部に比べて比較的人数規模が小さいです。エンジニア1人、デザイナ1人、そして業務委託のメンバーが6人。業務委託メンバーも全員がフルタイムで参加しているわけではありません。

そんな状態なので、施策の合間を縫ってパッケージのアップデートやリファクタリングなどを進めてきたのですが、ビジネス上重要度の高い施策が続くことも多く、開発チームとしても改善活動の優先度が下がりがちでした。

それでもリファクタリングや改善活動は都度必要に応じて差し込んで対応していたのですが、長期を見据えた検証や調査、考えを巡らすには時間が足りなく、どうしても短期的な対応になりがちでした。

チームとしても定期的な改善や更新を行いたいという声もあり、ここは一つスプリントまるっと改善に使ってみよう、とこの活動を提案しました。

カイゼンスプリントとは?

単発でアップデートやリファクタリングを差し込んでも、優先度が下がってしまう。または、開発者自身が忘れてしまう。それを脱却するために、定期的にカイゼンする機会を設けようと考えました。

また、僕はエンジニアリングマネージャーとしても活動しているため、一日における作業時間が比較的少ないという問題がありました。週1日とかだと2-3時間しか改善活動に当てられない可能性も。

なので、チームメンバー全員まるっと1週間を改善活動に当てるようにしました。税理士ドットコムの開発チームはスクラム開発を土台においており、1スプリントを1週間と定めていたので、ちょうど1スプリントを改善活動にあてるということですね。

つまり、カイゼンスプリントとは技術的課題への取り組みを開発チーム主導で行うスプリントのことを指してチームの中で使っています。

カイゼンスプリントを実施するタイミングは?

5スプリントに1回です。

もともと弁護士ドットコムには20%ルールというのが定義されいたんですが、税理士ドットコム(というか僕)はそれをうまいこと使えてなかったんですよね。5週間に1週間なら20%じゃない?という安直な考えでこの頻度になりました。

カイゼンスプリントで何をするの?

毎週必ずやっているのは、npmパッケージの更新です。最近はPHPのパッケージの更新もやってみようとはするんですが、依存の大きいモジュールの影響もあって苦戦することが多いです。

また、削除していいかわからない謎のファイルや機能の削除だったり、いずれやりたいと言って放置してたリファクタリングなんかを行うこともあります。最近だと、@koriymさんに書いて頂いたDiiの導入を試したり、メンテナンスがしんどくなってきた機能のリプレイスの検証したりしています。調査・検証を行って次回のカイゼンスプリントに具体的な対応を投げるなんてこともあります。

たまに誤解があるのですが、カイゼンスプリントは、そこでしか改善活動をしないわけでも、そこではビジネス的な施策を対応しないわけではありません。カイゼンスプリントでのみ、優先度の比重がすこし変わります。

なのでカイゼンスプリント中に施策対応をしたり、前のスプリントから持ち越したりした施策を対応したりすることもあります。ここはディレクタや他チームの方も協力してくれています。

カイゼンスプリントの効果

NodeJSのパッケージは毎月最新に更新できるようになりました。NodeJSもLTSを維持しています。定期的に改善できることで、スケジュールのハンドルもしやすくなりました。

チームとしてまとめて時間が取れるようになったこともあり、長らく放置していた改善施策の棚卸しも定期的にできるようになって、チケットの見直しもされています。もちろん、日々新たな課題を発見しているのですが... それはそれとして「じゃあ次のカイゼンでやろう」と振返りのアクションの一つとなっています。

また、「そろそろこの機能の改修したいから、次のカイゼンでリファクタリングしておくといいかも」という提案をビジネスサイドからもらうこともあります。こういう、先々の対応について議論できるようなったのも一つの効果ですね。

信頼を得る

最初から「カイゼンスプリントやりたい」といっても、受け入れてもらえるとは限らないでしょう。税理士ドットコムは事業部として技術課題には理解があったので、そんなに抵抗なく受け入れてもらえましたが、それでもいくつか工夫はありました。

一つは、カイゼン以外の施策も受け入れる、ということ。最終的な僕らのミッションはビジネスの成功です。成功を逃して改善を進めるわけにはいかないので、そこはビジネスサイドと優先度の調整をこまめに行っています。

一つは、成果をきちんと報告することです。その効果が今後どうビジネスやチームに影響を与えるのかを理解してもらうことで、この活動を支援してもらえる体制を作っています。

このような取り組みはチーム間の信頼と効果によって成り立っていると考えているので、結構大切に取り扱っています。

まとめ

税理士ドットコムにおけるカイゼンスプリントについてご紹介しました。技術的課題を他人事にせず組織として取り組み、本質的なサービスの改善に向けて動く、そしてチームを信頼し任せるというのは、サービスの価値を大切にする弁護士ドットコムらしい文化だと思いました!

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