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日向坂46・宮田愛萌さん熱狂……!! 『愛じゃないならこれは何』熱烈2000字超コメント到着!!

12月3日に発売した斜線堂有紀先生の恋愛小説短編集『愛じゃないならこれは何』 発売後即重版が決定、好評です!! 読者の方からの感想も届きだしています……そんな中、アイドル界きっての読書家で知られる日向坂46の宮田愛萌さんから、収録作5編すべてへの感想が!! 累計2000字を超える熱いコメント、ここに全文公開します!!

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『愛じゃないないならこれは何』

※本編を未読の方は、ネタバレ的な情報が入っているのでご注意ください!


↓から宮田さんのコメントです。

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恋というものはこんなにも人間を狂わせるのかと恐ろしくなると同時に、他者によって簡単に狂わされてしまう人間という生き物が心の底から愛おしく思った。 いつか私に恋をする時がきたら、この主人公たちのような恋がしたい。


「ミニカーだって一生推してろ」 

アイドルからファンに向けた恋愛を初めて読んだので驚きました。アイドルとファンというのは、友達でも恋人でもなく、「アイドルとファン」という言葉でしか言えない唯一無二の特別な関係だと思っています。そしてその特別な関係とはひどく恋に似ていて、何かの歯車が狂ったその瞬間、どちらも恋への一 歩を踏み出してしまう可能性があるのだと思いました。アイドルはファンを幸せにする義務があると思っているのですが、ではアイドル側の幸せがファン の人を不幸にする恋にある場合、どうするべきなのでしょうね。 プロ意識がないと一蹴するのは簡単だったけれど、アイドルも人間なのだということに、今改めて気がついた気がします。えいらの「その愛を受け止めるには、多分それなりの心構えが必要なんだ」という言葉が私の心にささりました。理想の愛だけを受け止めるのではなくて、ファンの皆さんからの愛を私は全て 受け止めたい、とアイドル・宮田愛萌として思いました。


「きみの長靴でいいです」

 灰羽妃楽姫という名前の美しさ。職業はファッションデザイナー。美しき女王であり、彼女の設定が全て完璧だと、読み始めた瞬間に私は震えました。しかし、読み進めていくにつれ、妃楽姫の人間らしさが明らかになっていくところがすごくたまりませんでした。どんな“アイドル(偶像)” も人が演じているものだと、私に示しているようで、読むスピードを落とし、一文字一文字ゆっくりと目で追いながら読みました。 生身の人間は“アイドル(偶像)”とは恋をしないし、逆もまた然り。 この物語を読んで、これを理解し、そして『ミニカーだって一生推してろ』で瑠璃がアイドルを脱いだ生身の状態でSNS上の彼を知ってしまったから、恋をしてしまったのではないかなと考えました。


「愛について語るときに我々の騙ること」

 12行で裏切られるなんて思ってもみませんでした。「騙る」とついている時点でわかりやすく恋愛小説な話があるわけがないと予想はついていましたが、12行は早い、と思うのです。鳴花が「そう、今回の件は裏切りだ」と言う場面に私は深くうなづきました。私が友情だと思っていたものは、相手にとっては恋慕だったと後から知ってしまうことはひどく哀しいことであると、そして相手が友情だと思っている時に、恋慕を抱いてしまうことを、今のところ、私は裏切りであると思ってしまうのです。しかし、鳴花がこの「裏切り」を責めないところもまた理解ができます。親友は大切なものだか ら。その親友に寄り添い、慮ることを当たり前にしてしまうのです。

恋人とは食べられない難易度の食べ物も、親友の前でなら食べられる。鳴花にとって、新太と園生が等しくいちばんで、恋人というものはその遥か下に位置するものなのです。 私は鳴花を愛おしく思います。強かで健気で不器用な彼女を抱きしめたいと思うのです。それは、 私が同じように大切な(私の場合は2人とも同性だけど)親友を持っているからかもしれません。


「健康で文化的な最低限度の恋愛」 

タイトルは時として嘘をつくことを知っていたけれど、一行目でそんな恋愛の話ではないことを 悟らせるのはすごい才能ではないでしょうか。 私はこの物語を、不健康で自然な最高の恋愛の話だと思います。まるで正反対の人間になっていく絆菜は、まるで好きな人の為に変わっていくように見えるけれ ど、そうではなくて、自分のために変化しているんだなと思いました。実郷に好かれる自分になりたいから、絆菜は大好きな映画や読書よりも、興味のないサッカーや辛い登山を選びました。 実郷に愛される人間になりたくて、変化してしまう覚悟を決めて、選びとったものなのだと思うと、私は絆菜を肯定的に思います。 それはそうと、この物語には元恋人のことをストーキングして逮捕される友人が出てきていましたが、趣味趣向など、内面についてはどこからがストーキングになるのでしょうか。内面を追いかけて、追いかけ続けることは、ストーキングと一体何が違うのでしょうか。


「ささやかだけど、役に立つけど」

 見たことのある名前が出てきて驚きました。この物語は「愛について語るときに我々の騙ること」と同じ登場人物で、今度は園生の目線から三人のことが語られています。個人的にこういう同じ世界で別の目線から見られる世界が好きなので嬉しかったです。 この5編の中では唯一の男性の目線から語られるお話なのですが、「鳴花は知らないのだ。俺達が どこに出しても恥ずかしくない親友をやれていた裏にある、見せていなかった配慮を」というところが印象的でした。男女だからこそ必要になってしまう配慮。それは女性の側からは見えないもので、普段女性である私は男性には見えないものがあると思っていたけれど、逆もあるのだなぁと思いました。 男性が男性に想いを寄せることを当たり前に描いていて、そして鳴花も当たり前に受け入れてい て、それが嬉しかったです。


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宮田さん、本当にありがとうございます!! 気になった方には是非、本書を手に取って頂きたいです。購入リンクはこちら↓