2018 J2第42節 松本vs徳島

首位で迎えた第42節。勝てば優勝、負ければPO転落。さて

予習

攻撃的な印象の徳島だが攻撃面での数字は内容によってバラツキが大きい。パス数は4位、ドリブルは1位、クロス4位、ボール支配率3位と中盤での優位性は見て取れる。しかしシュート数は5位ながらもゴール数13位、シュート成功率19位は低いと言わざるを得ない。ゴール前のいいところまでは行くが最後のシュートが決まらないというのが徳島のボトルネックといっていい。

夏の移籍で獲得したピーターウタカとバラルがフィニッシャーとして機能している試合は勝利することが多いが、ここが決まらないとズルズルと無得点が続き負けが込んでいる。直近の試合は1分7敗でPO圏外にまで落ち込んでいる。

一方の守備は数字の上ではいいものになっている。被シュート5位、被ゴール2位で上々の出来といっていい。失点パターンはセットプレイとクロスからが多くなっているが割合としては平均的なもので特徴的とは言えない。

試合結果

試合内容

前節と同じスタメンでスタートした松本。この日は風が強くロングボールの精度に影響があって松本にとっては少々やりにくい状況。徳島は普段通りにボールをつなぎ松本ディフェンスの隙をうかがう。ウタカは比較的低い位置まで下がってきて繋ぎに参加してリズムを作る。ただ、その分ゴールからは遠くなりなかなかシュートまではいけない。

最初に決定機を作ったのは松本。8分、ゴールキックのこぼれを拾った岩上が左サイドの石原に渡すと前線の高崎がゴール前のスペースに走り出し、スルーパスを受けてシュートするもこれは枠の外。それでもGKと1対1のシーンを作り出し幸先の良い滑り出しとなる。そのあとも徳島ディフェンスの裏をとってのチャンスを作ることができた。全体的に徳島ディフェンスは攻撃から守備への切り替えが遅く、ビルドアップを奪われた時の対処法が整理されていないのかなという印象を持った。

また、セットプレイで徳島ディフェンスは6〜7人が一列に並び一斉にゴール方向に戻るのだが、その戻るスピードがやや遅く何度も高崎が裏を取ってシュートまで行くことができた。しかし高崎のシュートも精度が足りず得点できない。とりあえずゾーンともマンマークとも言えない徳島のセットプレイディフェンスは緩さを感じさせるものでチャンスを作れただけに決めることができなかったのは残念である。

徳島の攻撃は遅攻が多く、戻りの速い松本ディフェンスの面前でボール回しをすることになりシュートまでいけない。この辺が上位にいけない原因だろう。結局前半はシュート0で終わる。

後半を迎えるにあたって試合開始前での順位と勝ち点、及び得失点差を確認する。
1位、松本:76(20)
2位、大分:75(25)
3位、町田:75(18)
4位、横浜FC:73(18)
5位、東京V:70(15)
6位、福岡:69(16)
7位、大宮:68(16)
勝ち点3差に4チームが入る大混戦で一つの得点が大きく順位を変えることになる。大分と町田が勝利すれば松本は勝利する以外にJ1昇格はなく、POに回ることになる。さらに今節の対戦において3位町田と5位東京Vの直接対決があり、ここで東京Vが負けることになると7位転落もありうる状況。松本としては勝つことが最良の方法ながらも、状況によっては他の会場の結果を確認しながらゲームを進めなくてはならない。そして前半終了の時点でゲームが動いたのは大分。先制点を挙げて暫定首位に躍り出ている。

後半になって徳島は狙いを変えてくる。前半は中盤に降りてきたウタカが前線に張って松本ディフェンスとの駆け引きをするようになる。簡単に押し上げることができなくなった松本ディフェンスに対してシュートへの出口を見つけた徳島は攻撃への圧力をあげて行く。しかしボールを持って押し込むところまではいけるもののシュートはなかなか枠をとらえることができない。

その後は一進一退の展開でジリジリとした時間が続く。そんな中で他会場に動きが出る。横浜が先制して勝ち点76になる。73分に松本は永井を投入。得点を目指して攻撃にアクセルを踏む。75分、東京Vが先制して町田がビハインド、しかし6分後に町田に得点が生まれ1−1のイーブンとなる。

両者無得点のままアディショナルタイムを迎えるが、ここで反町監督は大然に変えて岩間を投入する。守備固めとしてのメッセージであるがこの直前に大分が山形に失点しており、これを受けてのものだろう。山形の試合会場では91分の得点だが松本のアルウィンでは88分前後だった。前半にセルジーニョが負傷退場しておりその影響で後半の開始時間が山形よりも遅くなっていた。このため残り時間を考えて大分、町田の両チームが得点する可能性は低いとの判断を反町監督はしての岩間投入を決断できたのだろう。そしてアディショナルタイム4分をしのぎ切り、スコアレスドローで試合は終わる。

そして他会場の結果、大分と町田共に引き分けに終わり松本のJ2優勝、J1昇格を決めることができた。正直、チームとしての出来ならば勝ち点84を挙げた16シーズンの方が良かっただろうが、それでも昇格はできなかった。そして今年は勝ち点77であるがJ2優勝でJ1昇格を決めることができたのはただ単純に松本より多くの勝ち点をあげるチームがなかったということだろう。もうすでに来年の降格候補だという人もいる。それでも挑戦者として松本のサッカーを最後までやり遂げ、実りあるチャレンジを成し遂げて欲しい。


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