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今日のまーし #95 後輩くん

一応なんだけど、僕も勤めている会社ではボクの後輩なんかもいたりする。
いつかにここで言ったことかもしれないけど、ボクは5人兄弟の末っ子だから、年下の人との関わりかたっていうのは、あんまりよく分からない。
でも、一応数少ない男の後輩だし、面倒なんかも多少は見ないとなあなんて考えていたりもする。

月に何度か、ラーメンとかご飯を食べに行ったりして、仲良くやっていた。
まあまあな天然で、とても愛想のいい、食べっぷりのいい後輩だ。

この後輩は、法人の中の別の事業所に入社したわけなんだけど、今年度から、ボクの勤めている事業所に入ったのだった。

本当に、関わり方なんかがあんまりよく分からないもんだから、真顔で冗談を言ったり、馬鹿なことを言ったりなんかして、気持ちを和ませようと努めたのだった。

天然系だから、自分が言った嘘なんかも信じてくれるのだった。
本当に面白いぐらいに信じるから、一度嘘をついてから、本当のことを言うなんてことはいつものことだった。

そんな後輩くんは、「この仕事をやめたい」と言い出したのだった。
理由は主に二つある。
一つは、自分が大学で学んだことを仕事にしてみたい、ということ。
もう一つは、人間関係が自分とあまりうまくいかない、とのことだった。

もちろん内容を書けばいろいろあるんだけど、お酒を飲んでベロベロになった挙句、それしか言わなかったから、それが本当のことなんだろう。

「申し訳ない」

後輩くんはよくそんなことを口にしていた。
確かに業務は他の人に割り振られていくから、申し訳なくなるのかもしれない。
辞めることを表明してからもそんなことを考えるのだから、相当真面目なんだろうなあと感じざるを得ない。

そのしわ寄せは、隣にいるボクにも当然やってくるだろう。
だけど、ボクに言わせれば、「一人当たりにできることなんか限られている」だ。
だから、自分にいろんな事が自分に降りかかったとしても、できないものはできないのだ。
だから、あんまり気にするんじゃないよ、と本当に思っていることを伝えたのだった。

「そんなことより、オレの言いたいこととか冗談は、誰に言えばええんや?」
と、自分の気持ちの余白部分の行方に心配し、笑い合うのだった。

いろいろやってみて、見て、聞いて、感じて、考えたのだろう。
我慢しただろうし、耐えたのも、なんだかよくわかる。
そんな上での彼の中での大きな決断なんだろう。

だけど、いつまでも応援したい気持ちもあるから、止めることはないし、応援している。

「どうせ辞めるんだから」と周りの上司たちはぞんざいに扱うことは目に見えている。
だけど、そんな時こそ、「こっちもどうせ辞めるんだから」とぞんざいな態度をとってしまえとアドバイスをする。

ボクはこの後輩くんには何もできやしなかったしこれからもできないかもしれないけれど、応援はしているし、できるだけそれを形にしたい。

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