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名古屋に眠る未成道「弥富相生山線」

日本国内には沢山の道路がある。多くの道路は開通してから今日に至るまで運用されている。しかしながら、一部の道路は新道の開通や災害などによって閉鎖・放棄されたり(廃道)、何らかの事情で道路工事が中止になりそのままになってしまったり(未成道)することがある。今回取り上げる「弥富相生山線」は後者の、事情があって工事が中止になってしまった道路である。

※弥富相生山線は2018年3月と9月に訪問した。したがって、本作には3月に撮った写真と9月に撮った写真が混在していることに留意して頂きたい。

弥富相生山線の概要

上記の写真は現地に設置されていた看板を加工したものである。(見にくくて申し訳ないが、)青色で着色した部分が「弥富相生山線」だ。
弥富相生山線は昭和32年に渋滞の解消や生活道路への車の流入を防ぐために建設が計画された。この道路は相生山緑地という広大な緑地帯の中央部を通過する形で計画され、平成5年9月から工事が開始された。
しかしながら、建設当初から相生山緑地に生息するホタルなどの生態系への影響が危ぶまれており、名古屋市長である河村市長の指示により平成22年に工事が中断された。
そして、科学的な検証などを進めた結果、平成26年に同市長は弥富相生山線の道路事業の中止を正式に発表した。この発表によって弥富相生山線が一般的な市道として運用される未来は断たれたことになる。
同市長は弥富相生山線を公園として整備するという考えを示している。

平成最後の弥富相生山線

先程の画像に載せた、A地点から撮影。弥富相生山線は工事用のフェンスで囲まれていて立ち入れないため、フェンスの隙間から撮影。アスファルト舗装は最初の10数メートルしかされておらず、道路の大部分は未舗装のままだ。

蛇足だが弥富相生山線の通る相生山緑地はこのような遊歩道が整備されている。私が撮影した写真は全て、公道、もしくは遊歩道から撮影している。立ち入り禁止の場所には侵入していないので安心して欲しい。

遊歩道を歩いていると唐突にこのような大きなコンクリートの塊が現れる。これは橋脚だ。ここは完成していれば高架になっていたと考えられるが、橋桁を設置する前に工事がストップしてしまったのだろう。一度も使われたことが無いのにも関わらず、黒ずみができるまでに汚れてしまっているこの橋脚を見ると哀愁を感じずにはいられない。相生山緑地内にはこのような橋脚が写真のものも含めて、少なくとも2つある。

私には道路建設に関する知識は無いので、詳細は分からないが恐らくここは高架部分に至る手前の「橋台」と呼ばれる部分だろう。舗装の有無など気になる点は幾つか有るが、遊歩道のある場所が道路のある場所よりも低かったため、確認することが出来なかった。

2018/9/30追記

上記で舗装の有無について「遊歩道のある場所が道路のある場所よりも低かったため、確認することが出来なかった。」と書いたが帰宅後インターネットで探していたら舗装の有無が確認できる写真を発見した。下記がその写真である。

上記のサイトより写真は引用。(引用する許可はサイトの管理人の斎藤氏より頂いている。)この写真を見ると、道路の舗装が完了していることが確認できる。私が現地に赴いて確認していた限りでは弥富相生山線は舗装が完了している箇所はほとんど無かったため、弥富相生山線は舗装工事はされていないものだと思い込んでいた。だから、舗装が完了している場所があるということには驚きを隠せず、この写真を発見した時は奇声を上げそうになった(苦笑)以上追記完了。

C地点からB地点方面を望む。C地点もA地点と同じく入り口から10数メートルは舗装されているがそれ以降は未舗装だ。写真奥にはトンネルが見える。
3月に訪問した時は土地勘が無いことも有り、これ以上トンネルには近づけないと思い込んでいたが、実際にはもっとトンネルに近い場所まで辿り付ける事が分かった。

・・・と、言うわけで9月に訪問した際はトンネルに近い場所(B地点)で写真を撮った。トンネルの少し手前にはマンホールがあることが分かる。写真では分かりにくいがトンネル内のみ舗装がされていた。トンネル内はアスファルト舗装ではなくコンクリート舗装をすることが多いと聞くが、このトンネルもコンクリート舗装なのだろうか?

おまけ

B地点からC地点を撮影。この道路は完成していれば片道1車線の立派な道路になっていたことだろう。

まとめ

先にも述べたとおり3月と9月にこの場所を訪問した。(9月の訪問時には蚊が大量に寄って来て大変だった。)
遊歩道は、名古屋とは思えないような静寂に包まれていて心地が良かった。河村市長はこの道路を公園として整備したいとしているが、今後この道路がどのように進化していくのか非常に興味深い。公園として整備されたらまた訪問したいと思う。
また、写真の掲載を快諾してくださった「いたみわけ.com」の管理人である斎藤氏に感謝の意を示す。

参考文献

更新履歴

2018/09/21:記事公開
2018/09/29:更新履歴の記述を忘れていたため「更新履歴」を追加
2018/09/30:舗装の有無に関する情報を加筆。

2016年頃から廃墟に関心を寄せる。2018年、実際に廃墟へと趣き、廃墟訪問にハマる。現在はその廃墟がかつてどのように使われていたのか、いつ頃廃墟になったのかを特定することに力を注ぐ。 地域・店舗限定のエナジードリンクを見つけることにもハマっている。自他共に認めるエナドリ中毒者。