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登録販売者って何??

新米登録販売者の苦悩>登録販売者って何??
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序 はじめに

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写真1 ゲンキー弁天町店(岐阜県多治見市)

 突然ですが、皆さんはドラッグストアを利用していますか?ドラッグストアと聞くと「お薬屋さん」というイメージが強いかもしれませんが、最近はお菓子やカップ麺などの食料品に力を入れているお店も多く中にはお弁当や焼き立てパンを販売するドラッグストアも登場しています。私も最近はドラッグストアでパンや飲料を買うことが多くなっています。価格も安価なのでコンビニに行く機会はかなり減りました。
 近年、ドラッグストア業界は競争が激化しています。2006年に15,014店舗だった日本全国のドラッグストアの数は2016年には18,874店舗になったそうです。皆さんの生活圏内でもどんどんドラッグストアが増加しているのではないでしょうか?
私は今、愛知県で暮らしています。20年前、近所にあるドラッグストアといえばローカルチェーン店が1店舗あるのみでした。しかし、5、6年ほど前からドラッグストアが次々と開店し、現在ではスギドラッグ、ココカラファイン、マツモトキヨシ、Vドラッグ、ゲンキーなど様々な会社のドラッグストアが立ち並んでいます。(※1)

※1 各ドラッグストアについて
スギドラック・・・株式会社スギ薬局(愛知県大府市)が運営。関東、関西、中部地方に出店しており、特に中部・関東地方は店舗数が多い。調剤薬局併設率は全ドラックストア中で1位。
ココカラファイン・マツモトキヨシ・・・前者は株式会社ココカラファイン(神奈川県横浜市)が運営。社名には「ココロとカラダを元気(ファイン=fine)にしたい」という願いが込められている。後者は株式会社マツモトキヨシ(千葉県松戸市)が運営。2021年10月に経営統合する見込み。経営統合が実現すれば、ココカラ・マツキヨがドラッグストア業界売上高ランキング1位になるのではないかと予想されている。
Vドラッグ・・・中部薬品株式会社(岐阜県多治見市)が運営。中部地方、関西地方に出店している。スーパーマーケットのバローなどと同様、バローグループに属している。
ゲンキー・・・ゲンキー株式会社(福井県坂井市)が運営。これまでに愛知県、岐阜県、福井県、石川県の4県に出店。2021年度には滋賀県進出を果たす見込み。食料品販売に力をいれ、プライベートブランドの開発も盛んに行うディスカウント型ドラッグストア。インターネット掲示板5ちゃんねるではディスカウントストアとして有名なドンキ・ホーテとともに並べられて、ゲンキー、ドンキーと呼ばれてしまうことも。

 さて、こうしたドラッグストアと切っても切り離せない関係なのが「登録販売者」です。登録販売者とは一体なんなのでしょうか??

1.1 登録販売者とは?

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写真2 スギドラッグ平和が丘店(名古屋市)

 「登録販売者」とは2009年6月に薬事法(現:薬機法=医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)が改正されたことで誕生した資格です。尚、それまでは「薬種商」という資格がありましたが登録販売者の創設に伴って、薬種商は廃止されました。

 薬種商と登録販売者の違いについては下記のサイトの説明がわかりやすいでしょう。

 さて、ドラッグストアで販売されているお薬(=一般用医薬品※2)は副作用のリスクに応じて「第一類医薬品」「第二類医薬品」「第三類医薬品」に分類されています。無資格の人がこれらの医薬品を販売することはできません。登録販売者の資格を取得することで、比較的服用リスクの低い「第二類医薬品」及び「第三類医薬品」を販売することが可能になります。「第一類医薬品」に指定されている医薬品は服用リスクが高いため、薬剤師以外の人が販売をすることは認められていません。

登録販売者

図1 登録販売者による販売が認められる医薬品 

 ドラッグストアで販売されている一般用医薬品の9割以上が第二類医薬品、第三類医薬品です。すなわち、登録販売者の資格を取得することで、大半のお薬の販売が可能になるのです。 
 それでは、登録販売者になるにはどうすればいいのでしょうか?

※2 一般用医薬品
処方箋などを必要とせず、消費者の意思で購入することができる医薬品。類似語として、「OTC医薬品」「大衆薬」などの言葉がある。それらの言葉との関係性は下図の通り。

医薬品

図2 一般用医薬品と医療用医薬品の概念図

1.2 登録販売者になるには?

 登録販売者になるには都道府県ごとに実施されている筆記試験に合格する必要があります。登録販売者資格が創設された当初は、一定年数の実務経験がなければ試験を受験することができませんでした。しかしながら、2015年からは実務経験が不要となり、実務経験がない人でも受験ができるようになりました。
 都道府県によって合格率にはかなり開きがありますが、概ね合格率は40〜50%程度になっています。

 ちなみに、登録販売者の資格を取得してもすぐに一人前の登録販売者になるわけではありません。資格取得後に、連続した5年間の中で通算して2年(1920時間)以上の実務経験を積むことで、一人前の登録販売者として認められます。実務経験のない人は研修中の登録販売者ということになります。研修中の登録販売者は、薬剤師や実務経験を積んだ登録販売者の管理・指導の下で医薬品販売業務に従事しなければなりません。ただし、資格取得以前に上述の実務経験がある場合はこの限りではなく、資格を取得した時点で一人前の登録販売者として認められます。


コラム:登録販売者の資格創設当時の状況

 現在では、実務経験の有無にかかわらず、受験が可能になった登録販売者。今日では登録販売者の試験合格を目指すための専門学校も存在するようです。しかし、「1.2 登録販売者になるには?」でも書いたようにかつては登録販売者の試験を受験するために、一定年数の実務経験が必要でした。そのため、実際には実務経験の条件を満たしていないにもかかわらず条件を満たしたと偽って受験する人が多数発生し、問題になりました。2012年11月7日には大手スーパー「西友」が虚偽の実務経験証明書を282人に発行していたことが東京新聞によって報じられています。
 登録販売者資格が誕生した2009年度は新型インフルエンザが流行し、患者がOTC医薬品から病院へと流れました。また、改正薬事法では第一類医薬品の販売時に薬剤師が書面を用いてお薬について説明をすることを義務付けていました。法改正を受けて、薬剤師の人件費増加を回避するべく、第一類医薬品の取り扱いを停止する薬局・薬店が増加しました。その結果、第一類医薬品の売上が減少しました。上記の要因から製薬会社は売上低迷に悩まされる1年間になったようです。
 
 また、薬剤師の話になりますが、2006年4月よりそれまで4年制だった薬学教育が6年制になったことにより、2010年と2011年は新卒の薬剤師が存在しない年となり薬剤師の人員確保が困難となり、人手不足に陥った薬局もあったようです。

 以上のことから、登録販売者資格が生まれた2009年前後はドラッグストア業界や製薬会社、薬局にとって、大きな「変化」があった時代であると言えるでしょう。

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参考文献

・2009年5月25日 東京新聞 朝刊 朝刊3面 3頁
・2010年6月1日 東京新聞 朝刊 朝刊第二経済 8頁
・2012年11月7日 東京新聞 朝刊 朝刊6面 6頁
・ジャパンナレッジ-登録販売者
・ジャパンナレッジ-薬種商

更新履歴
2021年4月25日 公開
2023年1月11日 修正


2016年頃から廃墟に関心を寄せる。2018年、実際に廃墟へと趣き、廃墟訪問にハマる。現在はその廃墟がかつてどのように使われていたのか、いつ頃廃墟になったのかを特定することに力を注ぐ。 地域・店舗限定のエナジードリンクを見つけることにもハマっている。自他共に認めるエナドリ中毒者。