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10.わんぱく相撲全国大会という戦争(2017年8月)
「JC」よりも「わんぱく」の知名度が上
JCといえばなんですか?と聞くと、一般の人はイメージがわかないという方が多いですが、「わんぱく相撲やってます」というと、多くの子供を持つ人(特に地方)は「ああ、わんぱく相撲やってるとこのなのね!」と反応してくれます。
それほど、わんぱく相撲=JCと言えるほど、わんぱく相撲は今やJCの看板事業となっています。
わんぱく相撲は、元々は遊び場の少ない東京の子供たちの運動不足を解消しようと東京JCが始めた事業で、東京JC全体としては1977年より始まった「運動」で、それが全国に広がり、1985年には国技館にて第一回わんぱく相撲全国大会が行われました。
現在のわんぱく相撲は、東京でいうと、まず各地区大会(新宿区であれば新宿区大会)が、各区内の小学校から4~6年生の募集を募り、5月に開催されます。
その後、関東大会が行われ、そこで勝ち抜いたツワモノ小学生力士が、全国大会に参加できるのです。
わんぱく相撲出身力士としては、貴乃花、豪栄道関などがいる、現在では相撲少年たちの登竜門となる大会となっています。
そんな大会なので、毎年8月頃に東京で行われる「わんぱく相撲全国大会」は、開催地である東京JCの8月例会と位置付けられ、東京JCのすべての組織が総動員されて実施される、東京JCの威信をかけたイベントとなるのです。
大会でのそれぞれの役割と流れ
大会は1日ですが、事前の準備も含めると、多くの委員会は主に2日間担いがあります。
全国大会となると主幹となる「わんぱく相撲委員会」が毎年組織され、ここが大会全体のオーガナイズからグッズ制作、スポンサー集めまでを担当します。
そしてこのわんぱく相撲委員会が、各委員会の担いを割り振っていくことになります。
全国大会では、国技館(2017年当時)での受付や土俵周り、控室や稽古場などに、多くの人が必要となるため、これらに各委員会を配置していきます。
そして大会前日の早朝に、まずメンバーが会場に集まり、流れや役割などを確認したのち、すぐに仕事が始まります。
この日は、出場力士とそのご家族が来場し、登録&リハーサルなどを行いますので、彼らを迎え入れるための準備を、それぞれのセクションで行います。
多くの委員会でも、前日から準備は大変です。
しかし、このわんぱく相撲全国大会。
財務運営会議は、わんぱく相撲委員会の次くらいに大変な担いを持っていたのです。
それは、「グッズ販売」という苦難…もとい修練です。
2日間で200万越え!札が舞い踊る出たとこ勝負のグッズ販売コーナー
グッズ販売とは、東京JCが制作するわんぱくグッズ関連商品の販売のことで、わんぱく小僧というわんぱく相撲公式キャラクターをあしらったTシャツやタオル、バッヂなどを売ります。
このグッズ販売、大会期間中に200万以上の販売ノルマをサラッと課され、それを達成するために財運メンバー+αという少人数で闘うこととなります。
そしてなぜか、グッズは大会前日から販売を始めるため、会場到着後、財運メンバーは大急ぎで物販ブースへ向かい、ショップ設営を行うこととなります。
長机と商品を入れるビニール袋、グッズの入った段ボールがあるだけの状態から、出場力士たちが到着する時間までに大急ぎで商品を並べ、サンプルを出し、会計ができるようにお金をそろえ、値札を書きます。
基本的にはお店でのグッズ販売などやったことのないメンバーですから、何が何だか段取りがわかりません。
前年からグッズ販売をやっているメンバーも、この年はいませんでしたので、状況を知っているのは事務局のスタッフさん(会場内を飛び回っていて基本会えない)と、財運議長であるD議長も流れは把握しているようですが、全てを聞きながら動いていては間に合わないので、さっそくテンパります。
この年は、商品管理の仕方に伸びしろがありまくり、バーコードをエクセル上に読み込み、そこで在庫管理も連動して行うシステムで行われたのですが、実際の商品と違うバーコードを読み込んだり、お客さんが「あ、やっぱこっちね!」と言ってバーコードを読み込んだ後に違う商品に変更するので、エクセル上で計上された後は手修正を行わなければならないのですが、実際はそんな暇はありませんでしたので、この仕組みがさらにパニくる原因となりました(笑)。
ここは本当に日本か!?
さて、いよいよ販売開始ですが、お客さんは会場入り後、登録を済ませた後にご家族で大挙してやってくるパターンでまず第一波が来ます。
Tシャツなどのサイズは、XSからXXLくらいまであったと思いますが、まあXL以上が飛ぶように売れます(笑)。
おかしい、ここは日本じゃなかったっけ?
いつの間にかハワイかなんかに来てしまったのか??
というほど、購入者のサイズがどなたも日本人離れしており、自分が今わんぱく相撲全国大会にいるんだという実感をこれほどすぐに感じられるセクションもないなと思った次第でした。
大混乱の販売現場
そして店頭販売の素人たちが担うグッズ販売、特に困ったのは、
・お客さんの導線・誘導(どこが先頭だっけ?)
・おつりが足りない
・ビニール袋が足りない
でした。
グッズコーナーは、国技館を入った通路の1コーナーになり、他の受付と同じ机の配置となっているため、お客さんが滞留できる奥まったスペースが確保されていません。
そのため、人だかりができると会計待ちの列と商品を見ているお客さんが混じってしまい、導線が崩壊します。
おつりは、事務局のスタッフさんが持っているのですが、常に会場内を動き回っているため、余裕をもって連絡しないと両替が間に合わなくなったりします。
(これから財運に入る人は余裕をもって連絡してネ!)
ビニール袋は、2019年度になっても相変わらず足りなくなっているのですが、2017年当時は速攻で在庫切れになりました。
まだ10時にもなっていない時間帯であったのと、国技館の近くにスーパーなどはありませんでした。土地勘もないため、軽く絶望しながらあたりを走り回り、開店ギリギリくらいに飛び込んだ100円ショップでビニール袋を買い漁り、若干間に合わなくなりながらもにビニール袋を補充した記憶があります。
幹部の修練
大会に関しては、わんぱく委員会以外ではおそらくトップクラスに忙しい財運の物販ブースですが、それでもノルマ200万への道は険しく、できるだけ早い段階で目途をつけておきたいところでです。
そこで出るカードが、「幹部への営業攻撃」です。
通りかかる委員長・理事にかたっぱしから声をかけて、半ば強引…もとい魅力的な営業トークで購入していただきます。
東京JCでは、委員長や理事になるためには、いくつかの主要ポストを経験する必要があるのですが、こと財運の議長というポストに関していえば、今まで築いてきた人脈は、まさにこの瞬間のためにあると言っても過言ではありません。
委員長・理事についても、ここでいかに器を見せられるかで、次年度のポストが決まるとか決まらないとか。
結果、委員長や理事の家には、毎年大量購入したTシャツがところせましと置かれ、毎日のパジャマとして有効利用されているとのこと。
財運の初日は長い
そんなこんなで怒涛の一日を過ごし、最後に在庫確認をします。
これも前述の伸びしろ販売管理システムにより当然在庫数が合わないのですが、なんとか合わせます。
これでようやく一息か、と思いきや、財運の一日はこれでは終わりません。
わんぱく相撲全国大会では、出場力士たちは、なんと大会前日に相撲部屋で過ごすことができるのです!
きっと将来相撲取りになりたいという子供たちには、一生忘れられない思い出となることでしょう。
我々JCは、前日のリハーサルが終了したのち、各地から来たわんぱく力士を相撲部屋へ送り届けるという仕事があり、財運もそれに参加します。
一日嵐のような物販ブースでの闘いのあとの部屋への送りということで、心が若干折れていた我々を察してか、この時はD議長が自ら向かってくださり、残ったスタッフは、来るべき大会当日のために、多少の英気を養うことができたのでした。
大会当日のお祭り騒ぎと、財運から見えるわんぱく相撲全国大会
そして迎えた大会当日。
各相撲部屋から、続々とわんぱく力士たちが国技館にやってきます。
これから、小学校4年~6年生ごとに、頂点を決める戦いが始まります。
会場は、ケーブルテレビ局のカメラも入り、現役力士などもやってくるなど、華やかな雰囲気に包まれながら盛り上がっていきます。
一方我々は、前日の経験があるためか、若干オペレーションが改善し、勢いよく売っていきます。
残念にも敗れて泣きながら記念の品を買いに来るわんぱく力士。
一緒に来ている子供たちの分もまとめ買いされる恰幅のいいご夫婦。
地元に残っているメンバーにお土産を買いに来るLOM(各地JCの単位です)のメンバー。
みんなそれぞれの想いを、わんぱくグッズという目に見える「形」に落とし込みます。
財運は、2日間ともずっと会場入り口近くの物販スペースに張り付くため、取り組みが行われる会場内で何が行われているかはよくわかりません。
しかし、物販ブースに来るみなさんの姿を通して、わんぱく力士はもちろん、その力士たちを支える家族やLOMメンバーの、この大会に賭ける想いを感じていました。
ノルマを達成しろ!
そうして、2日間にわたる僕たちのわんぱく相撲が終わろうとして…いませんでした。
なんと、ノルマを達成するまでは売れ!というお達しがあったのです。
え?もう大会も終わって、人も超まばらだけど…。
などという当たり前のことは、JCでは通用しません。
人もほとんどいないのに、モノを売れというのです。
ここはブラックな証券会社の営業部かと見まがいましたが、現実です。
こまった我々は、なんと二週目の委員長・理事への営業を開始し、あらゆる手を使って、大会が終わってしばらくたった後に、なんとかノルマを達成することができたのでした。
実はスタッフは全員心が折れていたのですが、「剛腕」と謳われたD議長が、根性でこの難事を乗り切ったのでした。
大会運営を担っている各セクションの委員会も、取り組みをつつがなくこなさなければならないという重圧がありますが、具体的な数字を課されている財運も、あまり目立たないセクションと思われがちですが、かなり実践的な成長の場が用意されている委員会だと、僕は思います。
こうして、僕の初わんぱく相撲全国大会は、ちょっと変わった視点からの参加となりましたが、少し距離を取って見れたからこそ、わんぱく相撲の意義について感じることができました。
こんな大規模な大会の運営に携われる機会はめったにないので、ぜひみなさんも、JCに入って、この熱気を感じてみてください!
つづきます
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