高校生2名が鈴木 勝 様(東食品株式会社 代表取締役)にインタビュー!!
こんにちは。認定NPO法人キッズドアです。
キッズドアはすべての子どもが夢や希望を持てる社会の実現を目指し、経済的な困難を抱える家庭の子どもたちへ生活や学習の支援を行う認定NPO法人です。
中学生・高校生が企業の経営者などにインタビューする企画「Dialogue of the future」の第5弾として、鈴木 勝 様(東食品株式会社 代表取締役)にお話を伺いました!
抽選で選ばれた2名の高校生が、若者ならではの視点で素朴な質問をぶつけました。
※この記事は2023年9月時点のものです。
一番大切なことは「来ていただいたお客様が笑顔で帰っていく」こと
——東(あずま)食品はどんな会社ですか?(17歳女子)
東(あずま)食品は、昭和5年(1930年) に八百屋として創業して、私は創業者である祖父から数えて三代目になります。
父の代では中小規模のスーパーを営んでいましたが、私が社長になってからは競合他社の台頭もあり、フランチャイズ事業に大きく舵を切りました。
※フランチャイズとは、個人や法人がフランチャイズ本部企業と契約を結び、店舗などを経営するビジネスシステムのこと
当時はレンタルビデオの「TSUTAYA」から始め、今ではフィットネスジム「エニタイムフィットネス」や児童発達支援の「コペルプラス」、焼き肉の「牛角」まで幅広いフランチャイズ事業を行っています。
とにかく幅広くビジネスを行っていることが東(あずま)食品の特徴になっています。
——社長の仕事ってどんなことをしているのですか?(18歳女子)
私が社長の仕事で大切にしているのは「会社のあるべき姿」を追求して、社員のみなさんに伝えることです。
東(あずま)食品は様々なビジネスをしていますが、一番大切なことは「来ていただいたお客様が笑顔で帰っていく」ということだと思います。
今の東(あずま)食品の「あるべき姿」はスタッフの笑顔とお客様の笑顔だと思っていますし、お客様の笑顔のために頑張れるように社員にビジョンを落とし込んでいます。
また、情報収集も大きな仕事です。
「この業界はこの先どうなるのだろうか?」「うちは参入することができるのだろうか?」ということを見極める仕事をしています。
情報収集をしていると先行きの厳しい業界が分かるので、新たなビジネスを見つけるだけではなく、「この業界は撤退しよう」と判断することもとても大切だと思います。
——人望を作り上げる秘訣はありますか?(17歳女子)
私に人望があるか自信はありませんが、気を付けていることがあります。
それは仕事の内容について、スタッフに細かい指導しないということです。
それよりも「目の前のお客様に一生懸命だったか?」「お客様が笑顔で帰っていったか?」ということのみに注目をしています。
ここ十数年、毎日それぞれの店舗から上がってくる日報には「明日も笑顔でよろしくお願いいたします!」と欠かさずコメントを入れています。
こういったことの積み重ねが人望に繋がるのかもしれませんね。
狭い視野で「自分だけが不幸だ」と思うのではなく、広い視野で物事を考える
——大きな転機になったことはありますか?(18歳女子)
ひとつは、20代のときに大病を患った経験です。
入院をしていた時は「自分が世界で一番不幸だ」と思っていましたし、外を元気に歩く人を見てイライラしていました。
しかしある時、小児病棟でもっと重い病気を患っている子どもや看病をしている親御さんをみて「自分は全く不幸ではない」と自然と思えるようになりました。
狭い視野で「自分だけが不幸だ」と思うのではなく、広い視野で物事を考えることができるきっかけになりました。
もうひとつは、やはり結婚して子どもができたときでしょうか。
守るべき家族ができた責任感と、「子どもに軽蔑されるような父親にはなりたくない」という思いで、やはり大きく人生が変わったような気がします。
——笑顔がとても素敵だなと思いますが、秘訣はありますか?(17歳女子)
若くして社長になったこともあり、実は生意気で短気な時期もありました。取引先に怒鳴ってしまった経験もあるぐらいです。
しかし「お客様に笑顔で帰ってほしい」とスタッフに言っておきながら、自分が笑顔でいないのはダメだとあるとき気づきました。
今思い返すと「申し訳ないことをした」と後悔することや、損したことがいっぱいあります。
感情を出すことも時には必要ですが、特に私の立場では機嫌の良し悪しを出してはいけないな、と思っています。
「一番の選択肢はなんだろう?」と模索して一歩前に出ることが、人生も経営も大切
——個人/会社としての今後の目標を教えてください。(18歳女子)
まず個人としては、長生きして孫の成長を見守りたいですね。
孫がひとりで生きていけるまでは、サポートしたいと思います。
会社としては、他業種の様々なビジネスを通して強い会社にしていきたいなと思っています。あるエリアで様々な業種のサービスを展開すると、結果的にその地域のお客様に得に繋がると考えているので。
「何屋さんかわからないけど、強い会社だよね」と思われるようにしたいと思います。
——運も実力のうちと思いますか?(18歳女子)
会社の経営と人生はとても似ていると思います。
それぞれの置かれている環境を憂いていても、良いことはありません。
今の現状で「一番の選択肢はなんだろう?」と模索して一歩前に出ることが、人生も経営も大切だと思います。
本当に人生にはいろんなことがあります。
私も大病を患ったときや、バブルが崩壊した時には「どうしてこんなことに」「運がない」と思った時もあります。
ただそこで立ち止まっていては前進できません。
必死に考えてその状況から「絶対に抜け出す」という逞しさを、特に若い皆さんにはもって欲しいなと思います。