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リサとハリーの舞台裏

リサとハリーの才能と努力の比率

私は才能って努力を努力だと思わず
夢中にできることだと思うんだけど、

それも踏まえて2人の違いを今日は書く。


リサは地道な努力上がりな人で、
都会に出てから自分は井の中の蛙と知った子。

ハリーはそんな才能よりも普通の人として
生きたいと思うある意味自分の才能を軽くみてる孤独な天才気質。
天才として、ファッションデザイン以外の社交性や、対人スキルが著しく低い、
ある意味天才性以外を持てなかった子。
自分が持ってる物(天才性)がなんなのか良くは分かっておらず、服を作るとリサが喜ぶから、作るというだけの単純な動機しか持たない。

リサはハリーの作る服と出会ってしまった事で、
自分には才能が無いんだと再確認してしまう。
だけど本当はリサにもハリーと対等な位の
才能を持っているのに、
ハリー(天才)と自分をわざわざ比較し、
ある意味より一層の自己否定をしてしまう。

つまりはリサもハリーと同じで、
自分が持っている物が分かっていない。

二人の関係性のイメージは、
ハリーは天才モーツァルト、
リサは努力で宮廷作曲家まで上り詰めたサリエリ
二人の生涯続くライバル関係だ。

モーツァルトの才能に憎み、
最終的にサリエリは間接的に
モーツァルトを殺してしまう。
でもサリエリはモーツァルトを
殺してしまったと苦しんで気が狂い
精神病棟に入れられ晩年を過ごす。
サリエリはどれだけモーツァルトを憎んでいても
本当は誰よりもモーツァルトの曲のファンだった。
リサはハリーの才能が憎いと思うと同時に
ハリーのファッションデザインセンスの一番の
理解者であり、ファンなんだ。
ハリーはセンスはあっても、
社会に出てリサ以外の人と交流することは
不可能。
つまりは2人は一緒に生きていくことでしか
才能を発揮出来ない。

孤独で哀れな、自分が守らなければいけないと
思っていたハリーが、化けの皮を剥がして
類まれなるファッションデザインセンスで
服を作っていく。
リサは複雑な思いだった。
結局ハリーも、新入りのあの女の子と
同じじゃないか。
ピュアで異常な才能を持ってる。
ハリーの純粋無垢な姿を見て、
リサは自分の穢れを再認識する。

ハリーが、
いや、ハリーの才能が心の底では
リサは憎い。
でも誰よりもハリーの事を理解していた。
リサはもう限界まで頑張って頑張って、
自分の才能のレベルがわかった頃だった、
もう、呼吸をするようにポンポンと
デザインを書けるハリーをみて
「こりゃかなわないなぁ……」ってのが
確信になったんだな。
自分はあんなに悩んでしぼりだして、
NGくらってた、デザインをハリーは
チュルンと生み出してしまう。

どれだけハリーの才能が憎くても、
どれだけ神は不平等だと思っても、
ハリーの服だけは貶せない。

作家は自分以上の才能を見たときに
自分は自分と割り切れるか、
憎しみを選んでしまうかで
その作家は試されるという文を読んだことがあるけれど、
そんな2択がすぐ出来るわけないじゃないか!
憎んで憎んで、割り切れそうで
割り切れなくてそんな自分に嫌気がさして、
また憎んで、作っての繰り返しなんだから。
リサだってそうだ、
表面上はいくらでもとり繕える。
本当は自分と葛藤しながら
ハリーの才能と向き合ってるんだよな。

でもある意味、
ハリーの服は天才ゆえに孤高で
大衆受けは見込めない(ファッションショーでは
大ウケ、業界人には超人気なのに、
街とかでは着る人がいないって意味ね。
ウケのいい服も分からずひたすら感性のみで作る子だから。)
それに対して、リサの服は大衆受けする。
リサーチ力もあるしね。

リサが何年もかけて学んだ服作りを
ハリーは直感でこなしてしまう。(シーチングで試作も造らず、ぶっつけ本番の布でやって、すんごいの作っちゃう)
その姿にリサはハリーの天才性を認めざるをえなかったんだよね。

リサのために服をつくるハリー、
そのことも知っているリサは、
ハリーが憎いだけの感情には簡単になれないんだよ。自分をハリーがしたってくれてるのも分かるし、ハリーには自分しかいないことも分かるからね。ある意味憎いだけじゃないから、
より生き地獄だな。
りさにとって、ハリーは好きだと断言できるんだけど、そこにハリーの「天才性」が入ってきてしまうとなると、話は別なんだよね。

モーツァルトは音楽の才があれほどあったのに
最後は貧困に喘ぎ苦しみながら死んでしまった。
それはハリーも同じでリサと出会ってしまったから愛を知ってしまった。もう昔の孤独に疑問を抱かなかったころのハリーにはもう戻れない、
リサは先に消えてしまうのに。
ハリーはリサが去った後から色んなことに気付く。
結局苦しむ長さはハリーが圧倒的に長いんだよね。
リサは人の寿命で死ねてしまうし、
でもハリーはいつまでも生きれてしまう。

ハリーの作品は繊細で独特、
だからこそハリーは人間界には
いつまでも馴染めない。
ハリーはガラス細工みたいな心を持ってるし、
それを捨てたくても捨てられない苦しみも持っている。つまり、才能なんていらないから、
人となじめる心の方が欲しいのがハリーの本音だよね。
リサ以外と話せないし、
リサが他へいってしまうと口には出さないものの
不安に押しつぶされそうな
日も沢山あったはずなんだよな。

たぶんリサにハリーが服を見せた時に。
リサが「なんで初めてのくせにこんな服作れるの!?」って問い詰めても
「……?……浮かんだ物を作っただけ……」としか、
返せないし、実際そうなんだよな。
ハリーって奴は。だからなんでリサがそんなに
食いついてくるのかはよく分からないけど、
この時のリサの食いつきが、
幸か不幸かハリーの成功体験として
インプットされちゃったんだよね。

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