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「心に闇がある者同士の共依存」

私が今回の漫画で描きたかったテーマは、
「共依存」だ。
でも、32ページという、ページ数が決まっている中で、
それが書けるのかという不安もあった。
画像の左側、白い服を着ているのは、
アルコール中毒者のリサ。

彼女は、もともと、キャラ出しの時点では
黒髪ハリーの孤独な心の支えで、
ものわかりの良すぎる、
ラブドールのような女の子だった。

でも、そんな子を描いてても、
動かない。そもそも自分が
リサを大切に感じてなかった。

結局は作者のご都合主義で生まれた子だったから、
そもそもこの子はハリーの暗部を際立たせるための
光でしかなかった。

だけど、
光ってるだけの子って薄っぺらいと気づいた。
「光の存在を押しつける代償」にリサは書けば書くほど、
どんどん死んでいってたように感じる。

私は現在進行形で、
トップに立っている人にはそこまで魅力を感じない。
トップから降りた、
いや、

「降ろされた人に魅力を感じるんだなと気付いた」

それに気づいたのは、
ある映画を見てからだった。

その映画は
ティムバートンが監督を務める
「エド ウッド」って映画なんだけど、
そこに出てくる実在した元有名俳優が薬物中毒者に
なってしまっても、演技にしがみつく
その演技に魅せられたんだよな。

彼の演技を 
アルコール、ギャンブル中毒者が半数を占める自分の家族に重ねた。
信頼している人、失望されたくない人の前でも
飲みたい衝動に駆られてしまえばもう、
どんな手を使ってでも飲むしかない。
必死さしかない、あの目。

私の書く漫画は
キャラの目に感情がこもってると
よく言われたけど、
もともとはそんな必死なアル中 家族の目を
見続けていたからなのかもしれない。

どうしたって、大人になった今でも忘れられない目っていうのはある。
時々思い出したくないのに、思い出しては、
「あー死にたいなぁ」と思う。

でもこの時の死にたいは軽度でしかない。
「月曜日やだなぁ」と思う日曜日の朝くらい。
(夜ではなく朝がポイント)

とにかくリサに人間味が欲しかったんだな。
これまでのリサはやっぱりお人形でしかなかった。
そして「それがいいんだ」と思っていた。
だから、描いててもなんか面白くない。

でも、最近意識的に周りの人の観察をしだした。
(今まではしてるつもりでなんもしてなかった)
リサのモデルの子はすごい短近に長いこといるんだけど、
口癖とか今更、初めて気づいた。

「〜だぁ」「〜しなぁ」みたいに最後が小文字になるような、
なめらかな喋り方をすること(方言)

褒めるたびに、
私が過去に「アイドルみたいに可愛いと褒めていた
女の子の方がいいでしょ」と自分から卑下するか、

「嘘だぁ」ということ。

これは使えるな、と感じた。
人をベタ褒めるときにその人の本質の一部がちらちらと
覗くんだと思う。
恥ずかしいから、その相手が
どんなことを言い出すのか、もしくは
口をつぐむのか。

ある種、
子供にこんなこと聞いてもそんなに魅力は出ないと思う。
疲れてきた大人に、これを聞くから魅力のある
答えと行動が見られるんだなぁと感じた。

リサは、もともと家族仲も良いし、
ある程度、順風満帆にファッションデザイナー生活も送れてた。
だから、自分がそこから落ちると不安が湧いてしまう。
理想の自分と現状の間で苦しむ。

「こんなはずじゃない」と現状の自分に違和感と嫌悪感が湧いて、
ある日、アルコールを呑むと安心感に包まれると気づく。

そっからなんて早いもんだ。

依存症に転がり落ちていくのは、
うるさくて、ある一面は不気味なほどに
静かでそこが怖いところ。
いつの間にか本人が気付かない間に
肩まで浸かってそれでも自分は
「まだマシな方だ」と慢性的に下しか見ないように
なってしまう。

リサもそうだ。

過去の栄光に縛られて、今度は上しかみられなくなって。
ハリーの存在と才能に執着して、
そして、他には見せない弱い自分を武器にして、
ハリーを動けなくする。

でも、そんなことしてるうちに
本当に動けないのは、リサだけになってるんだよね。
可哀想で可愛いリサ。
そんなリサだから私は共感できる。
綺麗なだけのリサの気持ちなんて、
醜い自分には到底わかりっこないから、
途端に彼女にリアリティがなくなる。



昨日読者さんと話していて、
この話に自信が持てないから自分は最近
脚本術の本ばかり読んでいることに気づいた。
でも、私が描きたいのは、
世界から間違ってる、おかしい、と言われても、
二人の世界の中だけの世界の中で正解ならそれで良いということだ。
だから「依存者の共依存」をテーマにしたってのがでかい。

そんでそれは「メリーバットエンド」だと言うものだと
教えてもらった。

思い返すとメリバ漫画を自分は書いてたし、
これからも描いていくんだと思う。
それは歳をとったら変わっていく価値観で、
今の私の正解を書けばいいだけだと気づいた。




今日のエッセイ終わり!!

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