令和5年度予備試験口述試験受験体験記

はじめに


1月20日21日の2日間にかけて、令和5年度予備試験口述試験を受験してきました。
口述試験は受験者も限られており、情報も多くありません。私も受験前に、合格者の口述試験に関するNoteを見て当日の流れをイメージしていました。
来年度以降受験される方に向けて自分の受験体験記を書くことにしました。少しでもお役に立てれば幸いです。

(注)試験問題の内容には触れておりませんのでご了承ください。

口述試験の概要

口述試験は2日間に渡って行われます。
(令和5年度は1月20日21日)
それぞれ午前と午後があります。
会場は法務省浦安総合センター
試験科目は実務基礎科目民事・刑事の2科目で、論文試験成績通知と一緒に届く受験票に「20日午前実務基礎科目民事、21日午後実務基礎科目刑事」のように受験日が記載されています。
服装について指定はありませんが、大半がスーツを着ています。私が見たかぎりでは全員がスーツを着ていました。

受験票

当日の流れ

受付→集合室→待機室→試験室→終了室(午前組のみ)→解散

受付で自分の試験室、番号が伝えられます。この番号は無作為に割り当てられるもので、当日受付をするまで分かりません。
例えば、民事2室4番と言われたら、民事第2試験室の4番目ということになります。
民事刑事それぞれ1〜18室、各室7番までありました。
試験室番号(民事2-④)が書かれたネックストラップを受け取ります。
受付を済ませたら、集合室に向かいます。体育館のようなスペースにパイプ椅子が並んでおり、自分の番号の座席に座ります。
椅子の上に茶封筒(A4用紙が収まるサイズ)が置いてあり、電子機器の電源を切って封筒にしまい封をします。封筒はカバンにしまい、試験後建物から出るまで、封を開けることはできません。

集合時刻(午前組8:30、午後組12:20)になると注意事項の説明や本人確認が行われます。
その後は、呼ばれるまでそこで待機します。
各室1番と2番は全員同時に呼ばれて移動しますが、3番以降の人はその部屋の進み具合によって、呼ばれるタイミングはバラバラでした。
私は初日は7番、2日目は5番という順番でしたので、2日間とも2時間以上ここで待機するはめになりました。暖房は無く寒いです。室内ですが、みんなコートを着ていました。

自分の番号が呼ばれると待機室というところに移動します。「発射台」と言われているようです笑
会議室のような場所で、ここは暖房が効いてました。
ここでさらに10〜20分待機します。
昨年度までは参考書等の確認ができなかったようですが、今年は特に禁止されていませんでした。直前まで勉強できます。

誘導役の係員が来て、「民事○室○番の方は荷物を持って移動してください」と声をかけられます。
係員の誘導に従って試験室に向かいます。

試験室の前に荷物を置くスペースがあり、そこに全ての荷物を置き、試験室に入ります。
試験室はビジネスホテルのシングルルームのような構造、広さです。
部屋に入ると受験者用のパイプ椅子と机があり、机上には法文とパネル(事案の内容や図表が書かれたもの)が置かれています。
パネルは無い場合もあります。私が受験した1日目民事と2日目刑事は共にパネルがありました。
部屋の奥に試験官が2人座っています。向かって右手に主査、左手に副査がいます。
基本的には主査が試験を進行します。私の場合、2日間とも副査の方は最後まで一言も言葉を発しませんでした。

試験室の配置

[入室から退室までの手順]
受験者:ドアをノックする
試験室内からベルの音(チン)が聞こえたら入室し、椅子の横まで進む
受験者「○室○番です。よろしくお願いします。」(マスクをつけている場合は外します。試験官が顔写真で本人確認をします。)
※氏名や受験番号など本人が特定できる情報を言ってはいけません。くれぐれもご注意ください。
試験官「どうぞ、お座りください。」
受験者「失礼します。」
試験官「それでは手元のパネルを見てください。事案を読み上げます。」
(中略)
試験官「これで終わります。」
受験者「ありがとうございました。」
退室

退室した後、午後組はここで解散となります。
午前組は、午後組が集合するまで待機しなければなりませんので、終了室に案内されます。
後ほどのタイムスケジュールでも書きますが、私は1日目午前の某室7番(部屋の最後)でしたが、解散まで40分以上終了室で待機することになりました。
終了室でもスマホ等は触れませんので、1日目午前の方は2日目の科目の教材も持っていくことをおすすめします。

タイムスケジュール


私は1日目午前、2日目午後の日程で受験したので、それをもとに大まかなタイムスケジュールを書きます。
[1日目午前]
私は○室7番でしたので、その部屋の最後の受験者です。移動の時刻等はそれを前提にお読みください。
8:30集合(受付での検温等は無し)
8:30〜40注意事項の説明、本人確認
9:05頃、各室1番が待機室へ移動
9:20頃、各室2番が待機室へ移動
11:15頃、待機室へ移動
11:25頃、待機室から試験室へ移動
〜11:45試験(試験時間約15分)
終了室へ移動
12:35解散

[2日目午後]
私は○室5番でした。
12:20〜30注意事項説明、本人確認
12:55各室1番が待機室へ移動
13:20各室2番が移動
14:45頃、待機室へ移動
15:05試験室へ移動
〜15:30試験(試験時間約20分)
試験終了後そのまま建物から退出

その他

集合室は暖房がなく、寒いです(冬の体育館をイメージしてもらえれば分かると思います)。
多くの人が室内でもコートを着ており、マフラーをつけてる人や膝掛けを使っている人もいました。
私はコートを着て、マフラーを膝掛け代わりに使い、カイロも使いました。
集合室、待機室では、トイレに行くことはできますが、その際には貴重品以外を持つことはできません。
移動の際は全ての荷物を持っていきます。あまりにも荷物が多いと大変だと思います。スーツケースなど大きい荷物はホテルで預かってもらうことをおすすめします。
試験順が後ろの順番になった場合、試験までかなりの待ち時間(私の場合は両日とも2時間以上)があります。順番は当日受付をするまで分からないので、長時間待機に備えて最終確認用の教材をもっていくことをおすすめします。
[入室から退室の手順]でも書きましたが、試験室で「○室○番です」という際に、氏名や受験番号など個人が特定できる情報を言ってはいけません。
うっかり氏名を言ってしまわないよう気をつけてください。

最後に

多くの合格者が言っていて、私も実際に受験して実感しましたが、この試験は合格率自体は高いものの、ここで不合格になるとまた短答からやり直し、司法試験受験が1年遅れるというプレッシャーはとても大きく、精神的にかなり大変な試験でした。
今年度は論文試験の合格発表から口述まで1ヶ月間ありましたが、それでもまだ足りないと感じるくらいにはやることが多かったです。
昨年度までの合格者はこれを2週間でやっていたと思うと本当に頭が上がりません。
論文試験が終わった後、少し休みを入れたら少しずつでも口述に備えて勉強を始めることをおすすめします。
どんなに論文の出来に自信がなくても、ぜひ口述の勉強に取り組んでください。
民事の勉強は、民事実務や民法、民訴に、刑事の勉強は刑法、刑事訴訟法の試験に役立つので、やっておいて損はないです。
仮に論文が残念な結果で終わっても、来年の短答、論文に必ず役立ちます。

このNoteが少しでも皆さまの参考になれば幸いです。



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