情報リテラシー論09

こんばんは。
今回も情報リテラシー論で学んだことを記録していきたいと思います。

第9回のテーマは「テレビの衰弱と動画メディア」でした。

□テレビ業界変化の1年

過去回でもSNS元年として2011年の話題がありましたがこの年はテレビ業界にとっても重要な年となります。
ふたつの出来事を紹介します。

1つ目は地上アナログ放送から地上デジタル放送への移行です。
これはテレビ放送で使う電波を減らし、その分を携帯電話通信に充てるために行われました。
移行に伴って、以下のようなさまざまな変化がありました。

・画像サイズの変更
・サブチャンネルの放送
・電子番組表
・データ放送
・ワンセグ放送→携帯やカーナビでも視聴可能
・B-CASカードの導入→これがないとテレビが映らない

2つ目はサイマル放送の誕生です。

サイマル放送
1つの放送局が同じ時間帯に同じ番組を、異なるチャンネル(周波数)、放送方式、放送媒体で放送すること。
(Wikipediaより引用)

きっかけは東日本大震災の直後、14歳の少年がテレビを見れない人たちのためにNHKのニュース番組を動画配信サイトに流したことです。
NHKはこの配信を公認しました。
その後、民放の放送局もニュース番組を動画配信しました。
過去回にあったように、当時はテレビがネットを敵視していた時代です。


□メディアの世代交代?~テレビの敵と味方~

2012年、テレビに逆風が吹きます。
それがスマホの普及です。
ガラケーではワンセグ放送を見ることができるのですが、スマホではできません。
そのため、スマホを使う人はテレビの代わりにYouTubeを見るようになったのです。

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このスライドからもテレビの勢いが失われていることがわかります。
青字で書いてありますが、実はテレビも敵視される側だったことがあります。
それが映画です。
しかし、今はテレビと映画は良好な関係にあります。
その理由は「テレビで映画を再放送することによって更なる利益が見込めるから」、もう1つは「印象の違い」です。

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実は映画とテレビでは見ている光の種類が違うのです。
これが印象の違いを生み出します。
画面上よりも紙の方が間違いを見つけやすいという現象も同じ原理のようです。
このような脳の仕組みについてもう少し深く知りたい方はこちらの記事を読んでみてください。

YouTubeなどが見れるデジタル媒体はテレビと同じく直接光を発するため、テレビのライバルとなるわけです。



□テレビのネット進出

テレビがネットの敵視をやめて利用する方向に舵を切ったという話を覚えているでしょうか。
今ではネット上でテレビ番組を視聴できることが当たり前になってきましたね。
2015年には民放5社が見逃し配信サービス「TVer」を開始しました。
NHKも2020年から「NHKプラス」というネット同時配信と見逃し配信のサービスを開始しています。

インターネット上でのテレビサービスも登場しました。
それがサイバーエージェントとテレビ朝日が共同出資した「AbemaTV」です。
恋愛リアリティーショーをはじめとしたオリジナルの番組が強みです。
今勢いのあるサービスですが実は大赤字です。
それを補っているのがサイバーエージェントの別ジャンルの利益です。
利益を次の開発に投資して進化を続けるというビジネスモデルはAmazonと同じなのだそうです。

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視聴者が好きな時に好きな番組を見ることができるビデオオンデマンドサービスではABEMAを抑えてAmazonが1位の座についています。

テレビはQRコードを画面上に表示して視聴者をネットに誘導するようになったという話もありました。
誘導方法がQRコードという点でスマホの普及も関係していますね。


□テレビの脅威!YouTubeの躍進

テレビを脅かすほど多くの人の生活に定着したYouTube。
まずはその歴史を見ていきましょう。

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YouTubeが流行った要因として挙げられていたのが赤枠の部分の「ブログなどに貼り付けられるAPI公開」です。
URLを貼り付けた場合はYouTubeのページに移動してから動画を視聴しなければならないのですが、このAPIの場合はブログのページ上で動画を視聴することができるという仕組みです。
当時はSNSがなかったため、ページにYouTubeの動画が貼り付けられることによって知名度のアップにつながったようです。

その直後には「Googleによる買収」と書かれています。
実はYouTubeが誕生する1ヶ月前にはGoogleビデオというサービスが誕生していました。
しかしYouTubeの人気が高まったためGoogleは常套手段の買収を行いました。

その下の赤枠には「映像が6本に分けてアップ」とあります。
YouTubeは最初は動画の長さに制限がありました。
制限が解除されたのは約10年前だそうで、意外と最近のことなのですね。

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このデータからもYouTubeがいかに勢いのあるコンテンツであるかがわかります。
注目は左上の赤枠の部分です。
かなりの割合の人がテレビでYouTubeを視聴しています。
2011年のデジタル放送への移行によってテレビのインターネット接続が可能になりました。
この出来事は動画メディアによってテレビが苦戦を強いられるようになった大きな一因であったと言わざるを得ないでしょう。

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年表の赤字部分には「赤字だった経営が黒字化」とありますが、そのきっかけが広告制度の導入です。
その仕組みは画像の通りです。
しかし、2018年2月からは以下のような広告収入の受け取り条件ができ、素人が収入を得ることが難しくなりました。

YouTubeの広告収益受け取り条件
・チャンネル登録者数1000人以上
・年間再生時間4000時間以上

YouTubeで収益を得るには継続したコンテンツが必要になりました。
つまり、1本の動画の再生回数を爆発的に伸ばしても(=バズる)収入を得られなくなったということです。
この条件によって、例えば違法アップロードで削除されるまでの再生回数で収益を得ることが不可能になるという効果があります。

YouTubeは始まった当初は著作権侵害の動画が大半だったそうです。
収益受け取り条件やコンテンツIDなどの対策によって今ではオリジナルのコンテンツが多くなりました。
その一方で度々問題になるのが過激な動画です。
YouTuberの逮捕の報道が記憶に新しいですね。
多くの人の目に留まるために法の範疇を超えた動画を出そうとする人がいますが、いくら匿名であろうとも収益を受け取る口座を登録した時点で身元は判明しているということを弁えておくべきだというお話がありました。



□YouTubeで最も人気な○○は?

みなさんはYouTubeで人気といえば何を思い浮かべるでしょうか。
HIKAKINやはじめしゃちょーなど、YouTuberの活躍はよく目にしますね。

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実は動画の再生回数で見るとキッズ関連の動画の人気が圧倒的です。
爆発的ヒットを記録した米津玄師さえも抑えています。
このランキングでは日本で有名なYouTuberの名前は見られないというのが意外ですね。

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登録者数ではどうでしょうか。
こちらも聞き覚えのあるYouTuberが多く並ぶ中、キッズ関連のチャンネルがトップにランクインしています。
収益化の条件が厳しくなったとはいえ、YouTubeは素人でも有名になれる可能性のあるメディアであるということがわかります。

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そんな夢のあるYouTubeですが、競争が激化しています。
その一因となるのがコロナ禍によるYouTubeチャンネル数の倍増です。

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このグラフからも収益受け取り条件のラインであるチャンネル登録者数1000人のラインを超えているチャンネルの割合は低いということがわかります。

では、YouTubeで人気になるにはどんな動画をアップすれば良いのでしょうか。

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これらが人気が出やすい動画ジャンルの代表例です。
テレビ番組は不人気のものは淘汰され、人気のものが残っていきます。
つまり、テレビでやっているようなジャンルの動画をYouTubeでも配信すれば伸びやすいのです。
逆にYouTubeで人気だったものをテレビが取り入れたジャンルのひとつにゲーム実況があります。



□YouTubeの機能

ここでYouTubeの機能をふたつ紹介します。
1つ目はぼかし機能です。
顔や車のナンバーが映り込んでしまった場合に追跡してぼかしを入れることができます。
最近はテレビでも通行人にぼかしが入れられている場合があります。
本来は「映り込んだものは仕方がない」というルールがあるため、昔は通行人の顔などをそのまま放送していました。
しかし、最近は写り込みに敏感になっている視聴者がいるため、テレビでもぼかしを入れるようになったそうです。

2つ目はプレミア公開です。
動画を公開する日時をあらかじめ設定しておく機能です。
これはあらかじめ番組表で放送日時を知らせているテレビと同じですね。



□YouTubeの弱点

コロナ禍の影響で多くのミュージシャンが配信ライブを行いました。
実は、YouTubeには有料のライブ配信サービスがありません。
YouTube上で無料の配信ライブを行うミュージシャンも多くいましたが、一度無料で配信してしまうと価値が下がり、利益が見込めないというのが難点です。YouTubeがこの業界に参戦したら、勢力図が大きく変わるかもしれませんね。



□AIを利用した動画の危険

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「X pression」というアプリを知っていますか?
このアプリでは人物の写真を撮るとAIが顔認識をして自分の表情と同期させることができます。
つまり、自分の顔を他人の顔に置き換えて喋っている動画を撮ることができます。
一見面白い機能ですが、危険な使い方もあります。

(前述にあったYouTubeの動画埋め込みをしてみました。)
後半の展開が驚きですよね。
このような動画をディープフェイク動画といいます。

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このような映像はAIでしか判別できないほどになっています。
AIの進化には恐ろしい一面もあるということを心に留めておきたいですね。



□アニメ文化の延長?Vtuberの活躍

X pressionと似て非なるものですが、最近はキャラクターのアバターを用いて動画の配信を行うバーチャルYouTuber(通称Vtuber)が人気を集めています。
その先駆けであるキズナアイという名前を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

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こちらはスーパーチャットというYouTubeの投げ銭のランキングなのですが、赤枠がVtuberのチャンネルです。
ランキングをほぼ独占している状態ですね。
アニメの人気が関係してか、今とても勢いのあるコンテンツです。



□YouTubeに表現の自由はない?

テレビとは違って自由な発信ができるイメージのあるYouTubeですが、最近はコンプライアンスの観点で規制が厳しくなっています。
これに3回違反するとチャンネルが使えなくなってしまいます。
YouTubeにもプラットフォームとしての責任があるのです。
この影響で最近は規制の緩いニコニコ動画などへのユーザーの流出が進んでいるようです。
表現の自由の保障と誤った情報の拡散の抑制とのあいだでどこで線引きをするのか、難しい問題だと感じました。

YouTubeもGoogleも言論統制をしていますが結局のところどの情報が本当に正しいのかは決まった答えがありません。
そこで必要なのが情報を受け取る側の情報を見極める意識(=情報リテラシー)です。
最後に情報リテラシーの重要性がわかる動画を載せておきます。



今回の講義まとめはこれで終わりです。
コロナ禍の追い風もあってかYouTubeの伸びは本当にすごいですね。
私も家にテレビがありますが普段はYouTubeばかり見ていて、最近テレビをつけた回数は両手の指に収まるほどです。
そして筆者はVtuberのファンです。
Vtuberは3D と2Dのアバターを用いて配信を行うのですが、それらの技術はどんどん進化していていつも驚かされます。
最近は生放送で3Dのアバターで卓球をすることなんかもできるんです。
気になる方は是非見てみてください。
次回もよろしくお願いします。

講師・横田秀珠(よこたしゅうりん)先生のHPはこちらから↓


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