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2024/02/10 きれいでかわいいきみがすき

初日第一部のみの観覧。
キミに贈る朗読会は「フェアウェル・シーべッド」ぶりの2度目の参加。

この後にMOGRAさんのイベントへお邪魔してお酒をたらふく飲んでおり正直事実と異なることが多そうです。
自分の考えをまとめるために書くので、説明不足だったりするとも思うので、気になったらDMや直接会ったときに叱ってください。

というかこれから書く座組は配信で観れるので配信を観ましょう。

アフターアイドルの話でした。
涼森珊瑚は居場所を探してそこに収まることが得意な子だった。クラスでもアイドルの世界でも。彼女は自分が居場所を「つくる」側になりたいという思いから動画配信者になる。
しかし、動画編集をしてくれている幼馴染の千景の愛情によって形づけられた「動画配信者の珊瑚」は果たして彼女の望んでいた空間だったろうか。この2人のすれ違い、すぐにでも糸が切れてしまいそうな緊張に成り立つ空間が美しかったです。

永遠と一瞬。
本朗読は「今」を刻々と描いたと思う。だからこそ千景の願う「永遠」を珊瑚は否定することができたわけだが、不安だけど未来へ進もうと珊瑚が表立って言葉にするのは千景と決別する時だけれど、その芯の強さ、熱さみたいなものに引き込まれてしまった。
対して、好きなものを大事にしたい、1番好きな人の1番好きな部分をみんなに伝えたい、「愛が重い」と評価されるような千景の愛情を素直に否定していいものなのかは私はわからなかった。
少なくとも珊瑚にとっては良くないことであったからこのような結末になったわけだけど、その愛情は美しかったと思う。

過去と未来。
わたしの知ってる台本は綴じられて本になっていることが多い印象だったが、本朗読会はペラ紙で1枚1枚重ねていた。「今」と関わってくるのは読み終えたページの取扱い。
本なら頁をめくるだろうけど、今回は読み終えた紙はその場に捨てられていった。
1枚1枚、丁寧に捨てられていく。過去に戻ることはできない不可逆さと未来へ向かうしかない怖さ。当たり前だけどこの物語は結末へ向かおうとしている残酷さを喉元につけつけられたようでした。それが珊瑚の願う「(変化の)何もない永遠を嫌って自由を求めること」につながる。

涼森珊瑚の人間性。
ずっと誰かに合わせていたという人生、クラスではもちろん、アイドルになっても集団の中で役割を見つけてそこに当てはめることでだれかの居場所となっていた。そんな彼女が「私は千景の期待する涼森珊瑚になっていたんだよ」という独白は決別の意志が含まれていた。ずっと彼女は自分が居場所を作ろうとしていたのに、千景はそんな彼女に「体を預けるよう」伝える。
これが珊瑚の意志を否定するところで決定的にきまった部分でとても頷いてた。

蓮見蓮花の魅力。
本当にどうしようもないことを言うんですが、私は1番彼女の人間性に惹かれてしまいました。
「人のものを奪う」ということで自らの価値を感じていたような人間。
彼女がアイドルを辞めて純粋に珊瑚と向き合っていた。エピローグで珊瑚によって動画配信をすべて行っていることで自由さを表現していたが、彼女も同様だった。それがどう言う心持ちでそこにいるのかはわからない。珊瑚を自分のものにしようとしているのかも正直わかりかねた。(反省してたっぽいけどそんなんで反省するタチか?みたいな気持ちは残ってる)
彼女の生まれと育ちとその思考回路は到底自分には理解できない部分ではあったけれど、同様に自分が常に「誰かのもの」「見せ物」「コンテンツ」であったという寂しさ、苦しさもわからない。
自分の名前が動画のネタで決まったことを辟易としてそうなのに、自分はそれを利用してアイドルをしている。立場を利用なんて言葉を使ってても、私にはそこに頼るしかないようにも見えた。考えすぎな部分は多いかもしれませんが、それを考えたくなるぐらいには彼女に惹かれていた。

声についても残そう。
何よりも飯塚さんの真に迫る狂気じみた言葉の数々に圧倒させられていた。
彼女の言葉によって、他の人の言葉も呼応していた……気がする。
内山さんのどこか純真さを感じる愛らしさ、本性の見えない明るさを秘めた立石さんの声、唯一冷静さを保っていた熊沢さん…演者すべての魅力を引き出していたと思う。
もちろん3人の魅力が無かったわけでは到底ないのだけど、飯塚さん演じる千景を基に、少なくとも初日第一部の朗読は成り立っていると感じていました。それぐらい力がありました。


素敵な朗読でした。
繰り返しですが、私のいたひとつ後の公演は配信がある。みんな観よう。


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